第21話 3つの依頼
次の日、朝食を終えるとギルドに向かった。
朝は、ギルド内も込み合うようで、受付の中の人数も昨日来たときより増えている。
午前中だけとか夜だけって人もいるんだろうな。ギルドって休みなしでずっと開いてるようだし。シフトとかもあるんだろう。
受付の奥の方にマリオンさんを見つけ、手を振る。
冒険者ギルドの冒険者としては相応しくない程の軽装でいるため、逆に目立ってしまう。
さっきすれ違った人なんか、歩くたびにガッチャガッチャいってたし、まるでロ○コップかと思わせる人や、正にこの人は魔法使いって感じの人など、準備万端って感じの人しかいない中で私たち3人は、どこかお出かけ?ちょっとそこまでーって感じの格好だから目立つのである。
何度か手を振ったらマリオンさんに見つけてもらい、そのままギルマスの部屋に案内される。普通は、新人冒険者がギルマスの部屋にわざわざ呼ばれるのを見ると他の冒険者は、妬み・嫉妬・羨望の目で見るんだろう。だが、私たちは軽装過ぎて、ちょっと知り合いが遊びに寄ったんだろう程度にしか見られなかった。冒険者カードも出してないし。
昨日とは違い、威厳を持った態度のアラハンさんがそこにいた。
「ようこそいらっしゃいました。わざわざお越しいただきありがとうございます。」
今日はなんか格好いいぞ?元々ダンディな男前だから、こういう毅然とした態度を取れば格好いいのも頷ける。
「昨日は不愉快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありませんでした。
早速ではありますが、お話をさせていただいても よろしいですか?」
「どうぞ」と頷いた。「後でこちらも聞きたいことがある」と伝えておく。
「依頼の件は全部で3件あります。いずれも討伐依頼でございます。」
「多くないか?この町にはAランク冒険者っていないの?それとも手が足りない程、高ランクの討伐依頼があるのか?」
なんか押し付けられてる気がして聞いてみた。
「その質問についてですが、このギルドにはAランクパーティは2つおります。が、1つは今、護衛依頼で出払っておりまして、もう1つはいるんですが、この依頼内容からすると実力不足なのです。本来はAランクパーティが2チームから3チームで立ち向かうような内容でして、1チームだけでは向かわせられないのです。」
そんな依頼、私たちで大丈夫なのか?
「昨日、買い取った魔物を確認しましたところ すべての魔物が一撃で倒されているのが確認できました。その実力から行けば依頼実行はできると判断いたしました。」
「その通りです!主様は強いのです!主様に任せれば、3件程度の依頼などすぐに片付きます!」
「おぉ!それはありがたい。」
おい!受けちゃったよココアさん。昨日からキャラ変わってないか?
「それでは早速、話を進めさせていただきます。」
といってアラハンは紙を3枚出した。
「一つ目は、北のヴァルカン山に住まう火竜。以前は大人しくしてくれていたのですが、最近急に活発化しまして、付近の村はもちろん最近では少し離れた町まで襲うようになって来てこちらへ依頼が入ったんです。」
竜って・・・・。なんか弱点とか無いんかなー?
「火竜って、以前に討伐された記録とか無いんですか?対策とか弱点とか。」
「そぉんなのあるわけがないじゃないですかー、竜ですよ竜。」
イヤ、それを討伐しろって・・・・。おかしくない?
「次に二つ目ですが」
おい!次に進むんかい!
「その北のヴァルカン山から西の方へずーっと行ったサントスの森にいるケルベロスです。北の山脈の一番西側に鉱山があって、普段は森の奥にいるケルベロスが良く出現して人を襲うようになってきたそうです。火竜の縄張りからも少しはずれていたため、今までは問題無かったようですが、このケルベロスの出現によって閉山に追い込まれるかもしれないとのことで、こちらに依頼が入りました。」
「このケルベロスについても討伐記録や弱点って・・・・」
「ございません!だってそうでしょう、地獄の番犬ですよー。あるわけありません!」
だから それを討伐しろって・・・・
「最後に三つ目の依頼ですが。」
はいはい次ね。もう言わない。聞いてやるから言ってみそ。
「あなたたちが来たと言った東にある祠周辺の魔物が活動期に入りまして、その原因の調査をお願いしたいのです。1件目の火竜にしてもそうですが、魔物は活動期に入りますと魔力が上がります。その上がった魔力の影響を受けて、周辺の魔物も活発化するのです。その原因となっているものが何なのか、原因となる強力な魔物がいれば、そのまま討伐していただいても結構です。」
・・・・・・・・。
「討伐報酬ですが、それぞれ金貨1000枚を用意しました。討伐した魔物も素材といて買い取る準備もございます、かなりの高額になると予想されますが。準備に関しては、申し付けていただければこちらでご用意する準備もあります。余程でなければ経費として認めます。是非とも、よろしくお願いします。」
はい、丸投げね。サラリーマン時代もよくされました。
無理難題の丸投げ。いつもなんとか解決してきましたよ。
まずは行くだけ行って、ダメなら帰ってきましょうか。
見てみないと何もわからんしね。
さて、どこから行くか・・・。
「優先順位はあるのか?」
「はい、被害状況や今後の影響を考えますと、今申し上げた順番が理想です。」
そうかぁ、ドラゴンは最後にしたかったがな。どれでも同じか。
「では、こちらからの希望は4つ。風呂とキッチンの付いている固定していない家が欲しい。魔法を教えてくれる人を紹介してほしい。鍛冶屋も紹介してほしい。あとは調味料をたくさん欲しい。以上だが。」
「その内容でしたら経費で行けそうですね。ドラゴンですし。まずは家ですが、そんなに大きくなくてもいいのでしたら、1週間もいただければ大丈夫かと思います。魔法と鍛冶屋はそれぞれ契約している店があるので それも大丈夫です。調味料ですが、そちらは家が完成するまでに私の方でなんとかしましょう。ケルベロスもありますしね。」
節々になんかはいってるよね、いいけどー
「わかった・・・、依頼は受けよう。」
「ありがとうございます。それでは魔法屋からでいいですか??」
「いや、鍛冶屋は話だけだから鍛冶屋から頼む。」
「わかりました。」




