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第98話 イチジロウ

しまったなー名付けがあったよ。牛っぽい小さな聖獣でコウシとかじゃダメかな。もう完全にネタ切れだ。こいつからイチロウで始めてもいいんじゃないか?

一度こいつで試してみようか、ソラとココアの反応を。上手く行けば次からジロウ、サブロウと続けられるし。そうしよう。


「よーし名前を付けるぞ!お前の名前は・・・」

「ちょっと待ったーい!」

「なんだ?」

「付けてほしい名前があるんだよい。」

「なんだ?言ってみろ、出来る限り配慮はしてやる。」

「イチジロウって名前がいいんだい。」


また微妙なとこを突いて来たなぁ。イチロウかジロウにしろよ。

「イチロウじゃダメなのか?」

「悪くは無いけど、イチジロウが好きなんだい!」


「わかったよ。お前の名前はイチジロウだ。」

淡く光って覚醒した。



【鑑定】

名前: イチジロウ

年齢: 13

種族: 聖獣 (アピス)

加護: 佐藤太郎の加護

状態: 普通

性別: 男

レベル:10

HP 202/202 MP:6841/6841

攻撃力:300 防御力:295 素早さ:155

魔法: 

技能: 錬成(5)・料理Max・裁縫Max・掃除Max

耐性: 

スキル: 【錬金】1【変身】2

ユニークスキル: 【ダンジョン】

称号: ダンジョンクリエイター


しかし、弱いな。弱すぎだ。料理・裁縫・掃除Maxってベッキーか?

13歳ってどういうことだ?聖獣って割には若過ぎないか?だからレベルが低いのか?

「お前弱いよな。」

「うるさいやい!ボクは弱くてもダンジョンが作れるからいい子だって言われてたよい!」

「誰にだよ。」

「フォルファクスさまだよい。」

「お、お前、フォルファクスに召喚された奴か?」

「そうだよい!」

「他にはどんな奴が召喚されたんだ?」

「他には2体居たけど覚えてないやい。」


ダメじゃん、覚えておこうぜ大事なとこなんだけど。

「そいつらもダンジョンが作れる奴か?」

「なんでわかるんだよい、その通りだよい。」


それは覚えててくれたんだ。ギリセーフだな。

「ま、そんなとこだろ。先に言っといてやろう。フォルファクスは私達が倒した。従者契約はしたけど辞めてもいいんだぞ。」

「フォルファクスさまが死んだのかい?召喚してもらった恩はあるけど、名前を貰った恩の方が大きいやい。このまま従者を続けるよい。」


そんなにイチジロウが良かったのか?

「そうか、じゃあ、変身してみせてくれ。もう人型になれるはずだろ?」

「わかったよい!」


淡く光って人型になった。今の私より年上に見えるが、変身だからな。小学生ぐらいを想像していたよ。これだから魔物ってわからない。でも、背は高くないな。165センチ無いぐらいかな?男前ってより可愛い系か。


「お前のダンジョン作る能力って、ダンジョン核があった方がいいんじゃないのか?」

「そんなの当たり前だよい!ダンジョン核があったら一瞬でできるよい。」

「わかった。それより、お前のそのしゃべり方どうにかならないか?」

「何がだよい?」

「まぁいいか。それじゃ帰ろうか。ここの魔物はもう出ないんだろ?」

「ボクがいなくなったら出ないよい。」


しかし、武器も魔法も使えないのか。1人でいたら瞬殺されるな。気を付けといてやろう。

「忘れないうちに、うちの必須アイテムも渡してやろう。武器はいらないな。魔法も無いから小判もいらないな。でも魔力だけは無駄に多いんだよな。やっぱり渡しておくか。」

指輪は渡してやった方がいいよな。絶対。


ロンレーンの町まで短刀で転移できた。一旦魔法陣で出てからかなと思ってただけにラッキーだった。ホント何でも試してみないとな。


イチジロウの事もあったので、一度屋敷に転移をして冒険者ギルドに向かった。


「アラハンさん、問題はあったが無事は確認できた。ダンジョンが復活して魔物が強くなってたみたいだ。問題も解決して来たから、すぐに戻って来ると思うぞ。」

「そうでしたか、それはありがとうございます。それでは報酬の件ですが。」

「今回はいいさ。1回分貸しにしておこう。それからこいつにカードを発行してやってくれ。弱いが更新不要のCランクが希望だ。Sカードにはしなくていい。弱いから。」


「そんなに弱い弱い言うなよい。」

「実際弱いから。Eランクでも勝てそうだし。」

「そんな事をギルマスである私の前で言うんですか?カード発行できなくなりますよ。」

「じゃあ、これでさっきの貸しを、貸し借り無しでいいから発行してやってくれ。」

「・・・わかりました。」

渋々ながらカードを発行して貰いジャンの背中に帰って行った。


アジトの屋敷に着くと夕食の時間だった。

イチジロウを紹介すると、ソラもココアも納得だった。

こんなんでいいのか?じゃあイチロウもありじゃね?次の機会に試してみよう。


「イチジロウ、お前がダンジョン作ってた時に魔物のランクの基準が良く分からなかったんだが、何か基準があるのか?お前に近づくにつれて強くなって行くんだけど最終弱くなったよな?」


