第6話 18歳
「じゃあ、行くか!」
「ご主人様ー、もうちょと休憩~。さっきの缶詰が食べたい~」
「ん?そうか、じゃあひとつだけな。」
亜空間収納から缶詰を出してやる。
人モードになったソラはバクバクと食べ始める。
私は年になってから食欲は減ったなぁと考えているとグーっと腹の虫が鳴く。
あれ?なんでだろう?いつもはそうでもないのになぁ?すごく空腹感があるなぁ。
ついでだから自分の分も出して食べる。
いつもの倍は最低でも食べた。バクバク食えるのだ。
なにか状態が悪いのか?もう一度ステータスを確認する。
!!!!!
18歳??
え????????
そこまでチートなの?
多めに買ってきた缶詰の半分も食べてしまった。
食べ終えた缶詰は袋にまとめて亜空間へ収納。
食休みも終え、サーチで大きな赤い点を確認。
!!!
近い!
『【那由多】!警告が無かったぞ!』
――こちらが警戒する必要性を感じませんでした。
『感じませんでしたって、この山で一番強いかもしれない奴だぞ!』
――この大きな赤い点の力の大きな個体は警戒するレベルではありません。従者のソラでも対応可能です。
『そうなの?』と視線をソラに向ける。
もうだいぶん近い。たぶん、目視できる距離ではないだろうか。
赤い点が反応する方角へ視線を移す。
いるじゃないですかー。しかも歯茎が見えるぐらい怒っているように見えますが・・・
1キロぐらい先に白いオオカミが見えた。
「あ、オオカミのおじさんがいるね。ご主人様どうするー?」
どうって話し合いがしたいんですが・・・
何度見ても怒っているようにしか見えませんが。
「ソラ?オオカミのおじさんとお話し合いはできそうか?」
「んーー、無理っぽいねー、今日のおじさんは機嫌悪そう」
あ、そうですか、そうなんですね。なんか原因も、よそ者が山を荒らすなー的な?
そんな感じの視線を感じますねー。絶対睨んでますよねー。
しかもソラさん、強い子とか言って無かった?おじさんとも聞いたけど。
子ではありませんねー。
ワオォォォン!と遠吠えをすると、こちらに向かって全速力で走ってくる。
木の上を全速力で駆けてくる。
その姿がどんどん大きくなる。遠くにいたので大きさまではわからなかったというより自分のイメージで大きくても2メートルぐらいだろうと決めつけていた。
周りの木が大きかったことも忘れていた。距離も1キロどころではなかったかもしれない。
みるみる大きくなってくるオオカミが近くまで来た時には、その大きさは5メートルぐらいあった。
「うぉっ!」
慌てて木から飛び降りて避ける。ソラも一緒に。
オオカミは私のいたところを少し通り過ぎてしまったが、木の反動を利用して戻ってくる。
すぐに木の下の私のところまでくる。
着地と同時にまたこっちに向かってくる。流れるような一連の動作だ。
私はよけると同時にオオカミを手で払った。
オオカミは進行方向を変えられたため、そのまま直径5メートルはありそうな大木に激突する。
私の払った力も加算されたようだ。
ドオォォォォン!と大きな音とともに大木が倒れる。
オオカミも倒れて動かなくなった。
「・・・・・すごいな。」
「派手だねー、おじさん死んじゃったかな?」
ソラがオオカミに近寄って様子を見てみる。
「大丈夫!おじさん生きてるよー」
その言葉で自分を取り戻した私もオオカミに近寄る。まだドキドキしている。
【鑑定】してみる。
名前: なし
年齢: 930歳
種族: 白狼族
加護: 森の精霊の加護
状態: 気絶
性別: 男
レベル:73
魔法: 火・土・風・雷
技能: 牙・刀・採集・
耐性: 熱・雷
スキル: 【変身】【同族召喚】【加速】【統率】
ユニークスキル:【天災】
称号: 山の神
気絶してるだけみたいだな。
山の神って・・・・
このまま放置ってわけにはいかないし、聞きたいこともある。
ただ、起きるとまた襲われそうだし、どうしたものか。