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第85話 総本山

宿に戻って、風呂も夕食も終わった頃、ショーンから『念話』が来た。

『タロウ様?今どこにいらっしゃいますか?』

『お?ショーンか?今は宿だ。こっちから連絡を取ろうと思ってたんだよ、丁度良かった。』

『何か御用でしたか?私達は今バンブレアム帝国にいますので、折角ですから挨拶でもと。この子達も会いたがっておりますので。』

『そうか、じゃあこっちに来ればいい。部屋を追加しておくよ。』


しばらく待つとショーン組の5人がやってきた。

「兄ちゃん!」「タロウ兄ちゃん!」「父様!」「父ちゃん!」

「おっ、(みんな)頑張ってるようだなぁ。順調そうで良かったよ。ショーンも悪いな、こいつらを纏めるのはショーンが一番だと思ったからさ。」

「勿体なきお言葉。私も楽しくやらせていただいております。それで、私に用というのは何でございますか?」

「ああ、この国のダンジョン攻略が依頼に入っててね、どうせならダンジョン組にやって貰おうかと考えてたんだ。」

「私達も明日からこの国のダンジョンに挑もうと考えておりました。他の国でも噂になっておりましてやって来たのです。タロウ様から頂いた指輪もそうですが、ララが頂いた伸縮自在の槍が特に素晴らしいですね。ララも初めは苦労していたようですが、今は完全に使い熟して羨ましい限りです。私にもいただけたらと思いまして。」


「そうか、槍の件は明日までに作っておくよ。指輪も渡してなかったものがあるから5人分渡しておく。飛行と透明と分身の指輪だ。」

「ありがとうございます。それでダンジョンの件とは?」


「この国に3つあるダンジョンの内、一番難易度の高い100階層のダンジョンの50階層にマルコシアスが居付いてるようなんだ。その排除を頼まれた。」


「マルコシアスですか。それなら簡単ですね。明日にでも討伐してきましょう。そのままダンジョン制覇してもいいんでしょうか?」

凄い自信だな。頼もしいよ。


「ああ、構わないよ。上に行くのも下に行くのも同じだろ。ダンジョンマスターはデュポンだそうだ。」

「デュポンは知りませんね、マルコシアスは魔界で何度か対戦しましたが、大体は私が勝ちました。今は私も覚醒しておりますし、レベルも上がりました。武器も仲間も強くなっていますから楽勝でしょう。」

魔界って狭いのか?大体って事は何度か負けたんだ。大丈夫か?


「相手も召喚されてるようだから、油断はするなよ。50階層に縛られてるようだ。できれば召喚者の情報もあれば欲しいそうだ。」

「かしこまりました。」


「とーちゃん!おいらもダンジョン行っていい?」

「リクか、そうだな行っていいぞ。いいよな?ショーン?」

こっちの仕事は明日は送迎するだけだからな。


「結構でございます。」

「いいってさ。」

「やったー!久々ダンジョーン。」


「兄ちゃん、ボクの長剣も伸びるようにしてよ。姉ちゃんだけズルいよ。」

「伸びる長剣って使い辛く無いか?槍は突く。だけど剣は切るだろ?」

「だってー。」

「じゃあ、同じ槍を作ってやるから槍も使えるようになればいいさ。」

「ホントに?やったー!」

「僕もー」「わたしもー」「おいらもー」って言うから作ってやったよ。

横で「私の分もお忘れなく。」って言うからショーンの分も作ってたから寝られなかったよ。もちろんユニコも。


確かにミルキーがダンジョンで使ってたのを見た時は、便利だなぁとは思ったけどね。

ただの新し物好きじゃないのか?

