第23話 自問自答
依頼を受けて、出発するまでに1週間は、魔法の練習をしていた。
ちょっと魔法屋。ちょっと家造りの工房、ほぼ宿の中庭という日程だった。
こういうスケジュール通りは久し振りで、3日も過ぎれば身体も慣れてきて、夜寝る前には、少し自分の時間もできた。もちろん、食後の魔法の復習も終わった後で。
寝る前に、考えに耽る。
なんでこんな依頼を受けたのだろう?なんでこんな町に長く居てるのだろう?なんでドラゴン退治?有り得ないって。
私は何をしたいのだろう?どこに行きたいのだろう?なんで目立ってはいけないのだろう?
色んな『何で?』が現れる。
初めから考えて行こう。
Q まず、この世界には何でいる?
A 興味があったから。
Q なぜ帰れない?
A 家が消えたから。
Q なぜこの大陸にいる?
A 祠から飛ばされたから。
Q その、祠で飛ばされたのはなぜ?
A 元の世界に帰れるかもしれないから。
Q なぜ帰りたい
なぜ?なんでだろう?ただ、帰りたい?
今は強い力を身に付けた。若いし、強い。帰ればまた50歳に戻る・・・だろう。
帰っても生活するだけのために、仕事に行き給料を貰い日々を過ごす。
では、この世界では、ソラがいてココアがいる。私を求めてくれるものがいる。
このまま、置いて行ってもいいのか?付いてくるとは言ってたけど連れて行って彼女らは幸せになれるのか??
答えは出ない。では、視点を変えてみよう。
Q なぜ持っているものをすべて見せない?
A 出すと目立つ可能性が高いから。
Q なぜ目立ちたくない?
A 私の性格として目立ちたくないのは一つの理由としてある。皆と同じようにしたいという安心感。そこはやっぱり日本人。古いのかもしれないが・・・。それと先入観はある。
テレビで見たり本を読んだりした知識では、目立つと通報される。白い目で見られるか、羨望の目で見られるか、嫉妬の目で見られる。すると、通報されると捕まるか、持ち上げられるか、追い出される。運が良ければ匿われる。
全部受け入れられない。持ち上げられるのも、不自由になりそうで嫌だ。
では、目立ちたくないんなら悪目立ちそうなものは出したくない。
それなら、私の今までの行動は私のしたかったことで合っている。
しかし、この世界の知識が無い。山勘の部分が多い。この世界での情報と経験が足らなすぎる。ならどうするか。やれることをするしかないか。
今やれることは、ギルドの依頼を完了することと、そのために力を蓄えること。
やるしかないな。
予定より すごく短かったので もう1話




