第30話 小判
小判の効果変更しました。
付加効果➡倍加
食事が終わり、まだノアが扇子を広げているので、その扇子を興味津々に見ているミルキーが私に聞いてくる。
「タロウ様?ノアさんの扇子からは大きな力を感じます。同じような力をソラさんとココアさんの持ち物からも感じますが。これは何でございますか?」
慌ててソラが胸元に仕舞っている箸を手で押さえて隠す。ココアも同様にブレスレットにしている尻尾を隠す。
あげないよーって感じで 少しミルキーを睨んでいる。
「これは・・・、私があげた道具なんだが、彼女らは式具として使っているようだ。たいしたことは無い物のはずなんだが、うまく使っているようだよ。」
ミルキーの目がキラリと光る。
「私にも!いただけませんか!」噛みつきそうな勢いで言ってくる。
「あぁ・・・、もう同じものは無いんだが・・・。」
「何でも構いません!お願いします。」
「あと、残っているのは・・・・・空の木箱に短剣、金の小さな固まりと小判ぐらいなんだけど。」
「小判!!!ですか!!?」
「ああ・・・。」
声が大きいよ。そこまで食いつくほどの物なのか?
「是非とも小判をいただけないでしょうか!」
「ああ、別に構わないが、そんなに欲しがるほどの物なのか?」
ミルキーは、ああ全然わかってないという感じで首を振り
「タロウ様は本当に知らないのですか?」
「ああ、結局町で聞けなかったから、そんなに価値があるものとは思って無かったんだが。確かに東の国では通貨として使われていたから価値があるのはわかるんだが。」
ミルキーはハァ、と溜息をついている。残念な人を見るように
「本当にわかってらっしゃらないのですね。では説明いたします。まず、小判には魔力を溜めることができます。」
「魔力を溜められるんなら魔石でいいじゃないか?元々魔力が入っているし。」
残念な顔をされたので少しムキになって返す。
「まぁ、最後まで聞いてください。小判には、魔力を溜める、増幅する、放出することができるのです。」
小判を出していただいてもいいですか?と言うので私は1枚出してやった。ミルキーは躍り上がって小判に飛びついた。手に持ったままいつまでも放心状態で説明が始まらない。
「ミルキー?」
「・・・!これは失礼しました。私も100年以上前に見た以来でしたので。しかもその時は借り物で、1度使用してすぐに返しましたから。」
使い方も気になるが、誰から借りたかも気になるな。
「誰から借りたんだ?」
「冥界の王からお借りできました。100年以上前の事ですが、勇者と名乗る人間が我らの討伐に来ました。」
おーい!冥界の王? 勇者? 聞きたいことが増えていくぞ!
「その時に冥界の王からの使者が現れ、小判をお借りすることで 勇者と名乗るものを撃退できました。小判はその使者が持って帰ったため、私の手元には残りませんでした。」
突っ込みどころ満載だなー。この話は今度ゆっくり聞こう。
「その話も非常に興味深いんだが、是非聞きたいんだが、今はノアの話が先だし今度ゆっくり聞かせてくれ。」
「わかりました。」
「それよりまずは小判について聞かせてくれないか?」
「わかりました。まず小判には魔力を溜めることができます。その溜められる量がすごいんです。私も魔力量では自信がありましたが、1週間全力で魔力を注いでも満タンにはなりませんでした。満タンになる気配すらありませんでした。」
「それはすごいな。するとどんなことができるんだ?その魔力を使って魔法が使えるのか?」
「その通りです。一気に放出することもできますし、必要なだけ出すこともできます。しかも自分が使えない魔法でも、魔法をセットしておくことで使えない魔法を使うこともできるんです。セットしておくことができる魔法は1種類だけですが。」
「それは1枚で1種類ってことか?」
「そうです。2枚あればそれぞれ別の魔法にできます。」
それは確かにすごいなぁ。私でも強力な回復魔法が使えるってことになる。
「しかも、放出する時には、魔力が倍になります。ただこれは、一斉放出の時だけの効力なので、溜めた魔力が一気に空になります。最後の切り札にはなりますが。空になるので追撃ができなくなります。」
そこまででも十分だなぁ。
「勇者撃退の時には、溜め込んだ魔力の一斉開放で勇者を撃退しました。敵も然るもので、結界などを駆使し生きてはいました。装備も非常に良いものを着ていたようでしたし。最後は、意識のある一人がアイテムを使い、私たちの前から消えました。あの時は準備不足もありましたし、まだ未熟でした。今度会ったら完全に息の根を止めてやりますよ。」
もう100年前だから生きてないと思うよ、ミルキーさん。あなたまでそっち系?
やっぱり魔物だもんね、しょうがないのかー。
「あと、これは試したことも無く本当かどうかは怪しいんですが、武器にもなるようなんです。」
「どうやったらできるんだ?」
「それは私も知らないんです。」
「いや、そこまでの情報で十分だ、ありがとう。では、ミルキーには小判を10枚あげよう。みんなにも2枚ずつ配るから魔力を溜めるようにしておいてくれ。」
とそれぞれに手渡す。
「ミルキーは頑張って小判の武器化の情報を探してほしい。色々試して壊れてもいいからね。まだあるから。」
「わかりました、努力します!」と、目を輝かせながら10枚の小判をうっとりと見つめている。
「ノアは神聖魔法が使えるようになったみたいだけど、回復系か?」
「いいえ、今のところ攻撃と防御系ですわぁ。もう少し熟練度が上がると使えるかもしれませんわねぇ。」
「じゃあ、今のところ回復魔法はドレミだけか。魔法のセット方法はわかるのか?」
「私が教えておきますので、まずみなさんは、魔法を溜めておいてください。」
「みんなわかったな?」
全員から同意を得て、ノアの話に移ることにする。
「ノア?わかったか」
「ええ、わかりましたわよぉ。まず、この辺りで暴れまわっていた者はレッドワイバーンで間違いないですわねぇ。わらわの縄張りで好き勝手していたようですわぁ。これは早速排除しませんとねぇ。」
「必殺技ー試せるー?」
「ちょっと待て、他に報告は無いのか?場所とか目的とか、どこから現れたのかとか。」
「場所はこの周辺でぇ、人や魔物が多く集まっているところのようですわぁ。初めは人の少ない村なんかを襲っていたらしいんだけどぉ、最近では町や魔物の集中しているところに現れるそうですわよぉ。やっぱり人間も一緒に現れるようですわねぇ。」
「何かの方法でどんどん力を付けて来たってことか?それとも初めは何かを試していたのか?」
「どっちもあり得そうですね、理由はどちらもかもしれませんね。」
「主様、わたしもそう思います。私たちのいた山の近隣でも、人や魔物の魂を集めて強くなっていく妖怪もいましたし、そういった類のものではないでしょうか。」
おお、一人真面なのが入ると違うねー、話し合いになってるよー
イカンイカン、まじめに考えるところだ。
「今はどこにいるかわかるか?」
「それが最近見なくなったようでぇ、わからないのらしいのよねぇ。」
手詰まりか?でも大分繋がって来たぞ!犯人の正体はレッドワイバーン。
操っているかもしれない人間がいる。魂を集めているかもしれない。人や魔物の多いところに現れるようになった。最近は見なくなった。




