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第91話 アスピドケロン

ココア達はうまくやってくれたかな?


『ココア?』

『はい、主様。』

『こっちは終わったが、そっちはどうだ?』

『こっちも終わりました。』

『それで、どうだった?』

『上手く行きました。それで今から病院に行くところなんですが、主様も来ますか?』

『お!それは面白そうだが辞めておこう。折角私が無関係で通してるのに今見つかったら台無しになってしまう。帰って報告を聞くことにするよ。後はよろしくな。』

『かしこまりました。』


さて、どこに行こうか。宿に帰るのも早いし、町の外に出るとまた仲間が増えそうだし。

この町にはいない方が良さそうだし、マーメライでも行って海系の魔物でも食べるか。


一旦町を出て指輪を填め、短剣でマーメライの門の外に転移した。

町の中に転送ポイントを登録すればいいんだが、念のため町の外まで行っている。

入門と出門の回数を合わすためだ。癖付けておかないとな。間違うと大変だから。


マーメライの町に入ると前回来た時と違ってすごく活気があった。

水龍が居なくなって海の魔物が獲れ出したからだ。


冒険者ギルドは寄らなくてもいいか。鍛治屋に行ってみよう。


「よぉ、久し振りだなぁ、景気が良さそうじゃないか?」

「あ、旦那~。いらっしゃい。良い武器入ってますよー。」

「前と違って元気が良いじゃないか。」

「そりゃそうですよ、魔物の素材が出回ってますから町中活気で溢れてますよー。」

「それは良かったな。それじゃ、その良い武器って奴を見せて貰おうか。」

「はい、こちらです。」


出して来た武器を見た。ここの武器はいつ見ても綺麗だ。アラハンじゃないけど見とれてしまうな。もちろん解析する。

「この剣もあんたが作ったのか?凄く良い出来栄えだ。腕を上げたんじゃないか?」

「それは師匠の作です。師匠も帰って来たんです。」

「そうだったのか、それは良いはずだ。他のも見せてくれるか?」


他にも槍や弓、手甲やナックルまであった。しかしあれが無い。

「おい、あれが無いぞ?師匠が帰って来てるんだろ?」

「はい、刀ですよね。残念ながら、師匠は帰って来てからまだ刀を打って無いんです。」

「なんで?」

「わかりません。聞いても教えてくれないんです。」


なんか考えがあるんだろうな。職人の考えることなんかわからんよ。事務職上がりの私にはね。

「あ、師匠お帰りなさい。どうでしたか?」

「今日も無ぇ~な。お、お客さんかい?悪ぃーな、あんまり良い物を置けなくってよ。」


師匠のようだがやっぱりドワーフか。でもドワーフって水を嫌う山の民じゃなかったか?


「いや、私は素晴らしい作だと思っていが、これじゃあダメなのかい?」

「ああ、全然ダメだ。もっといい素材が無けりゃ腕を振るえねぇ。」

「どんな素材ならいいんだ?やっぱりあんたもドラゴンか?」

「もちろんドラゴンはいいな。良い物が作れる。だが面白味がねぇ。まだ見たこたぁねーが、アスピドケロンって魔物を探し続けてんだぁ。だから苦手な海の傍でも我慢してるんでぃ。」


「アスピドケロン?初めて聞く名前だな。どの辺にいるとか少しでも情報が無いか?」

「なんでぃ獲って来てくれんのかい?まぁ、無理だとは思うがな可能性は少しでも大きい方がいい。儂の知ってる事は教えてやるぜ。」

「まずどこに住んでてどんな魔物なんだ?」

「海に住んでるのよ、形はわからん!見たことも無~んだからよぉ、聞いた話じゃ町ぐらいある大きな亀だとか龍だとか言う話しよぉ」


「そんなデカいものをあんたはどうやって獲ろうと思ってたんだ?無理だろう?」

「これだから浪漫をわからねーやつとは話したくねーんだ。別にやっつけようって話じゃねぇんだ、爪だけでも牙だけでもいいじゃねーか。海の底にでも落っこってるかもしれねーしよ。」

「もう一つ教えてくれ。熱いとこに居るのか?寒い所にいるのか?」

「亀やトカゲが寒い所にいるわけねーだろ。暑すぎてもダメだ。普通のとこだな。」


デルタなら何か知らないだろうか。海の事ならデルタかカインだろう?

