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第89話 クィン

「あれか。まだ昼前だし先に飯にしようか。」

昼飯を摂りながら空を見上げる。浮遊大陸はゆっくりとだが常に移動しているらしい。動力は付いて無いから漂っているだけだが、位置固定はされてないらしい。


「あれが浮遊大陸かぁ。エースは行ったことあるのか?」

「いえ、近くを通ったことは何度もありますが、縄張りがありますから上陸したことはありません。」

「虹龍エインガナが居るようなんだが、どんな奴か知らないか?」

「噂でしか知りませんが、身内に甘く他人に厳しいを極端にした奴だと聞いたことがあります。私達魔物は普通そうなんですけど、異常なぐらい極端らしいのです。」


「じゃあ、仲間にするとダメな奴かもな。」

「それはわかりませんね。」

「主様?まだ仲間を増やすつもりなんですか?」

「もうここまで増えれば一緒かなぁって。多くなれば村を作ろうかとも思ってたし。いつまでも冒険者で宿暮らしって訳にも行かないだろ?ローレライに戻れば屋敷もあるけど、なんかしっくり来ないんだよなぁ。魔物の仲間が大勢で人間の町に住むって。」


別にいいんだけど、何をするにも隠れてやらないといけないってのも嫌だしな。

浮遊大陸に隠れ家かぁ。何か憧れるよな、丸見えで隠れてないけど。

どの国にも所属してないってのがいいよな。

食事も終わり、浮遊大陸に行ってみることにした。

転送ポイントの登録だけでもできればいいと思ってた。


「先にさっきの要領で偽装死体を作っておこうか。」

「わかりました、では変身します。」


分身させてサクサクっと斬って収納。また人型に戻らせて飛行の指輪を装着させた。

私達も準備万端である。2個目の偽装+遮断の指輪も装着させて浮遊大陸を目指した。


飛行の指輪は【超高速移動】のように早くは無いが、目的地はすぐそこである。

偽装+遮断の指輪を付けているが浮遊大陸の全容を見たかったので、更に高い位置まで昇る。

真ん中が平らで周りを岩場で囲まれているといった感じで、岩場にはいくつか洞穴らしきものがあった。内部に入れるのか岩場に穴を開けてるだけなのかは、ここからではわからない。

体感的な広さも知りたいので、一度降りてみることにした。


浮遊大陸に降り立つと、忘れないうちに地点登録をした。


周りを見ると誰も居ない。

「今日は様子を見に来ただけだから帰ろうか。」

「おお!神様、ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりましたわ。」

洞穴の1つよりドラゴンが出て来た。虹龍エインガナだった。

神様?誰の事だ?なんだ?この歓迎ぶりは?


【鑑定】。あれ?こいつ私の加護が付いている。なんで?いつ従者のなったの?


加護が付いているのなら警戒する必要も無いな、指輪を外そう。

「お前、私の従者なの?いつなった?」

「はい、先程ヒュドラとラドゥーンを見張っていた時に神の声が届きました。」

私は神ではございません。


「え?あの時お前も聞いてたの?」

「はい、その通りです。」

ホント無暗に言えないな。強力過ぎます。【クロスランド】。

ココアと会話してただけなのに3体従者になるって・・・。


ココアの目が輝き出した。そうだった。名付けだ。

もう従者になってしまってるし、何とか絞り出してやるぞ。

「名付けをしようか。お前は男か?女か?」

さっき見て知ってるんだけど、もうルーティーンだ。

「女です。」

「うちは人型に変身するのと料理と解体は必須だ。名付けの時に強く願えよ。」

「わかりました。」


今日もう3つ目だ。討伐の方が楽だよ。虹龍だろ?虹かぁ。七色でナナとかセブンとか虹でレインボーでいいんじゃない?ココアさん期待し過ぎ。でも帰ったらソラも居るし、今日明日にはダンジョン組も帰って来るだろうし。考えるしかないな。んー。

やっぱり虹でいいだろ。ちょっとだけ捻ってニージェとかニジィとかニジョとか。

横にいるジョーカーとエースを見た。あ!トランプつながりでクィーンって良くない?こいつ、ここの女王みたいだし。それで行こう!


