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第202話 火山湖の神殿

8合目までやって来た。

確かに魔物のレベルは上がっている。ステ平均が3000近くになっている。

冒険者がここまで上がって来れないというのも頷けるが、単体でしか出て来ないし、特殊な攻撃がある訳でも無い。偶にブレスを吐く魔物もいたが、ココアとリクが交代で倒して行く。

巨人系が多かった。目玉だらけのアルゴスロード、3つ頭のゲーリュオーン、炎系の巨人カークスとムスペル。サイクロプスの上位種サイクロプスキング。いずれも巨人とは思えぬ速さを持っていたが、所詮は大きくて攻撃力と防御力が高いだけ。いずれも冒険者ギルドならSクラスの魔物として認定されるだろうが、私達の敵では無かった。

冒険者には十分脅威な強さを持っていたけどな。


9合目に来た時にアジ・ダハーカが現れた。

頂上にいると思ってたが、ここで現れたか。

頂上までもう少しあるし、時間も勿体ないのでリクとココアの2人で倒してもらった。

アイスダンジョンでも湖底ダンジョンでも最終層のダンジョンマスターに設定しているが、ダンジョン内なので倒しても素材が手に入らなかった。たぶん、イチジロウに設定してもらえば出来るんだろうが、メタル系もあったので別に必要ないと思って頼んで無かった。

アジ・ダハーカは素材としては初めてゲットした。


そこから頂上までは魔物も出なかったが、雪と氷が面倒だった。

寒さは耐性があるので問題無いが、頂上手前付近の勾配がキツく滑って登れない。仕方なしに飛行の指輪を填めて頂上に辿り着いた。

ここまで飛行の指輪を填めなかったのはさっきのオーケアノスと同じで、空中で不意打ちを喰らうと自分が思った以上に飛んで行ってしまうので、敢えて填めずに登って来た。


頂上に辿り着くと火口は火山湖になっていた。

何かいるな。

この広い火山湖の1/3の長さはあるんじゃないかと思うぐらい長い魔物がいた。


ラーガルフリョゥトルムリン。身体も長いが名前も長い。

蛇なのか龍なのか分からないが、【鑑定】では天龍蛇となっていた。

頂上まで来たので、目的は果たせたと思うが、このラーガルフリョゥトルムリンが何かのキーになっているような気がしたので、倒す事にした。

頂上に主の魔物がいる。しかもデカい。誰だってこいつを倒すと何かあると思うよな。


メタルフロッグの指輪を填め、3人で分担して斬っていく。頭の部分だけ気を付けてれば問題無い魔物のようだ。ただデカい、というか長い。1人で倒すには長すぎるんだ。しかも頭を潰しても斬っても死なないし、斬ったらすぐに頭を再生して来る。魔石も複数持ってるみたいだ、運よく魔石を1つ斬れたが死なないし。斬った後から再生して来るし。面倒なので3人で1メートル刻みで斬って行った。美味しい蒲焼きが出来そうな気がする。


ラーガルフリョゥトルムリンを斬っている時に確認したが、この火山湖の底には何か建物の様な物があった。

ラーガルフリョゥトルムリンをすべて回収して火山湖の底に潜ってみた。

そこには魔法の島で見た様な神殿があった。周りには結界が張ってあったがすぐに解析して私達が通れるように書き換えて結界を通って中に入った。


神殿の中には空気があった。誰かが住んでる気配もある。

邪魔だったのは結界だけで、建物に入ったが誰も出て来ない。広々としたホールがあり、両サイドには扉ががいくつも並んでいる。部屋は幾つもあるが全部扉が開いている。分担して部屋の中も確認して行くが、誰もいない。中央のホールは奥行きが50メートルはありそうだ。

【サーチ】で確認するが、やはり何も検知する事が出来ない。

おかしいな、人が住んでいた感じもあるし、何者かがいた気配はするんだが、何も見つからないな。


「主様、階段を見つけました」

「父ちゃん、こっちにも階段があるよ」

ココアが見つけた階段は、この建物の1番奥で下へ降りる階段だった。

リクが見つけた階段は、扉が開いていた1室にあり、上への階段だった。他の部屋に比べて広く、調度品を見ると高級そうなもので揃えてある。位の高い者が使用しているのだろう事はすぐにわかった。


上? おかしいな、外から見た感じだと1階建てだったぞ? どこへ繋がってるんだ?

