第4話 異世界に
結果から言うとソラは連れて行けなかった。玄関から出られなかったのだ。
やはり異世界の住人はこの世界に入れないということか。
ソラが気に入ったという焼き鳥のタレの缶詰とうどん用の甘い油揚げを少し多めに購入し家まで戻ってきた。
玄関を開けるとテレビがついていたが人の気配がしない。
ただ、あちらこちらと破壊されている。
「なんだ!これは!」
まさか、ソラより強いという子がやってきて戦いになったのか?
周辺を探索してみる。さっき買い物中にやってみたが、あまり効果はなかった。
そりゃ探すものも無いしね。
ただ、メニューは出てきたので、何か使えるものはあるんだろうが、今はソラを待たせていることもあるし、試している時間は無かった。
一応森に向かって呼んでみる。
「ソラー」
反応は無い。
サーチにソラの反応はあるのだが、結界の外のようで今いちわかりづらい。
なんで結界の外に出られたんだ?従者契約か?
仕方がないので金属バットを片手に反応のある結界の外に出てみた。
な!
結界から出ると結界ごと部屋への入り口が消えてしまった。
戻ろうとも思ったが、今はソラが心配だ。
部屋の方は後で考えるとして、ソラの反応のする方へ行ってみた。
どうやら隠れているようだ。
「ソラ!」
今度はきちんと確認できた。
「ご主人様?・・・・誰?」
「そら?私だよ」
「・・・・・やっぱりご主人様だ!変わってて初めわかんなかった。」
??
「どうしたんだ?何があったんだ?怪我はないか?」
「追いかけて来ないから大丈夫みたい。あービックリした―」
なんかわからんが大丈夫そうだ。
話が長いしわかりづらいので要約してみると、テレビをつけたらいきなり侍が切りかかってきそうになって逃げ出したそうだ。テレビなんか無い時代のやつならそうかもな。
しかし、よくテレビをつけられたもんだな。
結界の外に出られたのは式具のおかげーとは言っていたが、ただの箸にそんな効力もないはず。私の持ち物を持っていたから、ということなのかもしれない。
「机の上にあった黒いもののボタンを触ってたらいきなり神妙にいたせ御用でござるって。怖かったよー。」
「あれはテレビという道具だ。危険なものじゃない。知らなければ仕方がないか。でも、もっと装備を整えたかったのに、入り口が消えてしまったよ。どうやったら帰れるのかなぁ」
買い物帰りの姿のままなので、寒さは凌げる程度の服装だ。
こちらも季節的には変わりが無さそうなので、こちらも5月頃なのだろう。
しかし、まだ夜は少し寒いのだろうな。ま、なんとかなるか。
「ソラは私の世界への帰り方を知らないか?」
「うーん、わかんなーい」
「うん、そうだろうな。じゃあ、帰り方を知っているものを知らないか?」
「そーねー、母様なら知っているかもね。」
「その母様にはどこに行けば会える?」
今思い出したが、ソラと従者契約してしまっている。あんまり会いたくないなぁ。
「かなり遠いよー」
「それは良かった。じゃあ、他に知って知っていそうなものは?」
「よかったの??」
「いや、続けて。近くでは?」
「他にはねー、オオカミのおじさんかな?」
ほぉ、狼か。少しは期待が持てそうだな。知らなくても何か情報はありそうだ。
「その狼はどこにいるだい?」
「山の反対側ー」
あれ?それって・・・
「それってもしかして、ソラより強いって・・・・・」
「そうだよ、正解ー、でも今なら私の方が強いよー。式具があるしー」
ソラさん、それはただの箸だから。
他に手がかりもなさそうだし、とりあえず話ができそうな気がするので行ってみようか。
「じゃあソラ、オオカミのおじさんのところまで案内してもらえるか?」
「りょーかいー、こっちねー」
タイトルが『東の国から』なんですよねー
やっと『東の国』?に入れたのかな?