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第96話 勇者トオル

アメーリアとも別れて、ジャンの背中の屋敷まで戻って来た。

戻って来てジャンには説教をした。


それと気になっていた称号の事も聞いてみた。

男なのに【産卵王】ってどういうことだ?と。

ジャンは亀と龍の両方の特性を持っていて、メインとなる龍は雄だが亀は雌らしく卵も産むことができるのだそうだ。1000年に1度、10万個を産むそうだ。だが1000年生き残れる子供は僅かだということだった。


それからは大きな事件は無かったがそれぞれの役割は続いている。

ジャンの屋敷は、もう拠点として使っているので全員ここで住むようにした。

ミルキー班も各地を回る続きに戻ったが、偶には帰って来てるようだしダンジョン組はダンジョン内で泊まりにならない限り帰って来る。


約束通りマルコシアスも召喚してやった。生贄は今回排除した500名強の人間。

魔石はもう抜き取ったが死体の処理に困っていたので、召喚の代償として使った。

召喚の代償としては足りたし受肉もできた。


「名前はジャックだ。」トランプでまだ残っていたジャックを使った。もう無いからね。

今回は21人目だったので、ブラックジャックとも掛かってるんだけど、ジャックの方を使った。ブラックは色シリーズで使えるかもしれないから。

【クロスランド】ももっと使いたいんだが、名前がネックになっていて使えないんだよね。

もうイチロウ、ジロウ、サブロウ・・・でいいと思うんだけど。


「はっ、ありがとうございます。ショーンに伝えた願いを叶えてくださり、しかも名前まで授けていただき感無量でございます。ショーンより伝え聞いていただいているとは思いますが、これよりフォルファクスの討伐へ赴きたいと思います。」

「終わったよ。」

「何がでございますか?」

「フォルファクスはもう死んじゃった。」

「へ?」

「もうやっつけちゃった、魔石を植え付けられた奴もお前の供物として使ったじゃん。」

「・・・では、私はなぜ呼び出されたのでしょうか?」

「なんでだろうね?」

「はい?」

「ま、のんびり行こう。最低うちでやる事だけ伝えるぞ。」

必須アイテムを渡し、Sカード発行はアラハンにやってもらった。

今は他にやることも無いので何か別のギルドカードを取る事を義務付けた。

ショーンは商人ギルド、アゲハやイロハはケーキ屋ギルドを取っていることを伝えると「さっきまで消えかかっていたやる気が出てきました!」と言って出て行った。


アメーリアの式典にも参加した。

「タロウ様、ようこそおいでくださいました。」と執事が迎えてくれた。

「おめでとう、ようやくお披露目だな。執事としては嬉しい限りじゃないのか?」

「左様にございます。前回は大変でしたが、この結果だけ見れば最高の式典を迎えられそうです。これもタロウ様のお陰でございます。」

「そんな大したことはしてないよ。お前らの日頃の行いが良かったんだろうな。」

「今日はお嬢様からも重大な発表があると聞いております。是非楽しんで行ってください。」

「ああ、ありがとう。」


司会の進行で式典が始まり大臣の挨拶の後、食事が運び込まれる。華やかな料理だった。

ロンレーンでレムンドン伯爵に晩餐を招待された時よりも豪華で煌びやかな料理だった。

食事中にも貴族が挨拶していく。最後に王様から労いの言葉を受け、アメーリアからお返しの挨拶と決意表明を発表した。


「皆様、本日は大変多くのお祝いの言葉を頂き、ありがとうございます。今後は、より一層精進して王様のお役に立てるよう頑張りたいと思います。つきましては、その意思表明としまして婚約発表を致します。」

おおお!と会場がどよめく。


誰かいたっけ?大して知ってる訳じゃ無いけど、そんな奴が居たんならもっとアメーリアの事を助けてやっても良かったんじゃないの?どんな奴なんだ?


執事が私の所に来て立つように促す。

まぁ、どんな奴かは知らないが、アメーリアは頑張ってるようだし見たことも無い奴だけど励ましの言葉ぐらいは掛けてやるか。


「私の婚約者のタロウ様です。もう私の短剣を渡しております。」

へっ?なにが?確かに短剣はいただきましたよ?


「どうぞ、こちらまでいらしてください。」

拍手が巻き起こる。王様は憮然としている。その横ですっごく睨みつけている若造も居た。


促されるまま満面の笑顔のアメーリアの隣に立ち、茫然と立ち尽くす私。

「どうですか?驚かされる方の気持ちもわかりましたか?タロウ様?」

いやいやいやいや、そんなドッキリだけで、この場でやってしまってはダメだろ?

後の事は知らないよ、私は。


そのまま式典は終わり、貴族が私に挨拶の為の列を作っている。

王も隣の若造もまだ怒った表情のまま座っている。

王が怒るのは無理ないと思うがアメーリアが何とかするんじゃないの?

隣の若造は何で怒ってるんだ?お前が婚約者だったのか?


