第3話 情報収集
「もう一つの仲間スキルって?」
「ステータスに載ってるじゃん。うちも全部じゃないけど見れるんだよ。レベルとスキルの一部だけだけど。」
レベル?スキル?・・・・・ラノベで見たやつか?
「他には何があるの?」
「ステータスやユニークスキルは、うちじゃ見れないよ。まだレベルが足らないんだ。尻尾もまだ3本だしね。うちのステータス見れる?」
尻尾??
お尻のあたりに目をやってみる。確かに3本フサフサの狐の尻尾があった。
ステータスを見る?
確かにさっきから視界の端の方に何かある。
そちらに集中してみるとメニューが正面に出てきた。
眼鏡型スクリーンみたいな眼鏡型携帯端末のようなそんな感じだ。
「すごーい!何も言わずにできるんだ!うちはまだまだメニューって言ったりとか手で操作したりだよ。もちろん小声でだけどねー」
そんな常識知らねーし。でも出てきた。端の方で何か点滅している。
そちらに意識を向けると
【スキャン】を【那由多】に統合しますか?
Yes/No
と表示された。統合?
Yesに視線を向けて少し力を込めて睨む。
――【スキャン】を【那由多】に統合されました。これにより周辺探索可能になります。
さらに【複製】を獲得しました。
チートだ間違いない。ユニークスキルという言葉も出てきた。
ラノベの世界だ。
読書は好きな方だしラノベにも少しはまっていた時期もあった。
ゲームも20年ぐらい前まではやってたことがある。ネットゲームは全然だが。
今でも携帯端末のゲームでやっているものはある。
でも、どういうことだ?私は死んでない。はず?しかも現代日本にいて年も若くない。
異世界にも渡っていない。
私の読んだラノベには、まったく当てはまらない。
今は長期大型連休が始まったところだから、時間的には余裕もある。
家から出ない=ヒマ、という感じではなかったが、別にこの娘に付き合ってもいい。
この娘は何か目的でもあるのだろうか?
「ソラ、私がここにいるということは何か目的でもあるんだろうか?」
「わかんなーい」
「・・・・・・では、ここは異世界なのか?」
「どうなんだろ?よくわからない場所だね。ちょうど真ん中?」
なんとなくわかる。玄関を出たら現代日本。押入れの向こうは異世界。
私は現代日本人、ソラは異世界人。その二人が居れる私の部屋。
異世界とは、どういうところなんだろうか。
非常に興味はある。時間もある。
「ソラ?ソラはどこに住んでいたんだ?」
「うちはねー、この山」
「家は?」
「家は無いけど、村の人がたまにご飯を置いて行ってくれるんだよーいつも油揚げなんだよー」
はい、お稲荷さん決定!
「その村は近いのか?」
「んー、歩いて2日ぐらいかな?狐になって走れば半日ぐらいかな?」
ちょっと遠いかな?でも時間はある。
異世界探検やってみたい。行ってみるか。
「その村は、よそ者には厳しいのか?行ってみたいんだが。」
「うちが行くとみんな優しいよ。たまに油揚げくれるしー」
ばれてるよね、それって正体ばれてるよね。
「いつも人間の振りして行くのか?」
「そうだよー」
「尻尾が見えているようだが・・・・」
「これは普通の人間には見えないって、神主っていうおじいちゃんが教えてくれたよー」
残念な娘だ。絶対騙されてすよねーソラさん。ま、悪意は感じられないがな。
気のよさそうな村だし、行ってみるか。
「その村に私も行ってみたいと思うんだが、案内できるか?」
「本当!うちも一緒に行きたいって思ってたんだよー。あ、でも・・・・」
「でも?」
「魔物が出るんだよー、ご主人様は強いから問題ないね。」
いやいやいやいやそうだった。異世界だ!魔物は出る。
私は平和な日本人。武術もやってない。運動神経には自信はある、少しだけ。
でも?私が強い?そうか、さっきから色々習得しているみたいだし、私も強くなってるんじゃないか?
「メニュー」
メニューが出てきた。
自分のステータスを見る。
名前: 佐藤 太郎
年齢: 50歳
種族: 人族
加護: なし
状態: 普通
性別: 男
レベル:1
魔法: 火・水・土・風・氷・雷・闇・光
技能: 刀・剣・槍・弓・料理・採集
耐性: 熱
スキル: 【亜空間収納】【鑑定】【複製】【仲間】
ユニークスキル:【那由多】
称号: 異空間の住人
従者: ソラ
レベルは1だが何とかなる。のかな?
武器や防具も持ってないし。
「ちょっとソラ?この山でソラが一番強いのか?」
「微妙かな?同じぐらい強い子もいるしーもっと強い子もいるしー。でも大体は、うちより弱い子ばっかりだよー」
強いのもいるのか・・・。
「その強い子は近くにいるのか?」
「んーん、山の反対側だよー。でも式具をもらったから今ならうちの方が強いかもねー」
いやいや、ただの箸だから。
ちょっとソラも見てみよう。
名前: ソラ
年齢: 250歳
種族: 九尾族
加護: 異空間住人の加護
状態: 普通
性別: 女
レベル:60
魔法: 火・水・土・風・雷・闇
技能: 牙・刀・薙刀・採集
耐性: 熱・雷
スキル: 【鑑定(小)】【変身】
ユニークスキル:【天災】
称号: 九尾族の姫
「姫??」
「そうだよー、クラマ様はうちの母様だよー」
「!! そうなんだ、それが従者契約っていいの?」
「いいよー、問題ない!」
んー・・・ありそうだよねー。あとで母様に怒られるような気がしてきた。
あー、巻き込まれてるよねー。
村まで2日かぁ、食料だけでも確保してくるか。
「村には行ってみたいし、食料もいるだろう。もちろん装備もしっかりとして行きたいし。ちょっと買い物に行ってくるな。」
「うちも行きたーい」
ま、いいか。
「じゃあ、一緒に行くか。」
「ありがとー」
まだ部屋からも出ていません。
早く出たい。