「わかった。一度探してみるよ。落ちてるかもしれないしな。」

「ああ、期待しねーで待ってるぜー。」



念話でまずはデルタに聞いてみよう。

『デルタ?』

『はい、なんですかな?』

『アスピドケロンって魔物を知らないか?』

『知っておりますよ。』


やっぱり知ってたな。

『そいつはどんな魔物なんだ?』

『島ですな。』

『島?』

『まずは島と間違えますな。それぐらい大きな魔物ですな。亀の甲羅に龍の首を持った魔物です。』

『弱点なんかは無いのか?』

『亀ですからのぉ、やっぱり寒さですかな。』

『了解、分かった。ありがとう。』

『獲りに行かれるんですかな?』

『いや、今日は探しに行くだけだ。』

『それならマーメイドが知っているかもしれませんのぉ。今はマーメライの真西50キロぐらいにおると思いますがな。』

『そうか、ありがとう。』


やっぱりデルタが知ってたか。マーメイドね。前に作った海用の指輪がいるな。

マーメイドの所までは飛んだ方が早いか?いや、飛行の指輪はそんなに早くないから海用の指輪をして私が泳いだ方が早いか。

急がないと今日は何もできずに終わってしまうぞ。

港まで急いで来てみた。前と違って多くの船が出ていた。

船は遅いな、やっぱり泳いで行こう。


海用のメタルフロッグの指輪を付けて、偽装+遮断の指輪で無駄な戦闘を避けよう。一応伸縮自在の槍は出しておこう。


前に誰かが言ってたが、この海用の指輪はいいな。陸の上と同様の動きができるし陸より戦闘の幅が広がるよ。

一気にマーメイドが居るらしいと言っていた辺りまで泳いで来れた。


サーチ

30体ぐらいの魔物の群れが居るな。そこに行ってみよう。


お、マーメイドがいた。普通に聞けばいいのかな?前回皆はどうやってコンタクトを取ったんだろう。まずは行ってみようか。


「なぁ、ちょっと聞きたいんだが。」

「人間だ」「人間よ」「人間だ」「人間だわ」・・・・・

「ちょっと教えてくれないか?私は前に東の国の事で尋ねて来た魔物たちのリーダーなんだ。そんなに警戒しないでくれ。」

「あの時の?」「ココアさんたちの?」「デルタさんたちの?」「ソラさん………


1体のマーメイドが近づいて来た。


「ココアさんやデルタさんたちの仲間ですか?」

「わかってくれたか。そうだ、私が主のタロウというものだ。」

「そうだったのですね、それで何を聞きたいの?」

「アスピドケロンって魔物が今どこにいるのか知りたいんだ。」

「今はもう少し東へ行ったところに居るので近いですが、何のために行くのですか?」


「ちょっと後学の為にな。できれば爪か牙でもいただけたらと思ってるよ。」

「普段は大人しいアスピドケロンですが、今はとても狂暴になっています。魔物もたくさん食べられました。今は行かない方がいいのではないですか?」

「なぜ今は狂暴なんだ?」

「わかりませんが、すごく怒ってて私達も近づけません。」

「そうか、でも大丈夫だよ。私は空も飛べるし危なくなったら早めに逃げるから。情報ありがとう。」


西だな。近付いたら教えてくれよ【那由多】。それと先に【鑑定】も頼むぞ。

――わかりました。



30分もしないうちに【那由多】がアスピドケロンが近い事を教えてくれた。

ここからは念のため飛んで行こうか。


水面に出ると飛行の指輪も付ける。

空を飛ぶともう見える所まで来ていた。アスピドケロンがデカすぎて見えたのかもしれない。

本当に大きかった。ドーム何個分って言う表現ができそうだ。甲羅の上には木が生えて森みたいになってるところもあるし。



名前: なし

年齢: 9678

種族: 竜族 (アスピドケロン)

