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第58話 鍛治ギルド

「こんにちわー」

「お、兄ちゃん、今日はどうした?」

「武器を探してるんだ。ナックルと長剣なんだが、置いてないか?」

「お、タイミングがいいねぇ、丁度どっちも入って来たとこだぜ。」

「見せてくれ。」


鍛冶屋の親父が奥から持ってきた。まだ荷も解いてなかったようで、本当に入ってきたところのようだ。出してくれた武器を見てみる。

「手に持ってもいいか?」

「ああ、いいぜ。色々試してみてもらっても構わねぇぜ。」


手に持って複製の容量で感じてみる。あ、解析できた。これって泥棒になるのか?

ナックルも長剣も解析できてしまった。あとは私の持っている素材の方が良い武器ができるので買う必要は無いんだが・・・・。


「あの坊主達はうちの防具を気に入ってくれたかい?」

「あ、ああ。気に入ってたみたいだよ。」

「なんでい、その気のない返事は。気に入らなかったのか?」

「そんなことは無い。着た時はすごく気に入ってたよ。その後会って無いもんだから。」

と誤魔化した。もうサイズが合わないから何て言えない。


「そうなのかぃ。あと、前に預かったドラゴンだけどよ。もう売り手が決まってよ。その前に一晩貸せって言うから置いてあるんだが?」

「お!売れたか。よかったな。それは今あるのか?」

「おお、この箱の中だ。」

と言って、大きな箱が3つ店の奥に重ねてあった。


「今見てもいいか?」

「今は客が来てねぇからいいが、そこで開けて見るのか?」

「それでいい。頼む。」


箱を開けてもらい、2つは防具類と1つは短剣など武器がいくつかあったので、全部解析した。

ほぉほぉ、と感心して見ているような振りをしてすべての解析が完了した。


もう見せてもらったから売ってくれればいいと言っておいた。


鍛冶屋には武器を1本見て貰った。レインボーソード試作版だった。

アラハンに渡すものを作るときに、試しに一つ作ったものだった。

この素材の魔物について知っているか聞いたが、知らなかった。

ただ、素材にも出来にもすごく驚いていて、どこの誰が作ったんだとしつこく聞かれたが、知らない、わからないで通した。


私が作ったのだよ。フフフフちょっとした自慢にできるな。


ついでに鍛冶と武器のギルドについても聞いてみた。


どちらもこの町に支部があるし、入会するのも簡単だそうだ。

メリットとしては店を出すとか仕入先の斡旋などをしてくれるそうだ。

あと品評会には、ギルドに入っていないと出られないそうだ。

今回は、この町の順番らしくちょうど開催中だった。

支部の場所も教えてもらった。


当然入会して、品評会を見に行く。マイブーム真っ只中の鍛治。

行くに決まってるじゃないですか。称号に鍛治神金山彦まで付いてるんだぞ?

行かないわけが無いでしょう。

ココアも乗り気だ。

行って解析しまくりだ!


最期に、皮だけ使ったファフニールの爪と牙があったので、置いて来てやった。

鍛冶屋は声も出ないぐらい驚いた後、またテンション上がって来たぜーって燥いでた。


途中で食事をしてから向かうことにした。


こちらも冒険者ギルドと同じく、3階建ての鍛治ギルドに着いた。


「すいません」

「はい、なんでしょうか?」

受付のお姉さんが聞いてくる。


「入会できる?」

「はい、入会希望ですね。」

「ああ。」

「それでは、これに書き込めるところを書いてください。」

お、冒険者ギルドと同じだな。記入して出した。


「年会費、銀貨1枚をお願いします。」

こっちは銀貨1枚なんだ。

銀貨を1枚払った。


「これがギルドカードでございます。説明を聞きますか?」

「ん、頼む。」


D 行商ができる。 年会費 銀貨1枚 更新1年

C 町で店が持てる 年会費無し  更新無し    

B 町で何軒も店が持てる   〃

A 登録している町以外でも店が持てる


冷やかし防止のためのDランクって感じだな。しかも銀貨1枚だから悪意も無さそうだ。

結構お手軽なイメージだな。商人とは違うからなぁ、逆に職人って商売下手ってイメージがあるから救済措置的な感じかな?


「今、品評会をやってるって聞いて来たんだけど。」

「はい、この建物の2階でやっております。」

「入会したから入ってもいのかな?」

「それは難しいかと。」

「どういうこと?」

「品評会には出品者と、その付き添いが何名かしか入れません。あと、Bランク以上のギルド会員が入れます。」

マジか!入れないじゃん!ん?出品者?


「出品すればいいのかな?」

「そうですね、結構だと思いますが。」

「品評会っていつまでやってんの?」

「本日までです。」

ええ、今日までか。すぐには作れないぞ。コピーはダメだろうから、今 持ってる作った武器・・・・。

さっきのレインボーソードじゃダメかな?

