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第61話 武器フェチ

さぁて、昨日一日無駄にしたからなぁ。あれから全員休みってことにしたから。

ゆっくりはできたんだけど、ホントに何もしなかったなぁ。


ふと、東の国の事を思い浮かべた。

この町と言うか町を含めての国は、この大陸の一番西にある。

東の国は、東と付くだけあって、東側にあるんだろうな。

では、東を目指すか。


ルートとしては、北を行くか中央を突っ切るか、南のケンジが居たと思われる国を経由するかだな。


中央は胡散臭い勇者のいるバンブレアム帝国があるって言ってたから、辞めとこう。

北も南も勇者がいる時があるって言ってたから、その情報を聞いてから決めようか。


下手に関わって、魔王退治とか言われるのは面倒だからな。

私は、冒険者であって勇者ではありません。今の所、人間のパーティも私だけです。

元々の称号も異空間の住人ですから。


情報と言えば、やっぱりアラハンかなぁ。行きづらいんだよなぁ。絶対に文句言われるよな。


東を目指すなら、全員で行くよりは、少数精鋭だな。


東の国へ向かうためなら、ソラとココアははずせないな。ノアも馬車として頑張ってもらいたい。あと一人ぐらいか。

ララとロロが、もう少し一人立ちできるまで面倒が見れるミルキーは置いておきたい。


影役が一人欲しいな。悪魔のうちで誰か、能力から行くとイロハだな。



朝、全員が集まっての食事が終わり提案をした。


「ちょっと聞いて欲しい。」

注目していることを確認する。私の真剣な表情に、皆も何か察するものがあるようだ。


「私は東の国へ戻る方法を探しに行こうと思っている。この国はこの大陸の一番西のようなので、全く逆の東側をまずは目指そうと思っている。そこで、全員で動くと機動力が落ちるので、少数精鋭で行きたいと思う。」

皆しっかり聞いてるな。


「ルートも北か南か迷ってるので、まずはその情報集めからになるが、人選としてはソラとミルキーとノアとイロハで行こうと思う。」


「なぜですのぉ?」

人選に外れた者が文句を言おうとする前に、ノアが口を挟む。


「なぜって、機動力とか」

「わらわと馬車があれば、機動力が落ちることはありませんわぁ。」


「じゃあ、町での行動は?」

「町に入らなければいいのよぉ。」

簡易家があるな。


「じゃあ、どうやって情報収集するんだ?」

「そこで人選すればぁ?」

「・・・・・んー。確かにその通りだな。確かにそうだ。」


目から鱗だった。それこそ、ゲームのロールプレイングなど、多くて5人パーティだしアニメやコミックスもそうだった。それは魔王を倒すと言う勇者のゲームだからそうであって、別に10人でも問題ないのだ。ダンジョンに入る訳でも無いしね。逆に人数が多いほど強いわ。しかも10人で移動できる手段も持っている。

私の勝手な固定観念だった。これは反省だな。

それを言われたのがノアってのが少し気に入らないが、まあいいよ。

「よし、それで行こう。全員で行こう。」


全員が笑顔になった。


「じゃあ、出発の日を決めよう。何が起こるかわからないので、若干の予定変更はあるかもしれないが、1週間後にしよう。それまでに、できること用意することはやっといてくれ。」


全員、同意してくれた。


「準備としては、今日中に全員に亜空間収納ボックスを作って渡すから、必要なものは入れておくこと。後は熟練度が8や9になっている物はMaxまで上げておくこと。買い出しもあるが、これはソラとココアに任せていいか?主に野菜や調味料を大量に購入して置いて欲しい。ララとロロは武器や魔法の熟練度を上げて置くこと。お金は全員に金貨100枚ずつ渡しておくからな。必要だと思う物は買っておくんだぞ。」


「「「「「「「はい!」」」」」」」


「私は私のするべきことがあるので、構わなくていいからな。」


皆に金貨を100枚ずつ配り、庭に出た。


簡易家を広げよう。

簡易家を出す。錬成と空間魔法と土魔法と木魔法を使い、魔石をセットするところを10か所作る。今までセットするところは1か所で念のための予備で4個あっただけだからそれも消しておく。

魔石をセットし、空間を広げる作業に移る。魔石からは空間系の低級魔法が出るようにセットし、様子を見る。大丈夫そうだな。今度は8畳の部屋を10個と、浴室とトイレは2個ずつにした。【複製】で作り、木魔法と土魔法で仕切り壁を作って行く。キッチンはそのままだが、食堂はテーブルをもう一つ【複製】し、10人でもゆっくり座れるようにした。