加護: なし

状態: 普通

性別: 男

レベル:471

HP 75880/135210 MP:98554/132111

攻撃力:10010 防御力:11400 素早さ:1831

魔法: 火(3)・水Max・土(7)・風Max・氷(3)・雷Max・回復(5)・召喚(8)

技能: 牙Max・槍Max・ジャイアントブレスMax・回避(1)・遮断(2)

耐性: 風・木・水・雷・毒・麻痺

スキル:【空間収納】Max【高速再生】4【痛覚鈍化】9【思考半減】6

ユニークスキル:【島国】

称号: 産卵王 東の海の覇者



凄いな、の一言だ。ただ、何とかなりそうな気もしなくもないが。

思考半減って呪いか?ジャイアントブレスってのはヤバそうだな。亀は万年って言うけど、万年に近いぞ。レベルって99がMAXじゃないんだな。じゃあ、私もまだまだだな。


攻撃力は高いがその割には素早さは遅すぎだな。思考半減もあるから、ジャイアントブレスさえ気を付ければ、こいつの防御力より武器を持った私の攻撃力の方が高いし時間を掛ければ倒せるかもな。すごく時間は掛かるだろうけど。


少し爪か牙でも頂いて帰るか。その前にこれだけデカけりゃ甲羅の頂上にでも転送ポイントを作れるんじゃないか?


時折ジャイアントブレスを吐き大きく吠えるとまたジャイアントブレスを吐く。たまに潜るがすぐに浮き上がって来てまたジャイアントブレス。これを何度も繰り返していた。

巻き込まれている魔物もいるし、私も巻き込まれたら大変だ。

ジャイアントブレスの射程より上まで上がり、甲羅の頂上を目指す。


そこには蛇の様なミミズの様なイソメの様な強大な魔物が巣食っていた。

鑑定ではシーワームと出た。

こいつらが原因でアスピドケロンが暴れてるんじゃないのか?

甲羅も穴が開いていて、中にも入ってる奴もいるようだし。

排除してやろう。アスピドケロンがこれ以上暴れるのも迷惑な話だしな。


まずは皆にも配った伸びる槍で遠目から攻撃する。慣れてないし直線攻撃だから広範囲に渡っているシーワームには効果が薄い。得意のメタル系の刀に持ち替え、近寄って攻撃する。こっちの方が早かった。恐らく1000体以上はいただろう。大きかったが強くは無かった。

ステータスは1000平均だったから簡単に倒せた。しかし数が多いので時間は掛かった。

しかも中まで入ってる奴もいたので、全滅させるまでに2時間掛かった。すべて片付けた時には、もう日が落ちかけていた。

やっつけた後は収納した。


魔物はすべて倒したが、傷が痛々しい。高速再生も持っているようだが全く追いついていないし再生も始まっていない。シーワームたちの攻撃には再生を遅らせる効果のあるものがあったのかもしれない。


小判がもう1枚あったことを思い出し、回復魔法を込めて一斉解放する。


流石小判である。

割れていた甲羅まで完全再生された。回復が完了するとアスピドケロンも大人しくなった。


甲羅を短刀で刺すと地点登録で来た。

できなければ魔法陣を作ろうと思ってたので楽ができた。ホント何でも試してみるもんだ。特にこの世界では。


素材はまた取りに来れるな。今日の所は戻ろう。短刀で戻ろうとしたとき大音量の声がした。


「ばーじーばーどー!!」

ばーじーばーどー?なんだ?誰だ?声が大きすぎて音割れもひどくわからない。

「ばーじ-ばーどー!!」

また聞こえた。周りを探すがわからない。サーチでもアスピドケロンが大きな点すぎて全面赤だからわからない。さっきのシーワームもそれでわからなかったのだ。


声のする方に行ってみる。

「ばーばーべーばー」さっきと違うパターンだ。

もっと行ってみると声の主はアスピドケロンだった。

「ばーじーばーどー!!ばーばーべーばー」デカい声だった。


「何かしゃべってるんだろうけど、私にはわからない。また明日来るから今日は潜ってもいいけど明日は浮いててくれよ。じゃあな。」


そう言い残して短刀でバンブレアム帝国の門の外に転移した。


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