第57話 10人パーティ
明日の予定も決まったので、早く休むように言って解散した。
私はそのまま試験家に籠った。まだ、眠らなくても平気だった。どうなってるんだろ?
勿論、寝ようと思えば寝れそうなんだが、寝なくても全然平気だった。
このまま、奴らの武器と、ララとロロの防具の調整。アラハンと伯爵への手土産を作った。
コピーできるものはしたが、今は錬金の方が楽だった。
【複製】から入ったからだろう、イメージがスムーズなので作りたい形にできた。
練習用の武器をどれにするか悩んで、ドライアドで作ることにした。
木刀のイメージだったが、それでも攻撃力300になってしまった。
あ、レインボー系。レインボー系で作った武器が攻撃力5。クリスタル系が攻撃力10、ゴールド系が攻撃力2。練習用に丁度いいね。見た目も綺麗だし、これをアラハンにあげよう。メタル系は強すぎてダメだ。たぶん、間違って軽く振るだけで、家が真っ二つになるかもしれない。
あと、伯爵には収納ボックスを考えた。櫛で構造は【那由多】が解析してくれたから、形はどうにでもできるし、クリスタルボックスって格好良さそうなので作ってみた。
収納の大きさも日本分×5だったし、私が作るとそうなるのかもしれない。もちろん【那由多】解析があってこそだけどね。
次の日、朝食が終わるとココアとララとロロを連れて、まずはギルドに来た。
まだ服屋も開いて無いだろうから、先にギルドに来た。
ララもロロも私の服を着ているので、ララには大きすぎロロの背は私と同じぐらいなんだが、筋肉がすごくなってるので窮屈な服になっている。
変化したのは、大きさだけじゃなく顔まで人間と変わらない感じになっている。
耳と尻尾は相変わらずだが、鼻が人間の鼻になっていた。
これも【変身】の熟練度が上がると消せたりするのかもしれないな。
冒険者ギルドは朝で混雑していたが、いつも通りマスタールームに通された。
「おはよう、アラハンさん。」
「おはようございます。」
「持って来たぞ。前に見た物とは違うが、あれは危険すぎるので、こっちにした。不満かもしれんが、3つ作ったからこれで勘弁してくれ。」
と、鞘や柄までクリスタルで統一したクリスタルの刀。レインボーの剣、ゴールドの槍を出した。刀の鞘の柄と剣と槍の鞘や柄にも、ドラゴンの皮を巻いてアクセントを付けている。
「おおおおお!!素晴らしい!!これは、なんの素材ですか?見たことも無い素材のようですが!これを頂いてもよろしいのですか!?」
「そんなに喜んでもらえるものじゃないよ。攻撃力はゴミみたいなもんだし。」
「いや、結構結構。この美しさの前では攻撃力なんて必要ありません。」
イヤ、それって武器としてどうなの?作った私が言うのもなんだけど。
おおって雰囲気を出したココアなんか、攻撃力がゴミって言ったとたん、まるで興味が無くなったみたいだし。
でも、高価ではあるかもね。
「満足してもらえるんなら、それでいいんだ。いつも世話になってるしな。今日はお願いもあるし。」
あれ?アラハン、聞いて無い?武器に夢中すぎ?おおおって何度も言ってるし。
「アラハンさん?アラハンさん!」
「ん?なんですか?」
目が半分開いて無いんですけど。
「大丈夫か?呪いは付加してないはずだけど、ヤバそうなら持って帰ろうか?」
「な!」アラハンは武器を後ろに回した。
「もう私が頂いた物です。絶対に返しませんよ!」
はいはい。
「わかったから、ちょっと話を聞いてくれるか?」
「わかりました。家の事でしょうか?伯爵から伺っていますよ。あそこの大きなお屋敷を頂いたそうじゃないですか?しかもタダで。」
「アラハンさんが裏で手を回してくれたんだろ?感謝してるよ。その武器はそのお礼も兼ねてだ。」
「これはこれは、私にとっては十分過ぎるお礼ですよ。私は口を利いただけですから。」
「いや、それでも感謝する。ありがとう。」
「怖いですね、タロウさんにお礼を言われると。」
「失礼だな。でも、ちょっとお願い事もある。」
「なんでしょうか?今なら何でも聞いてさしあげますよ。」
「ハハハ、ホント武器フェチなんだな。またカードを発行してもらいたいんだ。」
「ブキフェチ?はわかりませんが、カードはどなたのですか?紛失ですか?」
「イヤ、この二人なんだ。」
ララとロロを紹介する。
「獣人ですか。タロウさんの紹介ですから、私としても問題ありませんが、またSカードの方ですか?」
「んー、それがちょっと迷ってる。今でも十分強くはなったが、まだまだ未熟だ。1か月もあればSカードの実力は身に付くとは思うんだけどな。」
「それならいいでしょう。タロウさんが鍛えられるわけですね。」
「主に私の従者たちが鍛えることになると思うけどね。強くはなるよ。」
