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第195話 祠で

翌日も1人で行動した。

まず獣人国に行って城の改造。大阪城風にした。

よく考えたらロロもララも武器は長剣と槍なんだよな。和では無いんだよな。

内装も襖に障子に畳。靴を脱ぐって習慣が無いから畳は一部の部屋だけにしておいた。

畳にはララとロロよりデルタが喜んでたな、知ってたのかな。


さて、祠に行ってみるか。

東の国の西の町に転移した。祠にそのまま行っても良かったんだが、魔物を沢山持ってたので、折角来たんだし先に買い取りをしてもらうために役所に行った。

九州で倒した分だけだったけど300両程手に入れた。

買い取りを終えると祠に転移した。


祠の前に立ち扉を開けた。

前に来た時と同じく、異様な空気感があった。

部屋には魔法陣は無い。【那婆羅】も何も言って来ない。

部屋の中央まで行ったが、何も変化は無かった。転送が始まらなかったのだ。

でも、この空気感。どこかで同じような感じを受けた事がある、どこだ?

部屋の中を歩きながら必死で思い出す。

思い出せ・・・・・「あっ! あいつか!」1人なのに、つい声を上げてしまった。


「あら? バレちゃったみたいねー。わかっちゃった?」

「ああ、今わかったよ。お前だったんだな、クリエーター」

クリエーターがいつの間にか部屋の中央に現れていた。今回は身体もあった。前回は顔だけだったし、ちょっと透き通ってたけど今回は普通の人間に見える。

見た目は15~6歳の黒髪の女性で、美人ではあるな。ただ、ちょっと胸が残念だ。スレンダー美人って感じか。前に出て来た時は透けてて惚けた感じだったから大人に見えたが、はっきり見えると子供だよな。


「ここから西の大陸まで飛ばされたのは転送魔法では無く、お前の能力だったのか」

「そうよ、初めは異物だから排除しようと思ったんだけどね、タロウの力が大き過ぎて排除できそうも無かったのよね」

初めに出て来た時の威厳がありそうな言葉使いはもう辞めたんだな。しかも呼び捨てだし。


「あなた、こちら側になる気は無い?」

「こちら側?」

「そう、異世界を創ったり管理したりする側の事」

「なんか面倒そうだな」

「あら、よくわかったわね。そうなのよー結構面倒なのよねー。異世界同士が偶にくっついちゃったりして、それを引き離すのは結構手間なのよ。それなのにジーザスは黙々と異世界をドンドン創っていくし。その度に理を付けて行かなくちゃいけないし、コスモは話し相手になってくれないし、ジーザスは元々無口だし。コスモはすぐ逃げちゃうから誰も私の話しを聞いてくれないし」

最後の方はただの愚痴だよな。これってクリエーターの話し相手になれって事じゃないのか?

「悪いが他を当たってくれ。私にはそういうのは向いて無い」

「だってタロウって創るの好きそうじゃない? 合ってると思うんだけどなぁ」

「確かに創るのは好きだが、そういうんじゃないな。自分達が便利に過ごす為のものを創りたいだけだ」

「そうかなぁ、合ってると思うんだけどなぁ。じゃあさ、一度こっちへ来てみない? 美味しいお茶やお菓子も用意するわよ。時間は永遠にあるわけだから、とっても楽しい会話ができると思わない?」


「断る!」

時間が永遠ってなんだ? ずっと女子会みたいな会話を永遠にするのか? 自分が話したいだけだろ?

「なんでよー、なんで断るのよー。ちょっとぐらい来てくれてもいいじゃなーい」

駄々っ子か。

「それより、私達を転送した方法を教えてもらいたいが」

「あー、あれね。あれはただの力技よ。場所と場所を無理やり繋いだだけなんだけど、この東の国って変な結界を張ってたでしょ、だから一度異空間経由で西の大陸とつなげたのよ。クリエーターだからできた技って事ね」

異空間経由か、なるほどコスモみたいな事が送るだけじゃ無く、迎え入れる事も出来るんだな。流石クリエーターって事なんだろうけど、私にもできそうな気がするな。たぶん【那由多】が【那婆羅】に進化したからそう思えるんだろうな。


