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第203話 クリエイターからのお願い

私は反省していた。

深く反省していた。

本当だったら仲間を危険に晒して仕舞っていたかもしれない。

なんでゴーンを連れて来てしまったんだろう、全く正体が分からないのに。しかも封印されてた大陸にいてオーケアノスの事を知ってる人を。もしかしたらオーケアノスの仲間かもしれないのに。という心配は杞憂に終わったが、これは本当に反省しないといけない行動だったな。

私の仲間は全員私の従者だ。

だから私の意見は聞いてくれるし、誰も私の事を怒らない。

だからこそ私がしっかりと判断しないといけないのに、今回の行動は軽率過ぎたな。

今もクィンとヨッコには【監視】してもらってるし仲間も待機させてるが、私がこんな軽率な事をしていたら意味が無いな。今後はもっと注意しよう。


もし、何かあったとしても簡単にやられる仲間達では無いし、逆に簡単に相手を倒してしまうだろうが、態々仲間を危険に晒す必要も無いだろう。

ここにはイチジロウもいるし、偶にピアとユウトが来ることもある。

弱い仲間もいるんだし、今後はもっと気を付けて行動しよう。


とはいえゴーンは根っからの職人で、鍛治以外の事には全く興味が無くオーケアノス達の事の毛嫌いしてたのは事実だった。

ゴーンから聞いた話はこうだった。


オーケアノスは部下達に神鉱石を探させた。

霊峰アンガーラマンドゥの火山湖の底で神鉱石を見つけると、そこに神殿を建てさせ幾重にも結界を張り巡らせゴーンを攫って来て神殿の地下に閉じ込めた。火山湖の主としてラーガルフリョゥトルムリンを召喚して、番犬として侵入者対策も施した。

ゴーンとしては、そのやり方は気に入らなかったが環境としては申し分なく、毎日武具製作に大いに励んだ。

創られた武具は、出来上がるとオーケアノスの部下が持って行ってしまう。

ゴーンは創る事が楽しみなので、出来上がった物に満足するとすぐに次の製作に取り掛かる。

ゴーンとしては、オーケアノスの部下が、傑作、良品、駄作、失敗作。すべて持って行ってしまうのが気に入らなかった。

銘入りの傑作や銘が入らなかった良品は持って行ってもいいが、駄作や失敗作まで持って行かれ、世にだされるのは職人として我慢できない部分だった。

「何年武具製作に籠ってたんだ?」と聞くと20年ぐらいじゃないかという話だった。

昼も夜も分からない地下にいたしね、分からなくても仕方が無い。


しかし20年? この大陸は何年封印されてたんだ?

前に帝王が勇者として南北の魔王に海王を倒したのは1300年前だったか。それより前から封印されてたと考えられるんだが。

しかもその時3王は討伐され冥王は封印されたにも関わらず、あの大陸の封印は解けなかったんだろうか。

そのあたりはクリエイターが抑え込んだのか。色々疑問が残る所だな。

ゴーンに聞いても分からないだろうな、知らないうちに封印されてるんだろうしな。


封印されてた時には時間が止まっていたんだろうか。それなら冒険者ギルドって、そんなに昔から変わって無いのか?

1000年経ってもこの世界って進歩してないんだろうか。有り得るなぁ、魔物に魔法だろ? しかも異世界、私の常識なんて通用しない世界だしな。

私の元の世界なら、1000年経てば別世界と言っても過言では無いのにな。

太平洋戦争の時なんて、戦後の荒れ地から20年後にはテレビが普及するとは誰も考え付かなかったぐらいの進歩だもんな。日本人は凄いよ。流石に私も太平洋戦争の時は生まれて無いけどね。


あと、1階の階段についてはゴーンも知らないようだった。

食事にはいつでも来ていいが、夜中には誰も食堂にはいないから連絡をしてから来るといいと言って、通信水晶を渡しておいた。食堂にも1つ通信水晶を置いておこう。

食事を絶賛して食べ終えるとゴーンは火山湖の神殿に帰って行った。

料理を誉められたイチジロウが嬉しそうにしてたから、今後ゴーンの食事対応はイチジロウがしてくれるだろう。


1階の階段は気になる所だが、まずは試したい事があったので研究所ダンジョンに行ってみた。

武器創りの為なので、1人で来た。

最下層にレイがいたので、武器に加護が付けられないか聞いてみた。

「レイ、この刀にお前の加護を付けられないか?」

刀を出してレイに尋ねる。

「この刀に精霊の祝福を付けるのですか?」

「精霊の祝福って言うのか。妖精の加護って聞いたんだが、精霊のお前達ならもっといい加護が付けられるんじゃないのか?」

「私達には武器や防具に祝福を付ける事はできません。釜戸に集まる妖精なら付けられると思いますが」

釜戸かぁ、鍛冶なら普通は釜戸で創るもんなぁ。私の様に【錬金】や【複製】で創るわけじゃないからな。

ゴーンの所に行って1匹分けてもらうか?