どうせ自分の得意武器で落ち着くと思うけどなぁ。

作ってくれと頼まれると、意外に嬉しかっりしたもんだから作ったけどね。

メタル系武器以来、私からの押し売りみたいに渡してるだけだからな。

役に立ってるとは思うけど。


翌朝は、皆で朝食を摂りダンジョン組と別れ冒険者ギルドに行った。

冒険者ギルドで紹介状と地図をもらい、アメーリアの住む宮殿へ向かった。

宮殿の入り口で紹介状を見せて、中へと案内される。

執事が出て来てアメーリアを紹介された。


「私の為に危険な仕事をお願いしてしまい申し訳なく思っております。しかし、総本山には行かなくてはいけませんので、是非ご協力をおねがいします。」

「別に危険ではないから心配しないでいい。それと私は冒険者だから、礼儀は知らないって思ってくれ。そっちも気を使わなくてもいいから。」

横で執事が怒るのかと思ったが、表情一つ変えなかった。



「それで、あんたと誰が行くんだ?出来れば少ない方がいいんだが。」

「はい、私の他にはこの執事と着替え担当の者とがいれば問題ありません。」

「少ないな。それでいいのか?」

「はい、出来る限り少ない人数で護衛も無しでと言われておりますから。」

「私としては少ないほどいいから文句は無いんだが。その人数ならここでいいな。準備はできてるのか?」

「はい、下の馬車に用意してあります。」

「荷物は多いのか?」

「いえ、儀式用の衣装と旅行用の着替えと総本山への献上品があるぐらいです。」

「わかった、じゃあ行こうか。」


私達が馬車まで来たら着替え担当の従者も待っていた。

荷物を確認すると私が収納し、さっきの部屋まで皆を連れて戻った。


「どういうことですか?なぜこの部屋に戻って来たのでしょう。」

私は答えず部屋の中心に魔法陣を錬成した。


「この魔法陣に入ってくれ。総本山の前と繋がっている。帰りも同じだから安全だ。忘れ物は無いか?まだ持てるぞ。」

「いえ、荷物は結構です。問題ありません。ここに入ればいいのですか?」

「そうだ、心配なら私の仲間を先に行かそう。ココア、ユニコ、先に入ってやってくれ。」

「「わかりました。」」


2人が魔法陣に入ると転送されていった。

「転送をやったことが無いから不安な気持ちもわかるが、これが一番安全な方法なんだ。さっさと入ってくれると助かる。」

「わかりました。」

アメーリア、執事、従者の順番で入っていく。最後に私も入って全員総本山まで転送された。


アメーリア、執事、従者の3人は驚いているが話はできた。

「す、凄い。こ、こんな。総本山ですか?」

「そうだ、到着だ。まだ門の入り口の近くだが、さっさと儀式を済ませて来てくれると助かる。私達はここで待っているが、どのぐらいかかるんだ?」

「い、1時間程度かと。」

「わかった。じゃあ、ここで待ってるぞ。」

「わ、わかりました。それでは行って参ります。じい行きましょうか。」


驚きから抜け出せていないようだが、3人共総本山の中に入って行った。

「あ、しまった。荷物渡すのを忘れてた。渡しに行くか。」


私達3人も門を通って総本山へ入った。門には大勢の兵や僧兵が立っていた。物々しい雰囲気だった。

アメーリアを送って来た者だと言って紹介状を見せたら通してくれた。さっき宮殿の門で見せただけで渡してなかったのが良かった。勿論冒険者カードも見せた。

意外だったのはココアとユニコも入れたのだ。


いつも町にも入っているから入れるだろうとは思ったが、総本山だというぐらいだから強力な結界が施してあるんではないかと予想していたからだ。

私は入れてもココアとユニコは入れないと思って入り口で待とうと思っていたのだ。

でも、入れた。入り口からなら入れるのかな?


町も町全体となれば無理だが塀の上ぐらいは結界を張ってある。

門から入れば問題無いし、町に入ってしまえば関係ない。ここもそうなのかもな。


受付で確認したらアメーリア達が向かったのは、まずは本殿へ行ってから祭壇へ向かうだろうとのこと。本殿への道中も僧兵が大勢巡回している。

私達は本殿へ向かっていると那由多が【サーチ】を目の前に出した。赤い点が1つ確認できた。


(なんだこれは?ここは総本山の中じゃないのか?)

――中ではありますが結界はありません。


やはり無かったのか。何でかわからないが赤い点の魔物が気になる。急いで先へ進むとやはり魔物と誰かが戦っていた。


鑑定してみると、ミザイバードと出た。大したことは無いが、冒険者でAランクでも厳しいぐらいの強さはあった。Bクラスでも強い方だろう。それがなんでこんなところに。


戦っているのはアメーリアの執事のようだが長くは持つまい。従者の姿が見えないようだが先に逃げたのだろう。アメーリアは執事の後ろから補助魔法で援護しているようだ。

騒ぎを聞きつけた兵も来ているが、だれも手を貸そうとしていない。


どういうことだ?なぜ誰も手を貸さない?疑問に思ったが、まずは助けないとな。

私は超高速移動にも負けない速さで魔物まで辿り着き、そのままミザイバードを真っ二つに切り捨てた。


周りの僧兵は、いきなり現れた私が一刀の元に魔物を切り捨てた驚愕で少し止まっていたが、気を取り直すと今度は私を逃がさないように包囲した。


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