第93話 隠れ家作り
次の日から、それぞれ行動を開始した。ダンジョン組は残り1つだったダンジョンを制覇してリクたちに合流した。ヒマワリも【竜眼】に目覚めていたし、ヒナタも【隠形】習得してた。熟練度は低いが偽装+遮断の指輪を使えば問題ない。情報集めには人数は多い方がいい。ショーンはもちろん【魔眼】がある。
ララとロロには冒険者ギルドの仕事をお願いしていた。誰も行かなくなると変に思われて勘ぐられても嫌だしな。Sカード組が復帰していたので、少し低めの依頼を熟しながら私に声が掛かるような依頼が出ないか確認させる意味もあった。
私達の方はまずマーメライの町の前に転移した。ココアに町に入って貰い転送ポイントを作って貰って町の外に転移で戻って来て貰う。一緒に町の中の転移ポイントに転移して一緒に門から町を出た。面倒だが領主や王家が管理している門ではカウントを合わせておきたい。
国同士のやり取りは無いと思うが、同じ国だと怪しまれそうだ。
町の外からは全員でアスピドケロンまで短刀で転移した。念の為メタルフロッグの指輪も付けた。
昨日頼んだ通りアスピドケロンは浮上していてくれていた。
聞こえていたかどうか確認したわけでは無いんだけどね。
「デルタはどうする?」
「私は少しこの付近の情報を確認してきます。」
「わかった。」
デルタは海の中へ入って行った、私達はアスピドケロンの頭の方に行った。
「主様!この私達が立って居る所が魔物の背中だったのですか?」
「すこいねー大きいねー。」
「そうだぞ。大きすぎるだろ?でもこいつと会話ができないんだよな。おーい、お前は話せないのかー?」
「びぼーばばーじーばーどー」
昨日とちょっと違うな?何か話してるみたいなんだが。
「昨日はありがとーって言ってるよー。」
「え?ソラわかるのか?」
「わかるよー。」
私の額が光った。
ん?誰だ?
『昨日は、助けてくれて、ありがとう。』
念話が来た。誰だ?
『誰だ?』
『貴方の、乗ってる、アスピドケロンだ。話が、通じなかったようなので、先に、従者になった。従者に、なれば、念話が、使えるからな。』
ええ!?そんな理由で従者になんのか?軽いなぁ。念話でも話し方はスローだなぁ。
『東の海の覇者がそんなに簡単に従者になってもいいのか?』
『問題無い。人間の、寿命など、短いものだ。昨日の、恩も、あるしな。』
『軽いな。私もその方が話しやすくてありがたいけどな。じゃあ、名付けをしないとな。』
『そうだな、頼む。』
全然従者ってしゃべりじゃないけど9000年以上生きてる奴だし、いいかな。
私も含めて20人目の仲間で、亀か竜か島かわからん奴に名付けか。無理だな、全く思い浮かばん。今日は最強タッグのソラとココアも居るし、ゆっくり考えよう。
でも、【思考半減】っていいのか悪いのか、これぐらい大きくなるとその方が良かったりするのかな?こいつに人化はいらないな。このまま海で漂って貰おう。浮遊大陸と合わせてアジト2号って感じで家をこいつの背中に作ってやろう。でも潜られても困らないようにしないとな。
名付けなぁ。いるか?付けてほしそうだけど名前はもうアジトでいいんじゃない?
でも浮遊大陸もアジトにした場合ややこしくなるか。
男だったよなぁ。大きくて島でアジトっぽい・・・。そんなの無いな。
もう大きいだけ取ってジャンボマンでいいか。
「名前はジャンボ・・・・じゃなくてー。」
なんだよ!その残念そうな目は。いいじゃないか、もう思い浮かばないんだよ!
あ、頭だけ取ればそれなりじゃないか?