「まずは下へ行ってみよう。リクが見つけた階段は最後にしよう」

上に上がって帰って来れなくなると他が見れなくなりしな。先に下の様子を見るべきだろう。


私が先頭になって階段を降りた。

地下1階。下への階段はもう無かった。別の所にあるかもしれないが、今降りた階段はここで終わっていた。

1階の1番奥から降りたのだから降りた所も端だったが、奥に行こうとする方向には扉があった。扉というか白い壁が全面にあり、その真ん中に扉だけがあった。

大きな長方形のワンフロアを大きな壁で間仕切って、その中央に扉を付けた感じだ。

扉にはこの神殿に入る時と同じ結界が施してある。鍵は掛かって無いようだ、鍵穴が無い。

神殿に入って来たと同様に結界を書き換える。


扉を開けると50メートル先にまた同じような壁と扉がある。ただ、今度は扉の前に何者かがいた。扉は異常な程大きく・・・大きく? ない?

遠近法の錯覚だった。凄く小さい奴が扉の前にいたので扉の前にいた。壁も床も真っ白だったので、遠くに大きな扉があるように見えたが実際は10メートル程先に今通って来た扉と同じ扉があり、その扉の前に体長20センチぐらいの小さなお爺さんがいた。

警戒しながら近づいてみる。武器は持って無いようだ。

【鑑定】してみた。弱い、凄く弱い。


【鑑定】


名前: ノーム ♂332歳:ノーム(土の妖精) LV13

HP60 MP183 攻撃力55 防御力50 素早さ45

スキル:【収納】【複製】【MP消費減】

ユニークスキル:【窯】

称号: 


まんま? 妖精ノームにノームって名付けはありなのか? 

ノームは私達が近付いても反応が無い。非常に弱い奴だが、こいつを囮に別の所から攻撃があるかもしれん。【サーチ】でも扉までしか検知できない。壁や天井や床から何か出て来ないとも限らない。

ココアとリクにも警戒を促し、ノームに近づいて行く。

こ、こいつ・・・・寝てる? 立ったまま寝てるのか? そんな事が・・・いや、この世界は私の常識が通用しないんだったな・・・そういう問題か?


「おい、おい!」

「zzzzz」

「もういいか、ドアは押せばいいから無視して行こう」

ここのドアも結界があったので書き換え、ドアを押して入った。

次もいた、小さい奴。今度は起きていた。



【鑑定】


名前: アカ ♂330歳:サラマンダー(火の妖精) LV16

HP71 MP196 攻撃力62 防御力58 素早さ49

スキル:【収納】【複製】【MP消費減】

ユニークスキル:【炉】

称号: 



体長20センチぐらいの小さなトカゲの魔物、いや妖精か。

さっきのノームといい、このアカといい、ネーミングが安易だな。こいつの場合、サラマンダーが呼びにくいから色のアカにしたんじゃないのか? もう少し捻ってやれよ。


「そこの火の妖精、アカって言うんだな。その扉を通してくれないか」

グルグルグルー

アカは低い唸り声を上げている。

こいつに噛まれてもノーダメージだと思うんだけど、攻撃されるのはいやだな。

ココアとリクには手を出さないように指示してアカにゆっくり近づく。

アカの口からはチョロチョロと火が漏れている。


ボッ!


