第53話 メタル大漁
今日は一人だから、行きたいと思ったらすぐ行動できるな。
あ、いつもとあまり変わらないか。でも、一人もいいな。
私には初めからソラがいたし、すぐにココアが仲間になったから、一人ではあまり行動してないな。元の世界では一人が多かったけど、こういうのも別に悪くは無いな。
そんなことを考えながら走ってたら、もう丘の石碑まで来ていた。
(【那由多】ニンフだけサーチできるか?)
――可能です。
(やってくれ)
赤い点が出た。祠方面に多いな。
(次はドライアドだけサーチしてみてく)
――完了です。
ニンフより少し手前側だな。ニンフへの行きがけに獲って行こう。
ニンフに辿り着くまでにドライアドを獲った。
鑑定でドライアドと確認すると、地面すれすれぐらいを残して刀一振りで切る。
1本丸々大木を切った。
「試してみるか。」刀は出しているので右手に持ったまま、切り倒した大木を左手で触り【複製】してみる。
思った通り、1本の大木が柄になった。質量関係が明らかにおかしい。
同じようにもう1本切って、今度は鞘を【複製】してみた。
やっぱり1本の大木が鞘になった。どういうことか考えてもわからないね。
ただ、鑑定でも付加効果にドライアドは付いている。
予想通りとはいえ、理解ができない。この件については考えないようにしよう。
ドライアドは100本切り倒して収納して行く。
30分も掛からなかった。
ニンフの場所まで行ってみた。
ドライアドと同じように2本切り倒して柄と鞘を作った。
やっぱり1本丸々が柄になり鞘になった。
目貫は柄と同じ素材なので、一緒に作られている。
ニンフで作られた鞘と柄を、昨日作った刀に付けて完成させてみた。
格好いい~。非常に満足です。
そのままメタルバードの刀で、一振り!一気に10本切れた。
自分でも吃驚した。なんだ?この威力!強すぎー!攻撃力1600、半端ないです。
試し斬りだったので、全力では無かったのにこの威力。凄すぎです。
500本も切ってしまった。
切るのが気持ちよかった。素振りをしてるみたいだが、素振りをするより気持ちいい。
この森の木を全部切れそう、斬りたいーって気持ちになってしまった。
危ない危ない、呪いは付いていませんよ。大丈夫大丈夫。
折角祠の近くまで来たので、寄ってみた。
結界は張ってあったが、私は難なく入れた。
もしかして、って気持ちはあったが、部屋の中心まで行っても何も反応はしなかった。
【那由多】もデータ不足で解析できなかった。出口だけだからな。
転送された時の、グルグル回るような感覚や着いた時に気を失っていた事を思い出していた。
普通の転送魔法とは全然違う転送なんだろうな。
予定の分は十分過ぎるほど確保できたから、町へと帰った。
まだ皆、帰ってないだろうから、工房へ寄った。
「こんにちわー、ニーベルトさんまた来たよ。」
「なんだ?またお前さんか。今度はどうしたんじゃ?」
「今度はまた家なんだ。」
「まだいるのか?そんなに家ばっかり買うんなら、普通に土地付きの家を買ったらどうじゃ。」
「今度は少し違ってね、工房代わりの家が欲しいんだ。部屋の空間を30メートルぐらいに細長くしたいんだ。幅は5メートルぐらいでいいんだ、長いのが欲しいんだ。」
「また面倒なことを言いよるのぉ。試作家を持っとるか?それでできるわい。出してみろ。」
試作家を出した。
ここをこうするとな、こうなってこうやってこうなるんじゃ。
「できたぞい。」
――空間魔法 習得しました。
え?見れば良かったのか?