簡易家はこのまま出して置き、出発までに自分の部屋を使いやすいようにタンスやベッドなど必要な物を入れて行ってもらう。


次に馬車を出し、念のためこちらも中の空間を広げて置く。

広げ終わったら、馬車は収納。

クリスタル系魔物を1匹出して、クリスタルソードを作る。観賞用だから鞘もクリスタルで作っておく

ドラゴンの皮で装飾も施して、アラハン対策を作っておく。


次に冒険者ギルドへ行き、掲示板の依頼を確認。

C以上で、素材を持っている物を全部掲示板から剥がし、引き取り所で素材を出してやる。

C以上の依頼で残っているのは、ドライアドと護衛だけになった。ドライアドはたくさん持ってるが大きいのでここでは出せないから相談してからだ。

他にも引き取って貰えそうな魔物を聞いて出しておいた。

アラハンの所に行って、帰りに寄るのでそれまでに清算を頼んでおく。


さあ、アラハンの所にやって来た。

「やぁ、アラハンさん!」元気よくマスタールームに入った。

アラハンは返事も無く、薄目でジトーっとこっちを見ている。

「大変だったようだね、武器の取材でも受けたかい?」

と、惚けても一言もしゃべらない。今日のアラハンは一味違うようだ。

「君も大変だろうと思って、今Cランク以上の依頼はほとんど依頼達成してきたよ。」

まだ、しゃべらないが、少し表情が緩んだ。


今だ!

「先日のことは、私にも多少は、多少は責任があるかと思ってね。プレゼントを。」

お?ちょっと食いついた。

「そのープレゼントを・・・・ねー。」

目が大きくなってきた。


「これなんだが。」

と出してやる。クリスタルソード。

「おおお!何ですかこれは!?この前の刀のソードバージョンですか!?プレゼントというからには頂いてもいいんでしょうね。いや、頂きました。もう返しません。」

チョロいぜ、アラハン君。


「ああ、プレゼントだからね。それで、依頼の残りがドライアドと、護衛のようなんだが、ドライアドは持ってるんだが大きくて出せないんだ。どっか出せる所はある?」

「あ、それは貴方がいつも行ってる工房からの依頼です。できれば届けてあげてください。」

「お、そうなのか。分かった、帰りにでも寄って行こう。」

アラハン君、完全に機嫌が直ってるねー。武器フェチ、分かり易くていいね。


「それと聞きたいんだが、南と北の勇者様は今召喚されているのか?」

「勇者の事が気になりますか?北は今いるようですが、南はハッキリとしないんです。勇者召喚はされたようなんですが、行方不明とか。普通、勇者召喚中は次の勇者が呼べませんからねぇ。」

そうなのね。どうなの?私が倒したって言ったら、でかしたって言われるかもしれないんじゃない?ケンジが居たから次が呼べなかったようだし。

でも、勇者を倒せるんだからそのまま魔王を倒してください。とも言われかねないんで知らん振りしておこう。


「一番東の国って、何ていう国なの?」

「マーメライという漁業や海に関する産業の盛んな国です。東の国へも、この国から行っていたそうです。今は行けないそうですが。」

「なんで?」

「わかりません。国が遠すぎてギルドの情報もうまく伝達できていないというか、必要ないのでお互いに情報交換が少なくなっているのです。」


「冒険者カードは通用するの?」

「もちろん共通です。」

「Sも?」

「もちろんです。」

「そ。Sカードって、誰がどこで知るの?前もノーライザの町でギルマスに呼ばれたけど。」

「冒険者ギルドで、提出された時にわかります。ノーライザの町では他の方を登録されませんでしたか?」

「あ、ノアとミルキーを登録した。」

「その時にパーティ登録もされませんでしたか?」

「あ、した。」

「だからでしょうね。入門は領主の管轄ですから、冒険者ギルドには情報は入りませんよ。」


「それを聞いて安心した、ニーベルトさん所に寄って帰るよ。ありがとう。」

「どこかに行かれるのですか?」

「まだ行かないが、そのうち行くかもね。」


1階で精算金を受け取り、掲示板のドライアドの依頼を剥がしておく。

依頼が多かったため、依頼達成料は素材と追加した素材を合わせて、金貨800枚になった。

日本円で8000万円相当なのに、もう多いのか少ないのかわからなくなってきた。

今回貰った時も少ないって感じてしまった。

ニーベルトさんの所へはドライアド1本となっていたが、もっといるだろう。

何本いるのか聞いてみよう。


「こんにちわー」

「おお、今日はどうしたのじゃ?」

「依頼の件だよ、ドライアドの。」

「おお、持って来てくれたのか、じゃあそこに出しとくれ。」

「1本でいいのか?依頼は1本だが、何本でもいいよ。」

「では10本貰ってもいいか?お代は払うでの。」

「わかった。ここでいいか?」

と10本出してやる。

「代金を持って来るから待っておれ。」


奥にお金を取りに行った。

周りを見てみると馬車だらけになっている。

本当に繁盛しているようだ。でもこれじゃ魔石が足らなくなるんじゃないのか?