「わかりました。Sカードを発行しましょう。これで10人ですね。しかも、全員がSカード所持者なんて前例がありません。」
「10人パーティって多いのか?」
「少なくはありませんね。普通は、5人ずつに分けたりします。タロウさんもダンジョン入ったから分かると思いますが、10人いてもやることがないでしょう?」
確かにそうかもな。私達の場合、ミルキーだけでダンジョンクリアしたもんな。
私達は歩いてるだけだったし。
「それでこの子達に、このギルドの依頼を受けさせてもいいか?」
「もちろんですとも。貴方たちはCランクの冒険者なんですから遠慮せずに受けてください。その方がこちらとしても助かります。タロウさんにもありますよ。」
「私は今はいいよ。もし必要であれば誰か行かせるから言ってくれてもいいぞ。」
「わかりました、助かります。拠点もわかっておりますし、その時は連絡します。」
「あと聞きたいのは、他のギルドについてなんだ。この武器を見て貰ってもわかるように、私も中々の腕前になってきただろ?鍛冶屋にもギルドがあったりするのかなと思ってね。」
「ありますよ。武器、鍛冶、魔法、料理、アイテム、薬、宿 服 家具 工房あたりが まだ有名なところでしょうか。他にも小さなギルドはありますよ。この町にも支部はありますよ。」
それぞれの場所を教えてもらった。
「わかった、ありがとう。」
ララとココのカードを発行してもらってギルドを後にした。
アラハンは最後までララとロロの正体が、先日の獣人の子供とは気付いてなかったようだ。
ちなみに、さっきの武器の素材を聞いたが「知りません」って言われた。
次は服屋だな。
服屋に行ってララとロロの服と、ついでに私の服も買った。
金貨5枚分買ったから相当な量だった。収納用に【複製】していた櫛を出し、それに入れてララに持たせた。
私達はその足で、レムンドン伯爵の所に行くのでと、ララとロロは別れた。
帰ったら、アゲハとイロハに魔法を教えてもらうように言っておく。
ココアと2人で伯爵の家に着いた。
アポは取っていないが、居なければ居ないでもいいと思って来た。
伯爵は在宅していた。
そんなに時間は取らせないからと、面会を求めると通してくれた。
屋敷に入ると、先日家まで連れて行ってくれた、使いの者がいた。
「先日はあの子達を送ってくれてありがとう。」
「いえいえ、貴方様のご様子からして、何かあるのかな?と思いまして。」
「やっぱり察してくれてたんだな。助かったよ、うまくいったようだ。」
「やはり、あの子達は冒険者に?」
「そうだな、成りたいって言うからそれなりには育ててみせるよ。」
「ご検討を祈っております。」
そのまま伯爵の部屋に通された。
「今日は、急に来てしまってすみません。」
「いえいえ、問題ありません、歓迎しますぞ。」
「家の件で、お礼も言っていませんでしたので挨拶に来ました。その後のララとロロの件もありましたしね。」
「はっはっは、家の事はもう結構。あの子達の件は確かに驚きましたな。許可をください、許可をください。しか言わんもんだから、何の事かさっぱりわかりませんでしたぞ。」はっはっはー。
まぁ、子供だ、仕方が無いね。
「それで、あの子達はその後どうなったんだね?」
「帰ってきたら、許可を貰いました。と言うので、約束通り弟子にしてやりましたよ。今は一介の冒険者気取りです。」
「そうかそうか、タロウさんなら悪いようにはせんだろう。そう思って許可しましたからな。」
「それで、家のお礼とあの子達のお詫びも兼ねまして、プレゼントを持ってきました。どうぞ、お受け取りください。」
とクリスタルボックスをだした。
「おお、これは美しい箱だな。ありがたく頂戴するよ。」
と、伯爵はクリスタルボックスを手に取った。
おや?と首を傾げ
「この箱からは魔力を感じるな。なんだろうか?」
「わかりますか、それは亜空間収納ボックスです。」
「なんと!亜空間収納だと!?それは すごいじゃないか!」
「ええ、先日晩餐に呼んでもらった時に、ココアの櫛を伯爵が見てたのでね。たまたま手に入ったものだから、プレゼントには丁度良いと思いまして。」
「たまたまとは。いつも驚かされるわ。この箱が、この町の大きさぐらい収納できるとしたら、あの屋敷10個でも余裕で買えるのだぞ。亜空間収納は時間を止められるからの。しかも亜空間収納は容量が大きいので有名だ。この国でも国王が持っているだけだからな。」
「あー、もっと入ると思いますよ。そうだなぁ、100倍では利かないでしょう。」
この町の面積は分からないが、町だからな。もっと入るけど。
「ひゃ、100倍だとぉ?そんなものをいいのか!?」
「ええ、どうぞお納めください。」
家宝にするぞ。という伯爵と別れ、帰り道だったのでついでに武器屋を覗いてみた。