「名前はクィンだ。」少しだけ捻ってみた。

淡く光って覚醒する。



名前: クィン

年齢: 2554

種族: 竜族 (オーロラドラゴン)

加護: 佐藤 太郎の加護

状態: 普通

性別: 女

レベル:76

HP 3655/3655 MP:3789/3789

攻撃力:4003 防御力:3758 素早さ:3985

魔法: 火(6)・水(9)・土(2)・風Max・雷(6)・氷(5)・光(4)・回復(7)・蘇生(3)・聖(1)・保育Max

技能: 牙Max・翼(9)・剣(2)・槍(3)・弓(8)ブレスMax・料理(2)・遮断(9)・回避(5)・解体(3)

耐性: 熱・風・水・雷・身体異常

スキル:【変身】4【痛覚無効】6【高速移動】9【超高速移動】5【再生】9【竜眼】Max

ユニークスキル: 【監視】

称号: 浮遊大陸の王 鬼子母神



「お前って1人なの?仲間想いがキツすぎるって聞いたけど仲間は?」

「皆巣立っていったところですので、今は1人です。」

「巣立って行ったって事は帰って来ないのか?」

「ええ、巣立った者が帰って来ることはありません。」

「そうか!じゃあ、ここに村を作ってもいいか?」

「ええ、どうぞ。ここで宜しければ使ってください。」

「よしまずは町に戻ってからだな。お前も馬になれるんだろ?龍だから。」


龍は馬になれる。デフォだよね。

「いいえ、私がなれるのは今覚えた人型だけです。」

「ええ!マジか。それは入門が面倒だな。久し振りにアラハンさんとこに行くか。じゃあ、人型になってくれ。」


淡く光って変身する。

おおお!これは。洋風美人系。ユニコと双璧をなす私のストライクゾーンだ!

ただ、なぜ魔物しか仲間にならないんだ?今度は人間の仲間を作るぞー!


クィンにも、うちの必須アイテムを渡し偽装死体を作っておく。

一度ロンレーンの屋敷に短刀で転移し、冒険者ギルドに立ち寄る。

アラハンにお願いして冒険者カードを作って貰った。

もう今更だから、Sカードにしてもらった。

お礼にはレインボーナックルを作ってやった。

「またお待ちしておりますー」だって。変わらないねアラハンさん。


屋敷からバンブレアム帝国の外に転移して入門した。

先に宿に入り人数を追加しておく。冒険者ギルドに行くのは遅い方がいい。


ジョーカー、エース、クィンは人間の町が初めてだから、少し案内して時間を潰した。

冒険者ギルドが混雑する夕方を少し過ぎたころにオーフェンに会いに行った。

少し待ったが、マスタールームに通された。


「タロウさん、如何でしたか?」

「ああ、順調に終わったよ。」

「え?どういうことでしょう。終わった?」

「ああ、それで魔物を出したいんだが、立ち会ってくれないか?」

「え?え?何が終わって、何を出すんですか?」

「出したい魔物は。ラドゥーン、ヒュドラ、エインガナの3体だ。」

「・・・・・え?いや、まさか、ホントに?」


流石にこれはオーフェンでも付いて来れなかったみたいだ。今朝受けた依頼だからな。そりゃそうか。


「見てくれたらわかるだろ?一緒に行こうか?」

「確かに。行きましょう。」


オーフェンと倉庫まで一緒に来た。そこで3体出してやった。

流石のオーフェンも驚愕して声が出なかった。

でも少し待つと回復して話し掛けて来た。他のギルマスとは一味違うな。


「タロウさん、素晴らしい。流石です。今日は遅いですし、明日換金という事で宜しいですか」

「もちろんそれで結構だ。よーく触って確認してくれよ。ただ、ヒュドラは毒を放出していたから程々にな。」

倉庫係りとオーフェンで念入りに調べてくれた。

作戦成功です。


【那由多】をこの倉庫内限定でサーチを固定した。宿から然程遠くないからできた。

夜9時を回った頃、倉庫内には誰も居なくなったが、念のため1時間待ってそれでも誰も来ないのを確認してから、3人に分身の指輪を外させた。これで倉庫内の魔物が消えただろう。明日はどう言ってくるかな。言って来ないかもしれないけどね。こちらからは言えないけどね。言ったら何かしたと思われる。でも、言って来たら恩を売ってやろう。


次の日、朝食前にダンジョン組が帰って来た。

ショーンから報告を聞くと、マルコシアスは楽勝でデュポンはもっと楽勝だったらしい。

討伐達成の証拠としてマルコシアスの魔石を貰って、召喚者の情報を聞いた。


誰かは分からないがマルコシアスが召喚された際、生贄となった者の服の切れ端がマルコシアスに付いていたという。ショーンはマルコシアスと話せたから召喚者と生贄が同一人物で、その切れ端は召喚者であり生贄であったの者服の切れ端だとわかった。

この国を出る前に相談があるとも言っていた。


一緒に朝食を摂りながら新しい3名を紹介した。

これでこの町の依頼は一段落したのだが、情報はベッキーから聞いたものだけだったから、もう少しこの町で粘ってもいいかと考えていた。

ショーン達は残りの2つのダンジョンも制覇するつもりなので、宿で寝たあと出掛けるそうだ。リクも付いて行くみたいだ。


こっちのすることは冒険者ギルドで報告と報酬の受け取りと、後はオーフェン次第だ。


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