第52話 武器の素材
「皆、紹介しよう。ショーンとアゲハとイロハだ。」
なぜ、名前の度にそんなに目を輝かせる。ソラさん、ココアさん。
キラキラネームにして良かったよ。
「こいつらは悪魔で、人間はアークデーモンって呼んでるみたいだが、クラスがあって、それぞれ・・・・細かいことは別にいいか、仲良くやってくれ。」
「今日の予定だが、前に狩競争やった時のことを覚えてるか?」
あ、皆の目が合わない。あれ?そんな前の話じゃないけど。
「んー、フルメタルの魔物を捕まえた所だ。」
「「「「「あ!」」」」
あ、じゃねーよ。もう少し前でわかってくれよ。狩競争は1回しかやってねーだろ?
「それで、そのフルメタルの魔物を捕まえてきてほしいんだ。」
「・・・・・・・。」
い、いやなのか?確かに倒すまでに時間が掛かるので、面倒な魔物ではあったけど。
だから覚えてたんだね。イヤなんだ。
ソラなんか、食べられないんだよーとか、ココアも、なぜですか?なぜですか?って何度も言うし。
やっぱりイヤなんだ。
「なぜ、捕まえて来て欲しいかと言うと。」私は昨日作った、フルメタルバードの刀身を出した。
「こういう武器が作れるからだ。」どーだー!!!
流石にこれには全員食いついた。
全員早口になってて、何言ってるかわかんねーよ。
悪魔達まで食いついてるし。お前達も武器使うの?技能には武器付いてたけどねぇ。
「悪魔達とミルキーは、昨日頑張ってくれたから休んでてもいいけど、ノアとソラとココアは行って来て欲しいんだ。」
「タロウ様?何をおっしゃってるんです?昨日はアトムでしたから、私は疲れておりません。私は3つも武器が必要ですし、行くに決まってます。」お、ミルキーの機嫌も治ってる。
「我らも、疲れはまったくございません。我らにも得意武器がございます。是非とも参加させていただいて、武器をいただけたらと思います。自分たちの分以上の素材を獲って御覧に入れます。」
「そうか、わかった。ショーン達は収納を持ってるから、行ってくれると助かるよ。そういえば、解体した魔物と最後の魔物は持ってるんだな?」
「はい、すべて私が代表して持っております。」
「ここじゃ出せないし、町の外まで付いて行くからそこで貰うことにするよ。そっちの収納は次元じゃないから時間が経過するタイプだろ?」
「その通りです。」
「何て言う魔物だったんだ?強かったか?」
「我より強いなんてことがあるはずがございません。瞬殺でございました。魔物名はグリフォンでございました。飛ばれると厄介なので、すぐに仕留めました。」
「それも解体したのか?」
「失礼しました、すぐにこちらに向かったため、まだでございました。すぐにでも・・・」
「でかした!」
「へ?」
「ちょっと試したいことがあったんだ。皆も聞いてくれ。武器素材にしたい魔物は解体しないでほしい。多分だが、合ってると思う。」
「何が合ってるのでしょうか?」
「この武器、鑑定できるか?付加効果に魔物名が付いているだろ?」
「確かに。・・・なんですか!この攻撃力は!!」
「まだ一度しか試してないから多分なんだが、解体しない方がいいと思う。」
皆真剣な表情で、ウンウンと頷いている興味津々。武器の事になる理解が早いねー。
「見て分かる通り、この刀はまだ刀身の状態だ。私は鞘と柄の素材が何がいいか、今日のうちに調べるから。あれば作ってみるし。だから、今日は私抜きで頼むぞ。リーダーを決めてた方がいいな。ココアに頼もうか、サブリーダーはミルキーだな。」
「かしこまりました。命に賭けましてもこの任務を全うしたいと思います。」
「わかりました。」
重いからココアさん。任務って程でも無いし。
馬車で町を出て、少し離れた所でショーンから収納している魔物を渡してもらった。
昼食用に、調理器具や食材はアゲハに収納してもらい送り出した。
私だけ、町に戻りまずは工房に向かった。
試作家も完成していて受け取ると、冒険者ギルドに向かった。
またアラハンを呼び出してもらう。
「さっきはありがとう。助かったよ。」
「酷いですね、気付いたら誰もいなくなっていましたよ。しかし、こんなに頻繁にマスタールームに出入りする人は他にはいませんよ。少しは自重してください。」
「ははは、悪かったな。まぁそう言うな、今度刀を作ってやるから。」
キラリン!え?音が聞こえた?アラハンの目が光った音が聞こえたぞ?