お代はいいと言われたので情報のお礼にと、ドライアドを10本置いて来た。
ドライアドは、さっきニーベルトさんが持ってたからね。
次は鍛冶屋だ。
「こんにちわー」
「お、タロウさんか。今日は一人かい?」
と私の後ろに目をやる。わかってますよ。
「すまんな、一人なんだ。ミルキーは一緒じゃないよ。」
「だ、誰もそんなこと言ってねーよ。ぶ、武器だったな。」
図星かよ!わかりやすな。
「できてるのは、ブルードラゴンスピアとブルードラゴンボウと短剣だ。ブルードラゴンボウは弓剣術にも対応できるように 握り手を真ん中と下側に施した。上側は刃になっているから注意が必要だぞ。こういうリクエストだったからな。ブルードラゴンダガーはまだ1本しかできてねぇ。持っていくか?」
「ああ、ありがとう。最高の出来だな。全部貰って行こう。いくらだ?」
「ドラゴン素材の仕事をさせてくれたお礼もあるが、金貨200枚はいただきたいな。」
「わかった。」金貨200枚を渡した。
「あと、短剣1本作ったら、うちの注文はストップしてくれ。」
「そうなんかい?まだ半分ぐらいあるぜ?」
「だったら、好きなものを作ってくれて構わないぞ。そして売った差額をこちらに回してくれればいい。」
「そ、それって、うちが金も払わずに商売してるみたいになるんじゃねーか?」
「そうだな、投資みたいなもんだ。技術料だけを売る感じになるな。良い物を作ってくれたお礼だ。」
「そりゃ、いくらなんでも・・・。」
「だったら、一つだけ条件を付けさせてもらっていいか?」
「おお、なんだ?」
「出来上がったら、売る前に一晩貸してくれ。それだけでいい。」
「そんな条件でいいんだったら、お安い御用だぜ。本当にいいのか?」
「ああ」
「ホントに俺の好きなもんをこのドラゴン素材で作っていいのかよー。なーんかアイデアが溢れてきた!テンション上がって来たぜー」
ご機嫌の鍛冶屋と別れ、宿に戻った。
まだ皆 帰ってなかった。
【複製】でまだ試したいことがあった。丁度いい、今のうちにやるか。
メタルラットを出す。今度は小さい物を大きく作れるものなのか試してみる。
メタルラットは短剣の分ぐらいしかないから、これで弓を作ってみよう。
さっき受け取ったばかりのブルードラゴンボウを出し右手で持ち、左手でメタルラットに触れる。
今度は 40分ぐらいで完成した。素晴らしい出来だった。
時間が短くなったのは、熟練度が上がって来たのだろう。質量の違いについてはわからないな。
今度は素材より武器の方が大きいのに、完成できたんだから。
【鑑定】
名称:メタルラットの弓
種類:弓
攻撃力:1550
守備力:0
付加効果:メタルラット
攻撃力も刀と大して変わらないし・・・。わからん。
「ご主人様ー」
お、帰って来たな。
「どうだった?」
「いーーーっぱい獲れたよー。うちの薙刀作ってー。」
うわっ、何だろう、なんかイヤな予感しかしない。
続いて入って来たココアに聞いてみた。
「どう?・・・だった?」
「はい、たくさん獲れました。初めは中々見つけられなくて。その間に出会った魔物も仕留めましたので、それらの収納でイロハさんの収納が一杯になってしまって。」
えーーーっと、奴らの収納能力は、あの時の魔物の山の5倍ぐらいって言ってたから、体育館満タンぐらいだとして、それぐらいの魔物がまず、いるわけだ。
「・・・それで?」
「その後、ソラさんがメタルだらけの密集して生息している洞窟を見つけまして、今まで掛かってしまいました。やはり、一体倒すのに少し時間が掛かりましたから。」
「・・・・で、どのぐらい獲って来たの?」
「はい、ショーンさんとアゲハさんの収納が満タンになったので終了にしました。」
褒めてーって感じで話すんじゃねーよ。獲り過ぎだっつーの。お前達、何個武器を持つつもりだよ!1個でいいだろ、1個でー。
「はいはい、よく頑張ってくれたね。オツカレサン。。。」
「はいー!」
そんなに褒めてないから。喜び過ぎー。