和弓を1張レイに渡してゴーンの所に転移した。


ゴーンは窯の前にいて、今は窯の火は落としていた。

さっき帰る時に渡したアカとノームの分の食事を与えている所だったようだ。ゴーンも横から摘まんでアカに怒られてる。

さっき鱈腹食ってたよな。


「ゴーンさん、1つお願いがあって来たんだが」

「なんじゃ、それならさっき言えば良かったじゃろうが」

「ついでの用事もあったからね」

「ほうか、しかしさっきの飯は美味かったのぅ、オーケアノスの出す飯とは雲泥の差じゃったわ」

「それは良かった。それでお願いというのは妖精の事なんだ。妖精を少し譲ってくれないか?」

「妖精をか、それは別に構わんがお前さんに付いて行くかのぅ。ここには妖精はいくらでもおるから連れて行くのは構わんが、無理やりはダメじゃぞ」

「それは大丈夫だ、心得てるよ。それより今は妖精の姿が見えないが」

「今は火を落としとるからの、こいつらに飯をやったら火を入れるでの。そしたら妖精も集まって来るじゃろう」

「そうか、それなら今の内にもう1つの用を済ませて来るよ」


私は1階に上がり、階段があった部屋に来た。

おかしな階段だ。天井より上は真っ暗になっていて見えない。階段は闇の中に消えて行くように上と繋がってるようだ。

取り敢えず上がってみないと何も分からないか。

私は階段を上がって闇の中に入った。


真っ暗だったが1か所だけ明るくなっている。1か所というか1人。

腰に両手を当ててドヤ顔でふんぞり返っている。

私はすぐに後を向き階段を降りようとしたが、階段が見当たらない。

仕方が無くドヤ顔をしてる奴に向き直る。

クリエイターだった。


「・・・何か用か?」

「何か用かじゃないわよ! 短剣を出せば私と連絡が付くってわかってるんでしょ。もっと短剣を出しなさいよ」

「別に用は無いからな」

「あったでしょ! この大陸の秘密を知りたいとか、封印されてるのはどんな奴だとか。他に封印されてる奴はいないのかとか色々あるじゃない」

「それはオーケアノス達の事じゃないのか?」

「ブー、30点! 確かにオーケアノス達のGが封印の1つなのは正解よ。オーケアノス達はGを組んでたから、この大陸ごと封印したのよ」

Gって・・・奴らは冒険者じゃ無いだろ。普通にグループって言えばいいんじゃないか?

「他にもパーティがいるって事か?」

「そういう事。それに奴らは冒険者じゃないんだからパーティって言わないわよ」

お前がGって言ったから合せてやったんだろう。

「それなら何て言うんだ?」

「・・・・・・一派よ」

それ今思いついただろ! 一派こそグループのような気がするんだが。クリエイターがこんな適当な奴でいいんだろうか?


「じゃあ、その一派はどこにいるんだ?」

「谷よ。谷の神殿」

「その谷にいる一派を倒せば、封印されてた奴らは終わりだな」

「そんな訳無いじゃない、この大陸は1つ目の封印よ。あと、海底神殿と空中神殿があるわ」

「・・・・まだあるのか。大体お前はクリエイターなんだから、どうとでもできるんじゃないのか?」

「それがねー、あいつらって神って括りで創っちゃったのよねー。だから私の影響をあまり受けないのよね」

テヘペロで誤魔化せる間抜けさじゃないね。抜け過ぎだ。

「神なら良い奴らじゃ無いのか? マーメライで嵐を起こしてたから良く無い奴の気もするが」

「あいつらはあなたの持ってる短剣を狙ってるのよ。どこで知ったのか私に会える事を知っちゃったみたいでね。その為なら何だってする奴らなの。だからあなたも無関係って訳じゃ無いわよ」

「会ってやればいいじゃないか」

「一度会ったわ。そうしたらあいつら私がクリエイターだと分かった途端、攻撃をして来たのよ。もちろんその時は返り討ちにしてやったけど、私も危なかったのよ。だから取り逃がしちゃってね。そしたら今度は鍛治屋を連れて来て強い武器を創ってるじゃない。もう大陸ごと封印するしかなかったのよ」

飼い犬に手を噛まれるってやつか? いや、自分で創った奴らだから飼い犬じゃないか。

しかし、何でそんな設定のものを創ったんだ?


「なんで攻撃されたんだ?」

「この世界以外の世界でも神として君臨する気なの。それで私に攻撃したみたいね、他の神達も似たようなものだったわ」

野心家な神もいたもんだな。でもクリエイターが倒されるとか、そいつらの言いなりになっても不味いか。仕方が無い、手伝ってやろうか。


「分かったよ、そいつらは私達で何とかしてやるから場所と、どんな奴らかは教えてくれよ」

「ありがとう、そう言ってくれると思ってたわ。あいつらの情報は・・・・」

谷の神殿、海底神殿、空中神殿の場所と、それぞれの神の情報をもらった。

残りの神達はGでは無く、一派だそうだ。


「1つ足らないんじゃないか? 封印は4つじゃなかったか?」

「最後の1つはまた今度教えるわ。まだ冥王がいるからもう少し耐えられるしね。じゃあ、頼んだわよー」

ウインクをするとクリエイターは消えて行った。今教えろよ。

なんで楽しそうに消えて行くんだよ、もっと申し訳なさそうにしろよ。

クリエイターが消えると周囲の物が見え出した。階段も見えた。

だが、明るくなったわけでは無く周囲は異空間のような空間で、暗いのだが周囲に置いてある物は見えた。


「言い忘れてたけど、そこは亜空間収納の中よ。普通、生きてる者は入れないからね」

クリエイターの声だけが響いて来た。

「じゃあ、なんで私は入れるんだ?」

「あなたは特別よー」

どっちの意味だ? 私自信が特別な存在? それともクリエイターが特別に入れるようにしてくれた? どっちでもいいか。

クリエイターの声はもう聞こえなかった。


周囲を見渡すと、武器・防具がたくさんあった。ゴーンが創った物もあるんだろうな。

全部、私の亜空間収納で収納し階段を降りた。

亜空間収納の中のものを亜空間収納で収納するって変な話しだな。

階段を降りて上を見上げる。どうやって出し入れしてたんだろうな、大きな入り口の亜空間収納だな。

そんな事を考えながら地下のゴーンの所に戻った。


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