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第194話 船創り

翌日、祠の事を忘れていた事を思い出した。

昨日は帰って来たら和弓を創るのに没頭してしまって100張も色んなバージョンで創ってしまった。伸縮はもちろん研究所ダンジョンの妖精達が使うだろうと思って創ったし、素材も色々試した。だって格好いいじゃん! 上下非対称って味があるというか、刀といい和弓といい、見てるだけでもいいよなぁ。

やっぱり攻撃力でメタル系、魔力で世界樹の枝だったな。

弓だから試し打ちもしたくなった。剣や刀だと素振りしかできないし、今いち感触が分からないが、弓は飛ばすだけだもんな。もちろん的があったらいいんだけど、飛ばすだけでも嬉しくなる。

屋敷から出て『メタルの和弓』で1本海に向かって射ってみた。


シュボッ! 


私の1メートル先で燃え尽きてしまった。

えっ? なんだ? 射出速度に矢が耐えられなかったのか?

いやいや、そこまでのはずはないだろ。もう1回だ。


シュボッ!


マジか! 攻撃力は今までの弓とほぼ変わらない1500なのに、和弓っていくらでも引っ張れるんだ。メタル系だから折れないしな、やっぱり和弓は一味違うなぁ。

それなら研究所ダンジョンで妖精達がやってた事を真似してみるか。

たしか、右手で弦を弾き右手に魔力を集めるんだったな。それでどうやるんだ? このまま弦を離してもダメだろうな。あいつらの弓を引く姿を思い出して・・・

確か左手の人差し指を的に向かって立てていたな。それで右手に溜めた魔力を左手で示した道をイメージして放つ!『ふんっ!』

おお! 出た! デッカイ!

直径50センチぐらいの棒がそのまま1本の線になって伸びて行く。

どこまでも伸びて行く。凄いな、どこまでも行って見えなくなったぞ。

次は世界樹の弓だ。

同じ要領で矢が無いバージョンだな。

「ふんっ!」


今度は直径2メートルはありそうな棒がどこまでも線になって伸びて行った。

あれって当たったら、山1個は最低でも無くなりそうだ。いや、トンネルができるか。

次は複数本の魔力の矢だな。さっきと同じ要領で、今度は左手の指を立てずにイメージだけで。うん、筋がバラけるイメージで・・・・

「ふんっ!」


5本の魔力の矢が筋となって伸びて行く。私も中々素質があるなぁ。

まだ飛ばすまで時間もかかるし当たるかどうかも分からんが、今後も使って行こう。


弓の件でマーメライの武器屋の師匠の所へも行きたいし、マーメライメント王国の国王にも東の国へ行けるようになった事を教えてやらないといけないよな。

城を解析したから獣人国の城を日本の城みたいにしたいし、アジトの屋敷も城にしたいな。

何からしようか。

鍛冶屋の師匠の為に和弓を創ってやりたいけど、どの素材ならいいんだろう。

保留だな、もしかしたら創ってくれてるかもしれないし、会ってからだな。


次の日は、まずマーメライメント王国の城に行き『東の国』へ行けるようになったと教えてやった。

マーメライメント王は早速船団を編成して遠征準備を始めると言っていた。

東の国への航路には強力な海の魔物が多いらしく、最低でも30艘での船団は組みたいと言ってたな。

船かぁ、船ね。創るか。

でも先に城を・・・イヤイヤ船だろう。いや鍛冶屋の・・・そういえば祠も。

マーメライメント王国にいるんだから鍛冶屋に行って船だ。決まり!


「鍛冶屋の師匠はいるか!」

「あ、旦那。そんな大声で入って来くるから吃驚しましたよ」

「師匠は?」

「今日も作業場ですね」

「聞いてくれたか? 和弓の事」

「は、はい、知らないって言ってました」

「そうか、わかった。じゃあまた来る」

「え?」

鍛冶屋の用は終わったから、さっさと出て来た。


次は船。形のイメージは出来てるんだ。大きさのイメージが湧かない無いんだよなぁ。どうせ創るなら巨大船がいいと思うんだ。

あと動力。スクリューを回すだけならアイデアはあるんだ。でも、出力調整が出来ないんだよなぁ。この世界の船は帆船のようだから、それに合わせてもいいんだけど、スクリューの方が速いし楽だよな。ギアと滑車でなんとかなるか。

もう一度マーメライメント王国の城に戻り、編成中の船団の船を見せてもらう事にした。

マーメライメント王国の城は海岸沿いの崖の上に建っていて、普段は町側から入るので分からなかったが、海側は港になっていた。入り江の方からは隠れて見えなかったが、城の地下と繋がっていてそのまま城の港と直結していた。

港には50隻程の帆船があり、中でも旗艦だと思われる帆船は長さ100メートルぐらいだろうか。大きいんだろうけど、ちょっと物足りない。

それでも1番大きな帆船に乗せてもらい解析完了。船の構造を理解した。

あとはスクリューを付けて、その制御をどうするかだ。


まずは試しだ。大きさは異世界で獲ったクジラの大きさで、構造はさっきの帆船。マストは一応そのまま付けておこう。船尾の舵の両サイドに丸い穴を開けてスクリューの軸が通るようにしておく。素材は頑丈なメタル系だな。

