第201話 オーケアノス
1合目、2合目と上に登るごとに徐々に魔物もレベルも上がって行く。
まだ、魔物のレベルもこの辺りでステータス平均が500程度、高ランクの冒険者でも倒せるだろう。
ザッハークのように偶に出る高レベルの魔物には高ランクの冒険者でも苦戦するかもな。
今日中にはある程度登りたかったので、少し駆け足で登る事にした。
その甲斐あって昼頃から登り始めて、山の初戦で魔物の大軍に会ったにも関わらず、6合目まで来ることが出来た。明日には頂上に着けるかもしれないな。
家1号を出し、その日は6合目で泊まる事にした。周囲には仙道結界を張っておく。
翌朝起きると魔物に囲まれていた。ま、普通こうなるか。
仙道結界のお陰で、魔物達は入って来れなかったが、仙道結界を解くと雪崩れ込んでくるよなぁ。
家1号を収納し、3人で分身の指輪を填める。私は8個、ココアは4個、リクは10個填めて全方位に対して体制を整える。
「仙道結界を解いたら、皆同時にソニックブームを放てよ」
「かしこまりました」「了解!」
私が仙道結界を解除。同時に無数のソニックブームが全方位に飛ぶ!
私達を囲んでいた魔物達が一掃された。
今度からこれで行こうか、楽だよな。
ソニックブームの嵐の中を生き残った強者が1体いた。
近寄って確認すると、ニーズヘッグ。龍っぽいが、蛇に近い魔物だった。長さだけなら8メートルぐらいだが、ステータス平均も2000程度。まだまだ私達の敵では無い。冒険者ならAランクパーティが何チームか組んで行かないと危ないかもしれないな。
ニーズヘッグが何か言いたそうだ。
「お、お前達などアジ・ダハーカ様が倒・・・」
止めを差した。アジ・ダハーカがボスなのか? うちのダンジョンのラスボスじゃないか。それなら楽勝じゃないの? ま、普通なら倒せないかもな。
倒した魔物を回収していると、魔物が1体飛んで来た。少し強いがうちのラスボスのアジ・ダハーカより少し弱いか。ステ平均4000程度だな、まだココアでも勝てるな。
「ここまでやってくるとは大したものだ。我を追って来たのか、丁度いい部下の仇を討たせてもらおう」
「仇ってなんだ」
「惚けるな! そっちの小僧が海で我の部下を倒したではないか! もう忘れたというのか!」
「海で? ・・・マーメライの海か。あの時逃げた奴ってお前か」
「に、逃げたのではない! 武器を取りに戻っただけだ」
「そうなんだな。でも、その後も見て無いぞ」
「行こうとしたが行く手を阻まれたのだ、お前達の仲間ではないのか」
「昨日だったらそうかもな。ちょっと聞きたいが、お前って封印されてた奴なのか?」
「なぜ封印の事を知ってるのだ。確かに封印されたがすぐに解けるはずだったのだ。それを魔王が我の力を吸い取るものだから封印を解く力が溜まらなかったのだ。ようやく邪魔な魔王がいなくなり封印を解けたというのに、そこの小僧共が我の部下を倒しおって」
誰が封印したんだろう、やっぱりクリエイターなのか?
「父ちゃん、こいつはボクの相手でいいんだよね」
「そうだな、それでいいんだが少しだけ待ってろ」
【鑑定】
名前: オーケアノス ♂8367歳 神族LV65
HP4325 MP4255 攻撃力4005 防御力4001 素早さ5200
スキル:【超再生】【神眼】【変身】【高速飛行】【神の雷】
ユニークスキル:なし
称号: 十二神
オーケアノスは金髪でウェーブのかかった長髪で、古代ギリシャの神々達と言えばこんな奴みたいなのを、そのまま出して来た感じの奴だった。
まぁまぁ強いな。うちの連中で言うなら中の下ってとこか。人間なら太刀打ちできないだろうな。
十二神って神か? 神族ってなってるし神なんだよな。神って人間界にいるものなの? 龍もいるし悪魔もいるからいてもいいのか。
【神眼】ってなんだろう、盗っておくか。【高速飛行】も持ってるな、盗れるものは全部盗っておこう。
【ロブギフト】発動! 【神眼】を盗った。【高速飛行】【神の雷】も盗ってやった。
【高速飛行】を盗られたオーケアノスが落ちて来る。
「な、な、どうした事だ、なぜ飛べぬ」
「いいぞリク、仇討ちだと言ってるし良い武器を持ってるみたいだから倒してしまえ」
「了解!」
落ちて来るオーケアノス目掛けてリクが走って行く。リクは、うちのメンバーで速さだったら私の次の次に速い、速さはナンバー3だ。因みにナンバー2はあの無口なイツミだ。
メタル系は速さが他のメンバーより2~3ランク上だからな。
オーケアノスが落ちて来る頃には、リクは下で待ち構えていた。
いきなり飛べなくなったオーケアノスも落ちてくる頃には落ち着きを取り戻し、迎撃の態勢を整えていた。
まずはリクの先制。
落ちて来るオーケアノスに向かって下からの逆袈裟斬り!
