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第46話 ダンジョン脱出

次の日、朝か夜かもわからないが、起きて表に出てみるともう、4人共起きていて子供たちの分の食事の支度も終わっていた。


子供達ももう何人か集まっていて、1時間も待たずに全員が集まった。

点呼漏れも無かった。【那由多】が管理してくれているから大丈夫だ。


全員の食事が終わり、出発の準備など無いので出発しようと思った時に

「ご主人様ー、もう結界解いてもいいのー?」とソラが言った。


忘れてた!

悪者達の処遇を忘れてた。

もう放置でいいよな?こいつらの面倒まで見る気は無いし。

「ソラ、結界を解いてくれ。」


奴らを軟禁していた酒場の結界が解かれ、中に入っていく。

まだ何人かは寝ていたようだが、今後はお前らの好きにするがいいと言って放置することに決めた。

どうせ、まだ外にはBランク以上の魔物がうろついているし、逃げることはできないだろう。

ここで今まで暮らして来たんだから、いきなり死ぬような事も無いだろうし。

ロンレーンまで子供達を送り届けたら、そこで騎士団かアラハンにでも伝えればいいんじゃないか?


念のため、魔物の肉は置いて来てやった。

この森で来る途中に倒した魔物で解体していないもので大型のものを3匹。

80人ならかなりの日数は飢えなくて済むだろう。保存方法までは知らないが。


出発するので、ダンジョンコアを回収した。

ダンジョンコアだが、大きなクリスタル状の物だった。地面に付いている部分が尖っていて独楽のようにゆっくり回っている。すごく綺麗だった。

壊すのももったいなかったので、ダンジョン内に無いのなら破壊と一緒だとも思って、収納してみたらできた。

高さ2メートル幅1メートルぐらいのクリスタルで、私が回収すると今までダンジョンコアがあったところに魔法陣が現れた。


――魔法陣 解析します。・・・・・データが足りません。解析失敗。

何か失敗した?


「・・・・、おそらく外に繋がる魔法陣だと思う。私が先に行ってみる。」

皆が止める暇も無く、私は魔法陣に入る。


一瞬で、ゴーレムのいたダンジョンの入り口に転送された。

すごく眩しかった。この感じだと昼頃かもしれないな。


――不足していたデータを解析。転移魔法獲得しました。


あ!二つの魔法陣を繋いだからか。ここにも魔法陣は感じるからな。出口だから隠蔽か偽装のようなもので隠してるんだろうな。


サーチで周辺を確認。問題は無さそうだが、一人で子供達の纏めと、魔物の相手は面倒だな。

ソラでも呼ぼう。


『ソラ、ココア、ノア、ミルキー、聞こえるか?』

『あれー?ご主人様~?』

『え?え?主様?』

『あらぁ、念話ですわねぇ』

『タロウ様、念話ができるようになったのですね?』


『流石はエリアボスの二人だな。そうだ、念話だ。こっちは、問題なさそうだからソラだけこっちに来て、後は子供達をこっちに転送させてくれないか。』

「わかったー。」

って、もう来てるし。それ念話でも無いし。


『わかりました。今から順番に送り出します。』

流石ココアだ。


「ソラは、周りを見張っててくれ。」

「りょうかいー。」


子供達が、結界から順番に送られてくる。子供たちは眩しがりながらも、外に出られて大喜びしている。

はしゃぐ子供達を一か所に集めるため、私が誘導する。


全員が出てくるまで、大して時間は掛からなかった。

たまに魔物が現れても、「必殺技『弐号』!」ってソラが やってるし、問題なく全員が揃った。


簡易家を出して、順番に入れていく。そこは、ミルキーとココアに任せて、ソラとノアには周辺警戒を続けさせる。

その間に試したいことがあった。転送魔法だ。


今覚えたところなんで、一度試したい。

私は、簡易家から少し離れたところに魔法陣を築き、1キロ離れた。

そこで、魔法陣をもう一つ築き魔法陣に入ってみる。


成功した。簡易家の少し離れたところまで転送された。


何も制限を掛けなかったので、向こうの魔法陣に魔物が入るとこっちに転送されるので、こっちの魔法陣はすぐに消した。


「成功だな。」魔力も、初めの魔法陣錬成の時にだけ多めにかかるが、転送時に消費する魔力は大したこと無かった。

ロンレーンの距離だったらなんとか行けそうだ。


後から知ったが、魔法陣だけを作り、後から魔力を込めて転送する方法もあるようだが、先に魔力を込めて魔法陣を錬成すれば、転送される時にはほとんど魔力を使わないらしい。