「試したい事もできたし、そろそろ帰る事にするよ」

「えー、もう行っちゃうの?」

「お前って名前はあるの?」

「あるけど教えなーい」

イラっと来るな。

「もう会うことは無いからいいか」

「なんでよー。でも、また会う事になると思うわよ」

クリエーターが自信あり気に嘯く。

「お前って出て来るための条件があるよな」

「な、な、なに言ってるの? そんなのある訳無いでしょ。クリエイターの私に条件なんてある訳が無い!」

あの慌て振り、間違いないな。

「この場所と短剣か」

俯きながら、小さな声だがクリエイターに聞こえるようにボソッと言ってやった。

「な、なんでわかったのー!」

いや、鎌を掛けただけなんだけど、分かり易いよなぁ。こいつが創る理だから、この世界の人間も分かり易い奴らばかりなんじゃないのかな。

「じゃあ」

「ちょっと待って! あなた封印を解いたでしょ」

帰ろうとする私をクリエイターが慌てて引き止める。


「封印? 何の封印だ?」

「海王と北の魔王と南の魔王よ」

「私の仲間が倒したようだな」

「冥王を含めた4王は、この世界の封印の役目もしていたのよ。封印が解かれたものがあるからキチンと後始末しておいてよ。あなたのせいなんだからね」

「それはクリエイターの仕事だろ、なんで私がしないといけないんだ」

「いいじゃない、あなたも時間は永遠にあるんだから」

「さっきも言ってたが、時間が永遠にあるってどういう意味だ」

「そのままの意味よ、永遠の命って事じゃない。知らなかったの?」

「・・・知らなかったよ」

ショックだった。衝撃の告白をされたな、永遠の命って・・・いらないな。

だいたい50歳になって余命を数えだしてたのに、18歳になって若くなったのは嬉しさが半分と残念感が半分だったんだ。

また人生をやり直すのかと思える部分もあったが、異世界で初めての事ばかりだから楽しくやれてたけど、元の世界だったらウンザリしてただろうな。

それを永遠の命って・・・


少し項垂れ気味にそのまま祠を出て後ろを振り返ったが、もうクリエイターは消えていた。

祠の中なんだから、無理やり私を連れて行けたんじゃないのか? そこまでの力は無いのか? それともショックを受けていた私に気を使ってくれたのか。いずれにしても、もう短剣は封印だな。


こういう落ち込んだ時は巡回して気を紛らわせるのが1番だな。

ロンレーン、米の木、城ダンジョン、研究所ダンジョンを回ってアジトの屋敷に戻った。


ロンレーンの町では鍛冶屋と薬屋、米の木では収穫物、城ダンジョンでは砂糖鉱石と世界樹グッズ、研究所ダンジョンではコーリンベルに飲み物を冷やしてもらって武器を渡して来た。


その夜はやっぱり寝られなかったので、色々創りながら考えた。

確かに創る事は好きだが、世界を創るのは意味が違う。私はそこまで傲慢では無い。クリエイター達はアリの巣観察程度に考えてるのかもしれないが、世界を創るって事はそこで一生を終える人達の人生を創るって事だぞ。そんなのやりたくないに決まってる。

永遠に生きるんだったら、そのうち気が変わるかもしれないが今は無理だな。


夜が明ける頃、ジャンが『念話』で連絡して来た。

『タロウ様、陸が見えたぞ』

『なんだジャンか。陸って? 陸ぐらいあるだろ』

『初めて見る陸だ。凄く大きいぞ』


屋敷から出てみると、確かに陸があった。島では無く大陸のようだった。

『ジャン、これっていつ気が付いたんだ?』

『さっきだ。今まではこんな所に陸は無かったぞ』

前にも聞いたセリフだな。前の時は魔法の島だったか。あの時は海王の側近のトリートーンが封印してたんだったよな。これも封印が解けて現れたのか? 昨日クリエーターが言ってた封印がこれなのか?


仲間達も屋敷から出て来て大陸を眺めている。

「主様、先程より主様の部屋で通信水晶が光っておりましたが」

「そうか、わかった。」

さっき出てくる時にドアを開けたままにしてたみたいだな。ココアもよく気が付いてくれたな、通信水晶って呼び出し音が無いから部屋にいないとわからないんだよな。


部屋に戻ると水晶が点滅している。メッセージが残ってるんだな。

ボタンを押すと水晶に映像が出て来た。

トウベイ・スズーキじゃないか、どうしたんだろう。

「あーあー、ゴホン。タロウ様タロウ様、今マーメライの町が大変な事になっています。私達も城に避難をするかもしれませんが、通信水晶の前で待っておりますので連絡をいただけませんか。・・・・ルリコこれでいいのか?」ブチン

最後のはルリコに通信水晶の使い方を確認しただけだな。

こっちも大変だが、こっちは大至急という程では無い。城に避難する程大変な事って何が起こったんだ。


通信水晶でトウベイ・スズーキに連絡をした。

「あ、タロウ様! トウベイ・スズーキでございます。タロウ様はお元気でしょうか。本日はご連絡いただきましてありがとうございます。私からのメッセージは・・・」

「長いよ。何かあったのか?」

「あ、はい。海に魔物が現れたそうでございます。その魔物が嵐を起こしているようで、マーメライの港や町に被害が出ています」

「お前達は今どこにいるんだ?」

「まだ屋敷におります。タロウ様に連絡が取れてから避難しようと思いまして」

「まだ屋敷にいるのか。わかった、すぐに行くから屋敷から動くなよ」

「かしこまりました」


なんだ? こっちも封印の影響か? 倒した時期が違うだろう、なんで同時に来るんだ。それなら南もヤバいんじゃないのか?

クリエイターの嫌がらせか? 断った事を根に持ってたのかもしれないな。


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