他は攻撃力のヤバいメタル系だから出したくない。出しちゃダメなやつだろう。


「じゃあ、この武器を出品するから品評会に入れてくれないか?」

レインボーソードを出してみた。

「!!お待ちください。」とお姉さんは奥の男と話している。


「お待たせしました、この剣ですね。拝見いたします。」

と出て来た男がレインボーソードを手に持って見始めた。


「ほぉ、これは素晴らしいですね。美術品としては一級品ですね。これを出品するということでよろしいですかな?」

「いいよ。」

「これは、どなたの作品でしょう?」

「私だ。」

「これは!失礼しました。では出品物として受付ました。品評会は御覧になりますか?」

「ああ、そのつもりだ。入っていいか?」

「ええ、どうぞこちらです。」

「連れが一人いるんだが。」

「その方もご一緒にどうぞ。」

「ココア、行こうか。」

「はい」

ココアも嬉しそうに付いて来た。


2階に上がると武器や防具やその他装備品がたくさん並んでいた。

売っている物もあった。


2階の受付で注意事項だけ聞いて、出品物を見て回ることにした。


そんなに珍しい物は無かった。ただ、手で触れて品定めはできるようで、触れられるものはすべて解析して回った。


ココアは槍や鉾を中心に見物していた。ブーメランなど投擲用武器は面白味があったので、なるべく多く解析した。アトムが喜びそうだ。

ララが言っていた、ミルキーみたいな伸縮する武器は無さそうだった。

あ、私がミルキーが伸縮しているところを解析して見ればわかるかもしれない。

ミルキーに頼んでみよう。


しかし、こういうものって時間が経つのがのが早いよねー

もう終わりの時間らしい。最後にグランプリの発表とか言ってるけど。

出品したレインボーソードを返してもらって、そろそろ帰るか。


「主様?あれ?」

「ん?どうした?」

ココアが見る方に目を向けてみる。

私のレインボーソードを持った人が前で何かしゃべっている。

何か受賞できたみたいだ。私って結構スゲーのな。今度、鍛冶屋の親父に自慢しよう。


「ココア、何か貰えるみたいだぞ?代わりに行って来てくれよ。私は時間一杯まで色んな武器に触っておきたいから。」

「か、かしこまりました。」


それからも回って色々解析したが、素材が違うだけで、そんな変わり映えしたものはなかった。しかし、防具でお面や尻尾って・・・一応解析はしておいたけど・・アリでいいのか?

そろそろ帰るかな。あれ?ココアは?先に帰ったかなぁ?


1階に降りてもココアは見当たらない。

『主様ー?』


あれ?念話だ。

『ココアか?今どこだ?もう帰るぞ?』

『助けてくださいー』

『どうした!どんな魔物だ?町の中にいたのか?』

『違いますー、助けてくださいー。』


なんかソラみたいになってんぞ?

『どこにいるんだ?』

『2階の舞台の上ですー。』


2階に戻って、舞台の方へ行ってみた。


「あ!主様ー、ここです、こちらですー。」

その声で、舞台上の全員がこっちを向いた。

なんだ?なんだなんなんだー?私は何もやってないぞ?

そりゃ、解析はしたさ。でもこれは泥棒とは違うだろ!物は何も取ってないんだから。

だから、堂々と帰るぞ!


「ココア、帰るぞ。早く私の剣を貰って来てくれ。」

ココアの周りを囲んでいた人達が一斉に私の元へ集まって来る。


一斉に捲くし立ててくる。

これは何と言う剣ですか?素材は何ですか?あなたは鍛治歴何年ですか?どこで店を出してるんですか?工房はどこですか?師匠は誰ですか?素材はどこで仕入れたんですか?剣以外は出品していないのですか?弟子はいますか?・・・・・・などなど。


なんだこれは?なにがどうなってる?

『ココア。なんだこれは?』

『わかりませんー』

『私の武器はどうなった?』

『わかりませんー』

『どうやったら帰れるんだ?』

『わかりませんー』

『ただ、相手は人間だからな、手を出したらダメだぞ。』

『もう、わかりませんー。』

『逃げるぞ!』

『わかりませんー。』

『え?』


威嚇を出すんじゃないぞと願いつつ、収拾が付くまでにそれから1時間もみくちゃにされた。

結局、私の出したレインボーソードがグランプリを獲得したようだった。


最後は、もっといい傑作を冒険者ギルドのマスターに渡していると言ったらやっと誰もいなくなった。


受付のお姉さんが、おめでとうございました。と、賞金の金貨100枚と鍛治ギルドカードをAランクカードに更新してくれて解放された。

優勝者はランクAになるそうだ。

作品のレインボーソードは、1年間このギルドで飾られるそうで、返してもらえなかった。試作品を飾られるって、恥ずかしいから気合の逸品を作って交換してもらおう。


その日の冒険者ギルドは、帰って来た冒険者が中に入れないぐらいの人だかりだったそうだ。ゴメンね、アラハンさん。私が悪いんじゃないんだよ。


今頃アラハンさん、怒ってるのかなぁ。


私とココアはクタクタになって家路についた。


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