「名前はジャンにしよう。」
お!これは2人も納得してくれたようだ。
全体が淡く光って覚醒した。
名前: ジャン
年齢: 9678
種族: 竜族 (アイランドドラゴン)
加護: 佐藤太郎の加護
状態: 普通
性別: 男
レベル:471
HP 135210/135210 MP:132111/132111
攻撃力:10110 防御力:11500 素早さ:1931
魔法: 火(3)・水Max・土(7)・風Max・氷(3)・雷Max・回復(5)・召喚(8)
技能: 牙Max・槍Max・ジャイアントブレスMax・回避(1)・遮断(2)
耐性: 風・木・水・雷・毒・麻痺
スキル:【亜空間収納】1【高速再生】4【痛覚鈍化】9
ユニークスキル:【島国】
称号: 産卵王 東の海の覇者
ステータスが少ししか上がらなかったな。ここまでのレベルになるとそうなるのかもな。
思考半減が無くなったのは良かったよ。もう少し早く話してくれそうだ。
「お前の上に村を作りたいんだがいいか?」
『よかろう。偶に潜る事もあるが、儂の甲羅の周りにはユニークスキル【島国】で陸の者が住めるように空気を残しておくこともできるからな。』
お!話し方も早くなってる。やっぱり思考半減の影響だったか。
「その【島国】って何ができるんだ?」
『できることは、もちろん島であり国だ。陸の人や魔物が住むようにできるし、島に擬態することもできる。作物も育てれば作れるし、儂が潜ってる間も陸の生物が困らない環境を保てる。』
「おお、いいな。じゃあ、ここに村を作らせてもらうぞ。」
「ここに村を作るのですか?」
「ああ、いいと思わないか?少し不便かもしれないが、皆短刀で好きなところへ転移もできるから行きたい時には行けばいい。」
「そういう事ならいいと思います。基本は自由ですし、皆がいつも集まっているっていいです。今は3チームに分かれていますので、少し残念だなって思っていましたから。」
そういう想いもあったのだろうな、私の我が侭で申し訳ない。他の連中も思っていただろうに一言も愚痴を言わなかったな、ありがたいと思うよ。皆ありがとう。
皆の為にも、まずはしっかりとした拠点を作ろう。まずはジャンの上に皆が快適に住めるようにしてやるぞ。
「ココア、ありがとう。ソラもありがとう。ここに皆が住めるような場所を作るよ。」
「ここで住むのー?」
「ここに私達の家も建てるのですか?」
「そうだ、ここで皆で住もう!。」
「わー楽しそーだねー。」
「ですね、いいですね。」
「そうなると木がたくさんいるな。他の皆には出来上がってから言ってやろう。吃驚するだろうな。」
「そうですね、楽しみです。」
これもある意味ドッキリだな。誰も嫌な思いはしないけどな。サプライズだな。
他の連中には仕事を頼んでいるので、ソラとココアと3人でやるか。
家は家1号の様に妖精樹を使う程ではなくてもいいだろう。でも、以前の簡易家ぐらいにはしたいな。いくら大きいとは言ってもスペースも限られているし、まずは19軒の家を作ってから考えるか。
持っているドライアドとニンフで19軒ぐらいなら足りるな。【錬金】なら1本丸々使うようにすれば、1軒できるだろうしコピーの方が初めは楽かな。どこかの家を解析しよう。ロンレーンの屋敷なら1軒で済むな。魔石も余裕だ。
水は水魔法があるし、トイレはクリーンもあるから大丈夫だし。火も直に使うことは無いだろうけど、甲羅の上だから大丈夫だろう。移動も問題無いし食料はまだまだ魔物を持っている。皆、解体も料理もできるし短刀を持たせているから転移もできる。
稼ぐのは冒険者ギルドでも、どこのギルドでもできるから問題ない。金貨もたくさん持っている。あとはなんだ?村と言えば物流や交流か?そんなことをする気はまったくない。隠れ家なんだから。
作物も育てられるようだが、買って来ればいいし、わざわざ育てる必要も無いだろう。
あとは必要な物が出てから考えよう。
「ようし決めたぞ。まずは家を建てる。ジャン、家を建てるのに甲羅に穴を開けて基礎を作ってもいいのか?」
『その必要は無い。ユニークスキル【島国】で陸の者が住めるようにできると言っただろう。家も同じだ。儂が許可をして建てられたものは動かん。』
「そうなのか、それは楽だな。家を建てる毎に言えばいいのか?」
『それでいい。』
基礎無しの家か、コピーだと付いてくるな。【錬金】で何とかなるか。まずは解析してからだな。家1号だと基礎は付いて無いけど見た目が家っぽくないんだよな。折角のアジトだし、家にしたいからな。
ロンレーンの屋敷の解析に行くので、ソラもココアも付いて来なくてもいいと言ったが、ココアは付いて来た。ソラはメタルフロッグの指輪を付けて海に遊びに行った。
屋敷の解析はできたが、流石に大きいから解析には1時間掛かった。
ジャンの背中に戻って来てドライアドを1本出す。
【錬成】でジャンの背中の中央の森になっている所に邪魔な木を切ってから屋敷を作った。
大きいということもあり、完成するまでに半日掛かった。しかし、ドライアド1本で完成した。比率が全く合わない。武器の時もそうだったけど、魔物1体全部を使うとそうなるのは変わらないようだ。
内装はトイレや風呂などもすべてそのまま再現できたが、魔石までは再現できない。
屋敷には空間拡張の応用で、クリーンの魔法を出し続けるように設定した仕掛けを施してある。CクラスやDクラスの魔物の小さな魔石をたくさん使うことによって消費魔力も押さえてある。
小さな魔石は売っても大した金額にもならないし溜まる一方なので使い道が無かったが、屋敷に沢山使うことで屋敷はいつも綺麗なまま保たれるし一石二鳥だった。今回作った屋敷にももちろん同じ効果の仕組みを施している。
このまま作業を続けたかったが、捜査の経過報告も聞きたかったのでバンブレアム帝国の宿に皆と戻って来た。
デルタも情報は収集済みのようだったし、ソラは海の中はそんなに面白く無いようだったので一緒に戻った。
操作の方は順調ではあるが、フォルファクスの居場所までは突き止めていなかった。
ララからは私宛のアメーリアのお披露目式の招待状が冒険者ギルドに届いてたことの報告を受けた。ベッキーはまだ寝込んでいるそうだ。