今回は、後者だったがそんなことは知らなかったので、経験の無い私はどれだけ魔力がいるかもわからないから、先に魔力を使う方だったのが良かったのかもしれない。


簡易家に50人入れて、外の20人を簡易家の近くで纏めた。

4人が来たことを確認し


「皆、作戦変更だ。転送魔法が使えそうだ。私はノアとロンレーンに行き、向こうで魔法陣を作る。その後、今の要領で順番に転送して行く事にする。準備が出来たらまた念話で連絡するので、子供達を送り出してもらえるか?」

「「「わかりました。」」-。」


送信側の魔法陣を築く。ロンレーンをイメージしながらなので、魔力を1000消費した。転送する人数も考え多めに魔力を込めていた。

熟練度が1だから、消費する魔力も大きいな。

馬車を出し、ノアに頼む。


「ノア、頼む。」

「おまかせくださいぃ。」

「じゃあ、行ってくるから。頼んだぞ。」と馬車に乗り込んだ。



ロンレーンの町までは早かった。ノアの【超高速移動】で、1時間で着いた。


もちろん、町から離れたところで降りて、後は普通の馬の振りをしながら門まで行ってもらう。

受け入れ態勢もあるので、アラハンに相談するため、まずは冒険者ギルドに向かった。

門兵も顔見知りにはなっていたが、アラハンに相談するのが早いだろう。


冒険者ギルドに着くと、すぐにアラハンを呼び出してもらう。


アラハンも慣れたもので、私が来るとすぐに知らせるように頼んでいたようだ。

やはり1階では話せない事なので、マスタールームに通してもらった。



「大至急で緊急で大事な相談がある。」

馬車は収納し、ノアと一緒に上がってきた。


「珍しいですね、あなたがそこまで慌てるのは。」

「慌てているわけでは無いんだが、時間が惜しい。」

「相当急いでいるということですね?」

「理解が早くて助かる。それで知恵を貸して貰いたい。」


アラハンは、敢えて落ち着こうと出されている飲み物を一口飲む。

「わかりました、では伺いましょう。」


「結論だけ言っても内容を理解できないだろうから、順を追って話す。それでも、アラハンさんには信じがたい事があるだろうが、まずは、口を挟まずに最後まで聞いてほしい。」

「わかりました。」

ゴクッっと唾を飲む。今、喉を潤わせたばかりなのに。平静を装っていはいるものの緊張しているのだろう。


「まず私たちは、3番目の依頼のために、東の森の丘の石碑に向かった。そこからダンジョンを目指した。ノーライザの町で起こった人攫いの事件の黒幕が、ダンジョン内にアジトを作っているという情報を持っていたからだ。」

アラハンはしっかりと聞く体制で黙っていた。


「ダンジョンは見つかり、アジトも見つけた。ボスも倒して監禁されていた子供達を解放した。そこで、解放した子供達の受け入れをお願いしたい。色々まだ話すことはあるんだが、まずはここまで理解できるか?」

「大丈夫です。捕まっていた子供達の受け入れですね?何人いるのでしょう?」

「70人だ。」

「・・・・・・。」

アラハンが黙り込んだ。色々模索しているようだ。


「それは、大丈夫でしょう。今回の人攫い事件は、こちらにも伝わっております。この町の領主に言えば、何とかするでしょう。」

「では次に、今子供達がいる場所はまだダンジョン入り口なんだが、すぐにこちらに呼び寄せることができる。これは理解できないと思うので説明するぞ?」

アラハンは理解しようと真剣な表情で頷く。


「さっき、私が転送魔法を覚えた。ダンジョン前に入り口を作ったので、出口をこちらに作ればいつでも転送できる体制にある。その出口の場所を確保してほしい。さすがに門の前には作れないからな。」

アラハンは遠い目になっている。でも私から目を離さない。必死で理解しようとしているのだろう。


「タロウさん、私には理解できません。できませんが、言っていることはわかります。タロウさんの事だからできるのでしょう。私には想像をすることもできませんが、私は何をすれば協力できるのでしょう?具体的に言ってください。」

「ありがとう、信用してくれてるんだな。アラハンさんにして欲しいことは、誰にも見つからない広い場所を確保してほしい。子供70人が見つからない場所の確保だ。それも今すぐにだ。」


具体的に言ったことで、アラハンは言われた場所を考えているようだ。


「わかりました。レムンドン伯爵の所がいいでしょう。彼は口が堅く信用のおける男だ。しかも領主にも信用されていて顔が利く。広い屋敷も持っている。」

「中々の好条件だ。だが、念のためレムンドン伯爵も含め、人払いはできないか?」

「それは難しいですね。一度、言ってみますが 期待はしないでください。ですが、本当に信用の置ける男で、後の事を考えても、事情を話して協力を願う方が得策だと思います。」

「アラハンさんが、そう言うなら私も信じよう。では時間が無い。早速行こうか。」と私は席を立つ。

わかりました。と、アラハンも席を立った。


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