「そういうことなら仕方がありませんねぇ。」
全部無かったことになった?チョロすぎねーか?
「あれ程の物ができるかは分からないが、近い物を作ってやるよ。」
「それで結構です。期待して待ってます。」
「一応聞くが、剣や槍じゃなくて、刀がいいんだな?」
ブツブツブツブツ すごく葛藤してるよこの人!
「ええ、刀で・・・・いや剣・・・いやいや槍・・んー弓。あーーーー」
アラハンが壊れた?
「わかったわかった。観賞用で、いくつか見繕って作るよ。」
「ありがとうございます!!!!!」
食いつき過ぎー。
「昨日刀を見て貰ったけど、刀身だけだったろ?剣や槍や刀で、柄の部分の素材について知ってたら教えてほしいんだ。」
「柄の素材は木です。槍には樫が多いですが、刀は朴ですね。剣の場合は、刀身がそのまま繋がっているので同じ素材でしょう。」
樫や朴 あるんだ、こっちの世界でも。流石、武器フェチ。
「どこに売ってるんだ?」
「工房か鍛冶屋は持っているでしょうね。どこから仕入れてるかまでは知りませんが。」
「そこまでわかれば十分だ。良い情報をありがとう。あとは、ダンジョン内の悪者だけど・・・、これはまだ先でいいか。」
「そうですね、まだ少し森の魔物のランクが高すぎますね。」
「そうだな、邪魔したな。」
「あ、待ってください、忘れていました。」
「ん?」
「先日のグリーンオーガの残りの代金、金貨400枚。どうぞお納めください。」
「ありがとう。」
「それと、3件目の依頼の報酬は、レムンドン伯爵から直接渡されると聞いております。」
「そうなんだ。今夜、晩餐会に誘われてるからその時かな?」
「おそらく、そうなんでしょうね。」
金貨を受け取り冒険者ギルドを後にして、また工房に向かった。
「ニーベルトさん、居るかーい?」
「なんじゃ、また来たのか。今度はなんじゃ?」
「木を探してるんだ。樫か朴なんだけど、持って無いかい?」
「なんじゃ、家具でも作る気か?」
その手があったか、それも【複製】でできるんじゃないか?でも、それは今度だな。
「いや、刀と槍のね、柄や鞘の部分の素材で欲しいんだよ。」
「ほぉ、刀ねぇ。鍛冶屋には行ったのか?」
「いや、まだなんだ。次に行く予定だけど、まずは木のプロに聞こうと思ってね。」
「嬉しいことを言いよるわい。それならこれがいいじゃろう。お前さんの持って行った家にも使われとる木でな、魔力の影響を受けやすいんじゃ。ただ、うちも必要な分しか無いからのぉ。」
「何だい?それは?」
「これはドライアドじゃ。しかし、ドライアドも良いが、やっぱりニンフだの。」
「どこにある?」
「どこにあるじゃなく、どこにいるになるかの?魔物じゃで。近いとこなら東の森の丘の石碑あたりか、その向こうの祠辺りでは無かったかの。」
「ええ?そんなとこにあったんだ?」
目的も違ったから気にして見て無かったわ。木なんて。
「わかった、良い情報をありがとう。行ってみる。」




