第8話 ココア
「あと、気になるのは私がこの世界に現れた場所なんだが、もしかしたらそこにまた入り口が現れるかもしれない。そこを見張って何か変化があれば教えてほしいんだが。」
「そんなことなら容易い。これを持って行け。」
オオカミの尻尾から小さな尻尾が浮かび上がり、そのまま太郎の手首にブレスレットのように巻き付く。なんかお洒落だ。
「我は山の神になったので、この地より離れられんが眷属をおぬしに贈ろう。その眷属は我ともつながりがあるので、連絡を取り合うことができる。お主が現れたところは我の縄張り内であるから、異変があればわかるだろう。今回と同じ結界が現れればすぐにでもわかる。その時は、眷属に連絡を取ることを約束しよう。その眷属は我程では無いが、なかなかの強さも持っておるぞ。名前を付けてやれば、更に強くなるだろう。」
一応、負けたことで私の願いは聞いてくれるようだ。
名付けね、よくある設定だ。デフォだね。
覚えているうちに 早速名前を付けよう。
「こいつは雄か?雌か?」
「雌だ」
「じゃあ」
とチラッとソラを見る。可愛い系だったよな。それなら
「ココアでどうだ。」
これもキラキラネーム系
「あー可愛いかもー、いいねココアちゃんかーよろしくねー」
名前が決まると手首に巻き付いている尻尾が淡く光、勝手に手首から離れると
地面にゆっくりと落ちるとオオカミの姿になった。
オオカミのおじさんの半分程度だが、それでも3メートルぐらいはありそうだ。
「主様、素晴らしい名前をありがとうございます。これからはしっかりとお仕えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。」
そう言うとココアは目を瞑り俯きながら力を込めている。
また私の額あたりに光るものを感じる。
あ、契約か。いいのか?オオカミのおじさんの眷属だろ?
しかも何もあげてないぞ?
「いいのか?お前の眷属だろ?」とオオカミのおじさんに尋ねる。
「構わん、従者契約なら問題ない。名付けによりココアも更に力を得たようだし良い仕事をするだろう。我も一時期は従者をしておった。何の問題もない。」
契約は名付けだけでも成立するらしい。ソラの場合は、式具(箸)が先だったけど
本人が良ければどちらでもいいらしい。
名前: ココア
年齢: 150歳
種族: 白狼族
加護: 異空間住人の加護
状態: 普通
性別: 女
レベル:30
魔法: 水・土・風・
技能: 牙・短刀・薙刀・採集・料理
耐性: 熱・雷・毒・麻痺
スキル: 【変身】
ユニークスキル:【山の神とのつながり】
称号: なし
全員【変身】を持ってるな。何に変身できるんだろう?
「ココアは何に変身できるんだ?」
ソラは狐だから、何にでも変身できそうな気がするが、オオカミだとどうなんだろう?
「はい、私が変身できるのは先ほどまでのブレスレットと人の姿になれます。」
「うちは何でもなれるよー、たまに失敗するけどー」
はいはい、まずは尻尾を隠そうね。
「そうなんだ。じゃあ、人の姿を見せてくれ。」
「かしこまりました」
ココアはそう言うと、淡く光り人の姿に変身した。
背はソラとあまり変わらないが、白というより銀色に近い髪に黒い目、白い絣の着物を着た色白の可愛らしい中学生ぐらいの感じの女の子だった。
ソラよりも少し年下の妹のようだった。
ただ、その言葉使いからもソラよりはしっかりしたできる妹って感じだ。
頼りになりそうだ。
今から西の祠を目指したいが、3人で向かうとしてこの装備でいいものなのか?
この世界の住人と会うこともあるかもしれないし、魔物対策もしないといけないな。
「ソラ、西の方に村や町はあるのか?」
「あるよー、いつもご飯をくれる村は西の方だよー」
「その村で服や武器なんかは手に入らないか?」
「どうだろうねー」
「主様、ソラさんのおっしゃっている村では服は手に入るでしょうが、武器や防具は無かったかと思います。さらに西に行けば大きな町があったはずです。」
やっぱり使える妹だねーココアちゃん、そしてソラさんは残念だ―。
「それはいい情報だ。あとはお金だな。それとそこへ行くまでの装備か。」
「お金に関しては分かりかねますが、装備というのは魔物対策でしょうか?それなら必要ないかと思います。ここから西の町までに私たちより強い魔物はおりませんから。」
それも良い情報です。ココアさん、できる女です。