浮かすのに4個と、どうせ空間も広げてるんだろう。1台に8~10個は魔石を使ってんじゃないか?


「じゃあ、これが依頼完了のサインと、10本分の代金で金貨800枚じゃ。」

「へぇ高いもんだな。さっきの魔物討伐と素材代で金貨800枚だったぞ。」

「そりゃそうじゃろ。こんな大木が1本丸々。それも10本もどうやって運ぶんじゃ?普通は無理じゃよ。だから高いんじゃ。」

「なるほどね、気になってたんだが商売繁盛だなぁ。魔石は足りてんのか?」

「痛いところを付きよる。足らんのじゃ。お前さん、ちょっと分けてもらえると助かるんじゃが?」

「ああ、いいよ。何個居るんだ?Bランクでいいのか?」

Aランクもまだまだあるんだが、1個500万とかだから数が居るならBランク魔石でいいだろ。50個出してやった。

「おお、これで当分凌げるわい。助かったわい。」


また奥へ戻って、お金を持って来てくれた。

「ほい、金貨300枚じゃ。」

「あれ?前は1個 金貨5枚だったぜ?250枚じゃないのか?」

「今は魔石不足になってのぉ、相場が少し上がっとる。」

それって あんたのせいじゃね?馬車ブームで魔石がいるんじゃないのか?

でもほいほいと金貨1000枚以上出したよ。儲かってるんだなぁ。

「しかも、それは買値じゃからの、売値はもっと高いからの。心配せんでも損はしとらんぞ。」

ニーベルトさん、ほくほく顔だった。


また来ると言って鍛冶屋に向かった。

「やあ、親父ぃ」

「おお、(あん)ちゃん。聞いたぜ、この前のレインボーソード。兄ちゃんの作だって?鍛治ギルドまで見に行って来たぜ。」

「いや、あれはたまたまだ。それより、少し町を出るんで聞きたい事があってね。」

「たまたまって。ん?町を出るのかい?長いのか?」

「そんなに長くはならないと思うが、東のマーメライまで行ってみようと思ってね。」

「そりゃまた遠いな。何年も掛かりそうだ。そうだ、この前のドラゴンの防具が売れた代金な。金貨4000枚だ、すげぇだろ!儂の分はもう引いてるからな。次の分ももう買い手の目星は付いてるぜ。」

「すごいな、腕もそうだが、その売れるルートを持ってることが凄いよ。まだ行けるなら置いて行くけど?」

「ドラゴン素材の武具なんて、滅多に出ないからな。買い手はすぐに付くぜ!ドラゴンももちろん欲しいんだが、魔石も欲しくてな。魔石を付けることで効果が高くなり、売値も高くなるんだぜ。今、魔石不足でな。」

「もしかして馬車ブームとか言わないか?」

「そうなんだ。貴族たちが我先にと買いに走ってるんだが、その馬車には魔石をたくさん使うらしくてな。」

「知ってるよ。わかった。じゃあ、ドラゴンで1体分の爪と牙と、ランクAの魔石を10個置いて行く。どんなドラゴンが良い?あれば出すけど。」

と魔石を10個出した。


「すげぇな(あん)ちゃんは。商売始めた方がいいんじゃねえか?」

「それは私には向いてないな。無理だと思うよ。で、希望のドラゴンはあるのか?」

「ああ、タートルナーガがいいんだが。」

「・・・あるよ。」

バーテンのマスター風に出してやった。知らないだろうけどね。甲羅も付けてやった。

「凄いな!いつも。こんなにほいほいドラゴンが出てくるのは(あん)ちゃんだけだぜ。」

「魔石もドラゴン素材と同様に、利益分だけでいい。」

「今なら儲けさせてもらった分があるから、魔石分ぐらいは余裕で払えるぜ?」

「イヤ、いいんだ。いつも通りで行こう。話を戻すが、マーメライの町の方には武具に関する情報で何かないか?」

「特に無いが、水龍とかの素材が中々高価だと有名なぐらいか。水系魔物の素材が得意な町だと聞いたことはあるな。」

「そうか、器量な情報をありがとう。」やっぱりあなたはドラゴンなのね。


鍛冶屋を後にした。

残りの日程は、ララとロロの修行にでも付き合うか。後やることは転送魔法の熟練度アップと錬金ぐらいだからな。


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