若造は立ち上がり私に向かって叫んだ。

「決闘だ!!僕こそがアメーリアさんに相応しいのだ!貴様なんかにアメーリアさんを渡すものか!僕に短剣を寄こせ!」

だれ?


「あんた誰だ?」

「バンブレアム帝国にいて僕の事を知らぬとは呆れた奴だ。やはりそんな奴にアメーリアさんを渡すわけには行かぬ。僕と決闘しろ!」

「だから誰なんだよ。」

「まだわからんのか、僕は勇者トオルだ!名乗ったからにはもう後戻りはできんぞ!さあ短剣を賭けて決闘だ!」


勇者?噂のレベル5の?

【鑑定】。

あ、ホントだ中央の勇者って称号だ。でもレベル5。

その自信はどっから来てるんだ?ステータスも平均200無いのに。冒険者のDかEクラスじゃないのか?あ、【鑑定】持ってるわ。私のステータスを見たのか。

それなら少し納得だが、それでもお前の方が負けてるぞ?

私は一応Cランク冒険者だからな。Cランク冒険者の平均に見えるように350平均ぐらいにしてあったはずだけど。


「お前のその自信がどこから来てるかわからんが、その勝負を受けて私に何のメリットがある?」

「貴様が勝ったら勇者を名乗ることを許そう。しかも短剣は貴様の物だ。まぁ、僕は負けないけどな。」

「いらん。そんなもん、私にはデメリットでしかない。」

「なに?勇者と名乗れるんだぞ?」

「いらん。他にないのか?無ければ受けないぞ。」

「勇者の称号がいらぬだと!しかし、その短剣は諦めろ!」

「それは私では無くアメーリアだろ?私にくれたのはアメーリアなんだから。」

「な、アメーリアと何度も呼び捨てに!むむむ絶対許せん!覚悟せよ!たー!」


会場内ではあるが、広いうえに周りは避難済みだったので戦う広さとしては十分あった。

勇者トオルは剣を振りかざし、私に切りつけて来る。すっごく遅かった。ステータス通りの実力だった。


軽く避けてもう一度尋ねる。

「私のメリットをもっと明確にしてくれ。無いならこちらからの提案だが、二度と私に関わるな。これでどうだ?」

「それで構わん!貴様に勝ち目は無いがな!たー!」


フェイントも無く遅い。こんなのにどうやったら負けることができるんだ?

これだけ弱い奴だと手加減も難しいぞ。少し殴っただけで死んでしまうかもしれん。

でも、いいんじゃないか?確かアラハンの情報では魔物と戦わないし、いなくなったら次をまた召喚するって言ってたし。1/10の力でも殺してしまうだろう?どれだけ手加減したらいいか調整する自信がないわ。


軽く避けた後、最後通告をしてやる。

「わかった、この決闘の決着はどちらかが死んでもいいんだな?」

「当り前だ!死ぬのは貴様だがなー!たー!」


私はメタル系の刀を取り出した。一瞬たじろぐ勇者トオル。

私は誰も居ない方に向かって素振りを2~3回した。

勇者トオルは私が何かしたようだぐらいしかわからなかったようで、何も見えて無いようだった。見えないという事は恐怖にもならず、やはり果敢に突っ込んできた。


仕方が無いな、腕ぐらい切り落として終わるか。あ、剣を斬ってやろう。

刀を一閃!勇者トオルの持っていた剣が根元から切られた。折れたのではない私が斬ったのである。勇者トオルは剣が斬られたことも気付かず剣を振るって来る。


「たー!たー!」

「お前、それで何を斬るんだ?」

「何って貴様を斬るんだ!たー!」

「いや、刃が無いし。」

「えっ?」

ホントに気付いて無かったよ。どんなへっぽこ剣士だ?


「お前勇者なんだよな?」

「そうだ!」

「じゃあ、死ぬ覚悟もできてるんだよな?」

「ももももちろんだ。」

「今は剣を斬ったが、次は腕を斬る。その次は首だ。それでいいなら掛かって来い。」

「そそそんなの決闘じゃななない。ぼ僕が負けることはああ有り得無ないんだ。」

「どういう設定か知らんが、そっちが来ないならこっちから行くぞ。」

私が一歩前に踏み出すと


「覚えていろよー」といって逃げて行った。

んー・・勇者だよな……。


「アメーリア、勇者とは知り合い?」

「いえ、今日初めてお会いしました。なぜあんなに怒ってらしたのでしょう?あ、王様。」

勇者とのやり取りを黙って見ていた王様が立ってこっちに来た。


「タロウと言うのか。見事だ。その短剣、認めよう。」

それだけ言うと王様も出て行った。

見事っていう程の事は何もしてませんが。


「アメーリア、短剣って何か意味があったのか?」

「タロウ様は知らなくていいんです。持っててくださればそれだけでいいんです。もちろん城やこの宮殿に入れるっていうのは嘘じゃありませんから。」ウフフフ


なんか納得は行かないがアメーリアは嬉しそうだし、勇者も懲りて私には近づかないだろう。

王様もなんか納得してたし、変な事にはならないだろう。の予定だ。


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