「「「「「ダンジョン!?」」」」」

早速食いついたか。ま、こうなるよな。


「このイチジロウは弱いんだが、非常に弱いんだがダンジョンを作れる。だから仲間にしたんだ。」


「凄いねー。」「ホントに?」「どんな魔物でも出せるの?」「どこでも作れるの?」・・・


「今度、浮遊城にでも作って貰おうかと思ってるよ。その時は皆で行けばいいさ。」

「行くよー」「うんうん」「絶対!」「行く行くー」「行こう」「明日?」・・・


「まぁ、近いうちにな。できたら皆にも言うからさ。それでさっきの質問だが。」

「あれはよい、自分が居るフロアは魔物は出ないんだよい。次のフロアから出だして、その次のフロアぐらいになると強くなり出すんだよい。」

「でも、おかしかったぞ?30階層より31階層32階層とドンドン強くなって来て36階層辺りが一番強かったのに、それより下に行くとすごく弱くなったぞ?」


「ご主人様ダンジョン行ったのー?」「主様?」「ダンジョンですか?」「ダンジョン・・・・


「行ったよ!依頼だったんだから。だからエースとジョーカーを呼んだし、私はほとんど何もしてないよ。モンスターハウスで少し頑張った程度だ。」


「モンスターハウスー?」「モンスターハウス!」「モンスターハウスですか?」「モンス・・・・


「わかった!今度行く時は全員呼ぶから。イチジロウとしゃべらせてくれ。」

ホントお前らのダンジョンへの食いつきは半端ないね。


ようやく静かになった。


「さっきの続きだが、お前は下へ下へと作って行くのに下の方が強かった。出来上がった順番なら上の方が強い魔物になるんじゃないのか?」

「洞窟ダンジョンでは下に行くほど強くなるのは常識だよい、タロウさまは何を言ってるんだい。」

「いや、だから作る順番と強さが・・・」

「主様?下の魔物が強いのは常識ですよ。」「下の方が強いのは決まってるよー」「常識ですわ。」「当り前だよ。」・・・・・


「わかった。私の常識が通用しないことはわかりました。」

ホント魔物のやることはわからん!



次の日はココアとクィンとイチジロウを連れて浮遊城に来ていた。

「お城を建てたのですね。素晴らしいですわぁ。」

「さすが主様です。」

「格好いいですねい。」


「クィンとイチジロウに来てもらったのは、ここにダンジョンを作ろうと思ってね。まずはクィンに許可を貰おうかと。」

「結構ですわ。是非作ってください。私も楽しませていただきます。」


「それでダンジョンをどこに造ろうかと考えてたんだが、城はどうだ?」

「主様!勿体ないです。」

「そうですね、勿体ないですね。」

「城にダンジョンですかい、格好良さそうだけど勿体ないですねい。」

「別に誰も住まないんだからいいのにな。じゃあ、洞穴にするか?」


「住まないのですか?主様が王座に座るのではないのですか?」

「なんでだよ、座る訳無いだろ。屋敷はジャンの背中にあるじゃないか。」

「では、なぜ建てられたのですか?」

「ノリ・・・かな?」

「ノリで城ですか?でも、住まないのですね・・・。」

「そうですか、住まないのですか・・・」

「住まないのかい・・・・・。」


皆 葛藤してるなぁ。城にダンジョン。格好いいと思うんだけどなぁ。


結局、勿体ないということで、ダンジョンは洞穴に造ることになった。

洞穴を1つ選んで最下層にまで行く。最下層と言っても地下2階だ。

ダンジョン核を出してやる。

「おっほー!ダンジョン核ですねーい。初めて見ましたい。嬉しい~い!」

「おいおい!初めてって大丈夫か?」

「大丈夫ですよい!」


イチジロウはダンジョン核に両手を翳すとダンジョン核が虹色に輝きを放ち、光が落ち着いてくると白く淡く静かな光で落ち着いた。


「できたぞい!」

「え?もう?」

「そうだぞい。」

「これで何階層なんだ?」

「今回はあまり凝ってないから50階層だぞい。」

「今の瞬間で50階層できたのか、凄いぞイチジロウ!」

「それほどでもーあるぞい。」

「ここは最下層だろ?どうやって戻るんだ?」

「ん?戻るのかい?戻らないよい。」

「はい?戻らない?」


イチジロウはダンジョンを作ると最下層に居続ける。ダンジョン核の変わりもするらしい。

自分の作ったダンジョン内の魔物には襲われることもないし、宝箱を作る要領で魔物肉も出せるから飢えることも無い。もちろん罠もイチジロウには作動しないそうだ。


「でも、お前と出会ったダンジョンって30階層より下で作ってたよな。どうやってあそこまで行ったんだ?お前1人で行けるとは思えないが。」

「送って貰ったんだよい。」

「誰に。」

「マルティムだよい。」

「誰だ?そいつは。」

「フォルファクスさまの所にいた悪魔だよい。ボクより先に召喚されてたよい。」

「お前、この前は他に2体いてダンジョンを作れる奴らって言ってなかったか?」

「それは一緒に召喚された者だよい。」


それならフォルファクスが何体の魔物を召喚したのかわからないじゃないか。

確かに1000人以上の生贄がされたんなら強力な悪魔か多数の悪魔か、どちらかが召喚されてるよな。分かっているだけで4体いるし、勇者召喚にも使われているし、多数の悪魔の可能性の方が高いか。


イチジロウの他に最低でも他に3体いるんだな。敵対しなければいいんだけどな。


「そのマルティムは今どこにいるんだ?」

「知らないよい。フォルファクスさまの所から、マルティムの力でダンジョンに飛ばされただけだからねい。」

役に立たんな。ダンジョンを作る以外は屋敷の留守番だな。


「マルティムという悪魔の力は他の者を転送させるということでいいんだな?」

「そうだよい。」

「話はわかった。それでそろそろ戻りたいんだが、どうやったら戻れるんだ?」

「戻りたいのかい?」

「当り前だろ。ダンジョン核もあるんだからお前も居なくていいんじゃないのか?」

「あっ!」


あっ!じゃねーし。弱いし抜けてるよなー。大丈夫かなぁ、このダンジョンも怪しいぞ?


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