ガッキーーン!
オーケアノスも剣を抜いて防御する。
しかし、空中で足場の無いオーケアノスは踏ん張りがきかずに吹き飛ばされる。
リクが【隠形】と【神速移動】を使いオーケアノスを追撃する。
流石にステータスも高いオーケアノスは吹き飛ばされてもうまく着地をして迎撃に備え構える。が、【隠形】を使っているリクを見失ってしまう。
目の前にいないとなれば、第1候補は上、第2候補は後ろと相場は決まっている。
オーケアノスはリクを確認もせず前方へ飛んで回避する。
【隠形】と【神速移動】を使ってオーケアノスの背後に回っていたリクの刀が空を斬る。
空を斬ったがその刀からはソニックブームが出てオーケアノスに向かって行く。
オーケアノスが向かって来るソニックブームに剣を振るうとソニックブームが消し飛んだ。
ハイレベルの攻防が続くが終始リクの優勢である。オーケアノスは後手後手になっている。
ステータスだけを見ると、リクの方が1.5倍高い。【高速飛行】【神眼】【神の雷】も盗ったのに後手に回っているとは言え、オーケアノスを仕留めきれずにいる。なんだろう、私の【鑑定】で見えない部分に何か秘密があるんだろうか。
「リク! 私と代われ。少し確認したい」
実際に体験しないと分からない部分もあると思い、リクに声を掛けた。
「えー、今から本気出すのにー。もうちょっとやらせてよー」
え? 本気じゃ無かっただけ? それならもう少し様子を見てもいいのかな?
「わかった、もう少しだけだぞ」
「ありがとう父ちゃん」
「我を相手に手を抜いていただと! 有り得ぬ、有り得ぬわー!」
怒りで顔を真っ赤にしたオーケアノスがリクに向かって行き剣を振るう。
オーケアノスの連続斬りをリクは時折刀で往なしながら難なく躱す。
「さっきから何なのだ。なぜ私の神剣を受けても折れぬのだ」
リクが今使ってる刀は異世界金属の刀だからな、神剣と言えど負けてはいないだろう。
「じゃあ、こっちも行くよー!」
リクが右手だけで刀を持って袈裟斬りに剣を振った。
ガキーン! ザシュッ!
オーケアノスがリクの袈裟斬りを神剣で受け止めると同時にリクが左手に持ったメタルの刀で下からの逆袈裟斬りでオーケアノスの両腕を斬った!
リクがいつの間にか両手で刀を持っていた。
ぐおおおっ!
追い打ちに右からの袈裟斬り、左からの水平斬り、右手で左からの袈裟斬り、左手で右からの逆袈裟斬り、瞬く間にオーケアノスが切り刻まれていく。
二刀流って片方は脇差の様な短い刀を持つんじゃなかったか? 私達の力と攻撃的な性格ならアリなんだろうな。
なんか今後二刀流が流行りそうな予感がするのは私だけか?
オーケアノスを倒したので剣をオーケアノスが持っていた刀を確認してみると
【鑑定】
名称:ボルテックス(神剣)
種類:剣
攻撃力:5000
守備力:0
付加効果:身体能力UP
ボルテックスって銘があるのか!? 攻撃力は同等だが、銘入り・・・負けた。
くっそー、絶対私も創ってやる! 付加効果だったらいくらでも付けてやるが、銘入りの武器はまだ創った事が無い。誰が創ったんだ、どうやって創るんだ。聞いておけば良かった。
聞こうと思えば聞けるんだが・・・・こいつを蘇生させて仲間にすれば教えてくれるだろうが・・・ダメだ、それは最後の手段だ。先にこの山を制覇したら何か分かるかもしれん。
だが、この死体は確保しておこう。
オーケアノスは収納。蘇生しても知らないかもしれないけどね。
次に来る奴で、良い武器を持ってたら倒す前に聞いてやろう。




