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第9話 西の村

「それなら村経由で町へ向かおうか。」

まだ人に会っていないので、どういう時代背景なのか情報が欲しい。

江戸時代以前の設定だと、この格好はまずいかもしれないし。

あまり目立つとスムーズに祠にたどり着けないかもしれないからな。


オオカミのおじさんに別れを告げると、すぐに村へと向かった。

今度はやり過ぎないようにソラに先導してもらって、追い抜くことが無いように気を付けながら走った。

ココアは尻尾のブレスレットの状態で、私の手首に巻き付いている。


途中、魔物に出会うこともあったが、ソラが簡単に蹴散らしていく。

ソラを見くびっていた、自分の倍以上ある魔物でもパンチかキック1発だ。


魔物を見たときはその大きさに驚いたが、ソラは気にすることなく軽く一蹴していく。倒した魔物は私が回収し収納していく。

たまに何か武器のようなものを持っているが、後ろからではわかりづらい。

それでも私のレベルは上がるようなので、パーティということなんだろう。

ということはココアにも経験値は入っているんだろうな。


その日のうちには村にたどり着かなかった。

夜になり、野宿をすることになった。


ちょうどいい洞穴があったので、そこで寝ることにする。


問題は食事だ。

調理器具が何も無い。缶詰と途中でソラが倒した魔物は亜空間収納してあり、その中にウサギ系と鳥系の魔物がいるが焼くだけでも食べれるものなんだろうか?

さすがに魔物というだけあってデカい。解体するにも刃物もない。


いつもどうやって食べているのか聞くと、生だった。

それは私には無理だし、横で食べる姿も見たくないので今日は缶詰を出すことにして、全員でそれを食べることにした。ソラには油揚げも。

「やっぱりこの缶詰っていうの、おいしーねー。油揚げも甘くて今まで食べたものの中で一番おいしいよー」

「本当ですね、私もこんなおいしいものは初めてです!」

一人増えたし、私の食欲も上がっているので、缶詰が全部無くなった。

明日には最低でも刃物を手に入れないと 生で食べることになりかねない。

勘弁願いたい。


火はソラが火の魔法を使えたので、たき火につけてもらった。


お湯を沸かそうにも鍋も無いのである。



翌日、早めに出発して村に着いたのは昼過ぎ頃であった。

なんとか今日中に道具を揃えたかったので、ソラにもペースを上げてもらった。


もちろん途中魔物に出くわすが、ソラが簡単に倒していく。

それをすかさず私が収納していく。そしてレベルが上がっていく。

何に使えるかわからないし、お金がないから物々交換のネタは多いにこしたことは無い。


村に着くと、まずはお店を探す。

小さな村だった。民家は100軒も無さそうだし、お店も1軒だけのようだった。

それでもお店があってよかった。

町並みは予想通り、江戸時代っぽい感じで通り過ぎる人たちも着物であった。

ソラとココアの服装からそうではないかと予想していたのだ。


1軒あったお店は雑貨屋のようで、なんでも置いている。食料品から服から畑道具まで。武器も少しはあるようだった。


「すいませーん、こちらで買取などはしていませんか?若しくは物々交換とか。」

「どっちもしないことも無いけど、物によるねー」

「魔物はどうでしょうか?」

「おや、あんた!魔物をもってんのかい?森兎鬼なんか持ってないかい?」


魔物の名前はココアから聞いていた。森兎鬼とは見た目は兎に似ているが大きさは1メートルぐらいある魔物だった。

ソラは相変わらずだが、ココアは魔物の名前にも詳しかった。

初見では【那由多】が回答をくれない。ステータスのみが表示され名前の表示は無かった。ココアから聞いて2度目からは名前も表示されていた。

ほとんどの魔物の名前は漢字のようで、日本か中国を連想させる。


「ありますよ。この店で色々揃えたいので、できれば買取がいいのですが。何匹までなら行けますか?」

「あるのかい!そりゃぁ助かるよー。最近、なかなか取れなくてねー。でも見ての通りの小さな店だから、1匹でいいんだよ。あの大きさだろ?保管が難しくてねー」


そうなのか。20匹いるんだよねー。どうしたものか。

「では1匹買い取ってください。あと1匹いるのでそれは物々交換できませんか?買いたいものは服と食料と調味料、あと小刀(こがたな)のような道具と刀があればそれもお願いしたい。」

「2匹ならなんとかなるか、じゃあ2匹目の方のお釣りはあげられないけど、それで良ければ、その内容でいいよ」

「それなら解体作業を見せてもらいたいが構いませんか?」

「それぐらいならお安い御用さ。商談成立だね」

「それともう一つ。解体は3匹目でお願いできませんか?肉も欲しいので。」

「兄さんうまいねぇ。よーしわかった、解体料も込みだね。」

「ありがとうございます。」


先に裏の母屋の脇にある作業場に森兎鬼を2匹置いてきた。

そのあと、服と解体用の小刀(こがたな)を3つ、雨具と刀を3人分。

脇差無しで大刀だけ。私は武士ではないからね。

ソラもココアも薙刀がいいと言ったが、ここには無いので刀で辛抱してもらう。

ソラには技能に【刀】も付いていたはずなんだが、好みの問題らしい。

短刀はあったので、それはココアに。私も刀を持ったことも無いが、技能に付いてるから

なんとかなるだろ。

調味料は塩と味噌だけだった。醤油はまだこの世界には登場して無いのかもしれない。

1匹分の代金として2両もらった。


記憶では 江戸時代の百姓が1両で1家4人が暮らせる金額が1か月とも1年とも言われていた。1か月と12か月、大分違うけど私の記憶なんてそんなものだ。

大金なのは間違いない。


服も着替え、風呂敷に荷物をまとめてもらい、作業場へ移動する。

まだ、1匹分に足りて無かったようで、解体手順の説明のサービスまでしてくれた。

刀ってまぁまぁするはずだが、鈍らだからそんなもんだろう。

【鑑定】でも、刀(-5)と出ていた。呪われてるのかと疑ったぐらいだ。

さすがに【鑑定】でも値段まではわからない。

解体には3匹目を出して 解体してもらった肉だけをもらった。

皮や角は提供してきた。


一通り解体を教わって、この村には宿がないことが分かったので村を出ることにした。

これもまた村に1軒という飯屋があったので、食事をしてからの出発だった。

美味くなかった。味があまり無いのだ。

なぜか、油揚げが1枚ずつ付いてきていたが。あ、この村ね。


油揚げ・・・・ソラにあげるよ。

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