警戒していると一瞬だけ30センチぐらいの火がアカの口から出た。

それだけ? え? なんでドヤ顔みたいになってんの? トカゲだけどドヤ顔がわかるよ。

アカが、フン! と鼻から煙を出した。

やってやったぜー! みたいになってるけど、何もやってないからな。

もう警戒せずに3人で扉の前に立った。

アカは大きく目を見開いて「なんで?」みたいになってる。

もう放置放置、警戒するだけ無駄だったよ。


この扉も結界が張っていたので書き換えて扉を開けた。

開けた途端に、凄い熱気が出て来た。

部屋の奥に目を向けるとガタイのいい男が窯の前で槌を振るっていた。


「んあ? こりゃ! アカ! 火を入れてる時は開けるなといつも言っておるだろうが!」

どうやら武具を創っているらしいな。事情も聞きたいし入ってみるか。

「早よぉ閉めんか! 精霊が散るじゃろうが!」

私達は部屋に入って扉を閉めた。アカはまだ放心中なので部屋の外、ノームは論外。


私達は男に近づき男の横まで行った。男は槌を振るって剣を創っていた。


「すまん、ちょっといいか?」

「んあ?」

男は1度こちらを向いたが、すぐに槌を打ち始める。

「ちょっと聞きたいんだが!」

大きめの声で尋ねてみた。

「なんじゃい、こっちは忙しいんじゃ。用事なら後にしてくれ」

「わかった、どのぐらい待てばいい」

「そうじゃの、あと2日程待っとれ」

「2日は待てないな、それなら出直すとするよ」

転送ポイントを作っておけばいいだろう。

そう思って立ち去ろうとしたら男が声を掛けて来た。

「ちょっと待てい。お前さん誰じゃ」

「ん? もういいのか? 私はタロウという冒険者だが」

「そんな事は聞いとらん、お前さんが来てから精霊の様子がおかしい。お前さん何かしたんか」

「あ、それは私のせいかもしれない。悪かったな、出て行くよ。また2日後に来ればいいんだな?」

同じ職人として、作業を邪魔するのはダメだ。ここは出直すとしよう。

「辞めじゃ辞めじゃ、今日の作業はここまでじゃ。精霊がこんなじゃ話にならん。用事があるんなら聞いてやるから言うてみい」

男は槌を置いて手拭いで汗を拭きながらこっちを向いた。


「あなたはここで武器を創ってるのか?」

「見たらわかるじゃろ、変な事を聞く奴じゃな」

「いや、ここって火山湖の底だぞ? なんでこんな所で創ってるんだ?」

「そんなもんどこで創ろうが儂の勝手じゃろ。お前さんにとやかく言われる筋合いは無いわ」

「それはそうだが、周りは水だらけだぞ? こんな所で良い武器が創れるのか?」

「がっはっはっは、お前さんも職人か。お前さんも武具を創るんじゃな? ここはな良い精霊が集まる霊峰の中心じゃぞ、良い武具が出来ぬはずが無いじゃろう。ここで武具を創ると銘が入りやすいんじゃ。人も来んから集中できるしのぉ」

おお! 職人に職人って言われたぞ! 嬉しいもんだなぁ。

でも銘が入るって言ってたな。それには良い精霊が必要なのか。それなら私にもできるかもしれないな。


「何の精霊がいればいいんだ?」

「なんでも構わんよ。精霊の加護を受けられれば銘は勝手に入る。それを聞くという事はお前さんはまだ銘が入った武具を創った事が無いんじゃな? どんなものを創ったんじゃ、見せてみい」

おお! 銘入りの武具を創れる職人が査定してくれるのか。是非ともお願いしたいな。


異世界金属の刀を出して職人に渡した。

「ほぉ、これは中々のもんじゃな。お前さん良い腕しとるじゃないか。このままでも世に出せるが儂から言わせりゃあと一歩というところじゃな」

おお! 褒めてくれたぞ! 凄く嬉しくなって来たな。

「あとは精霊の加護って事でいいのか?」

「そうじゃな、そこまで出来たら儂と肩を並べてもいいじゃろう」

「そうだ、名前を伺ってもよろしいか。私はタロウ、鍛治ギルドのAランクだ」

ここは鍛冶屋で行こう。

「儂の名前か? 儂はゴーンじゃ。見てわかる通りのドワーフじゃ」

ドワーフだったのか、ドワーフにしたらちょっと細いな。私の知ってる工房のドワーフ達はもっと大きかったがな。

「お前さん達は、ここへ何しに来たんじゃ?」

おー、そうだった主旨が変わってたよ。封印の事と神の事と、あともし分かれば武器素材の事だったな。


「神の封印が解けた様なんだが、神の居場所が知りたかったんだ。あと、神鉱石のある場所がわかれば、それも知りたい」

「そんなに知りたい事があるのか、欲張りじゃのう。神鉱石はこの火山湖の底にいくらでもあるわい。ここからでも取れるようにしてあるで、持って行けばいいわい。封印の事は知らんが神はオーケアノス達の事か? それならこの上におったじゃろ」

え? 神鉱石が取り放題? 神はこの上? 全部解決したような気がするが。


「オーケアノス達は私達が倒してしまった。だから上の階には誰もいなかったよ。部屋数は多かったが、私達が倒したのはオーケアノスも含めて6人だ。他にもいたのか?」

「いんや、それで全部じゃな。そうか、死んじまったか」

「ゴーンさんの知り合いだったか、悪い事をした。でも・・・」

「ええんじゃええんじゃ、あいつらは勝手に儂の創った武器を持って行きよるだけじゃから。儂も好かんかったから気にしとらんよ。じゃが、あいつらが飯の用意だけはしてくれとったでなぁ、ちと困ったかの」

「そういう事なら私に任せてほしい、食事ならうちで用意させるよ、私ももっと色々教えて欲しいし。これでいつでも私の屋敷に来れるから、いつでも食べに来てくれたらいい」

そう言ってこの地点を登録してアジトも登録している短刀を渡した。

「ほぉ、色々持っとるんじゃな。ではお言葉に甘えさせてもらうかの」

使い方を教えるために、ゴーンと一緒にアジトの屋敷まで転移した。

神鉱石は後で取りに来ることにしよう。1階の階段の件もまだだし、転送ポイントは忘れずに取っておいた。


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