マーメライの砂浜に出て人目の付かない所を選んだ。


まず船を創ってもこけないようにドライアドで台を作る。次にメタル系の魔物でメタルウォームを1体出し、【創生】で長さ100メートルの帆船を創った。予定通り船尾には穴を2つ開けている。いつもこの比率におかしさがわからないんだよなぁ。

またメタルウォームを2体出し軸付きのスクリューを2つ創った。スクリューの直径は2メートルにした。その軸を船尾の穴から差す、後ろから見たら今にもスクリューが回りそうな雰囲気が出てる。

今度は船に乗り込み船底に行き、スクリューが付いている軸を固定する台を創る。固定はさせるが軸か回転できる台座を創った。軸にはギアを取り付けた。

1層上に上がり同じように軸を2本創って台座に固定した。この軸にもギアを付け、下の層の軸と自転車のチェーンの太い物で繋ぐ。上の軸が回ると連動して下の軸が回りスクリューが回るという事だ。

自転車のチェーンはバラバラにした事があるので構造は知っている。【那婆羅】の補助もあり、大きさや長さも丁度いい具合に仕上がった。

さて、この軸をどうやって回すかだ。風車をたくさん付けて風魔法で風を送って回すか。回るだろうけど、どうやって止める? 風向きを変える工夫をすればいいか?

うちの連中なら人力で十分なんだけど、そんなものを創る訳にはいかないな。


2階層目の軸には直径2メートルの風車を5個ずつ付けておく。長い棒に風車が5個串刺しになっている形になった。

2つの軸の真ん中に甲板を突き抜けて甲板より3メートル突き出た直径1メートルの煙突を立てた。煙突の底にはダンジョン核を置く予定だ。ダンジョン核に風魔法を付加して常時風魔法を上に向けて発動するようにして設置するんだ。

煙突の中に風車軸を置いてる階層の天井と同じ高さに開閉式の仕切蓋を創る。仕切蓋の下の高さで煙突から四方へパイプを出す。

パイプは直径50センチにして2本の風車軸の前と後ろに回って出てくるように設置した。メインの煙突から4本のパイプが出ている。アールに曲がったパイプが天井辺りから壁に向かい下に曲がって、更に風車軸の前に来るように設置した。正面に2本、後ろから2本据えられた格好だ。


煙突とパイプの接続部分にも開閉式の仕切蓋を付ける。仕切蓋は全部手動なので原始的ではあるが、風の流れを変えてやるだけなので、頻繁に触る事も無いだろう。

煙突の底に置いたダンジョン核で風魔法【暴風】を発動。風が煙突を抜けて空に向かって【暴風】が吹き荒れる。

【那婆羅】の計算では、このぐらいの魔力なら常時発動していてもダンジョン核なので100年は持つだろうという事だった。


煙突のから後方へ向かう2つのパイプの仕切蓋を閉じる。次に上部の仕切蓋を閉じる。

風車軸の正面の2つのパイプから暴風が出て来る。2つの風車軸が勢いよく回り始めた。

「おお、いいねぇ。回ったぞ」

外に出てスクリューも確認。うん、勢いよく回ってるな。あれ? スクリューが止まって来た。あ、仕切蓋が飛んでる。

煙突の上部を塞いでた仕切蓋が空高く飛んでいた。


もうひと工夫だな。どうせあの蓋を閉められるのは私ぐらいだったろうしな。あの風の勢いだったから開けたら閉められないよな。


今度は風車軸がある天井で煙突を切って、天井裏に上の階からスライド開閉できる仕切蓋を創って、その上に煙突を継ぎ足した。パイプと煙突の接続部分にも上の階からギロチンの様に上下スライド開閉できるようにした。

煙突の先も、真っすぐだと雨が入って来るので先は曲げて前に風が出るようにした。

この風を受けて帆で走ってもいいんじゃないか? いやいやスクリューに拘ろう。

煙突の出口にはグリルを付けて風向きが上に向くようにした。


よし、再テストだ。

後方への仕切蓋を閉じて、上方への仕切蓋も閉じる。

外へ出てスクリューの確認。うん、気持ちいいぐらい勢いよく回ってるな。

今度は蓋も飛んでない。

どのぐらいのスピードで走るのかテストだな。

上方への仕切蓋を開けると風車軸が止まって行く。


収納も考えたが目の前は海だし、この程度なら押せるだろ。

台をそのまま海に向かって押して、そのままの勢いで台だけを収納した。

船はそのまま海に浮かんで少し進むと凄く傾きだした。今にも転覆しそうだ。

え? なんで? あ、バラストか。帆船も船底には石が一杯積んであったな。マンガでも読んだ事があるよ。


急いで近くの大きめの石を掻き集め収納。飛行の指輪を填めて、今にも転覆しそうな船に乗り込み船底に降りた。

掻き集めた石をどんどん出して行くと船は安定して来た。

大丈夫そうだな、テスト航海をやるぞ。


後方への仕切蓋を閉じて、上方への仕切蓋も閉じる。

船が進み始める。私は舵を取り、1人船長気分。


「いいねぇ。気持ちもいいけど、気分も最高だ! このままアジトまで行ってやろう」

マーメライ入り江から外海に出た。途中で魔物も出て来るが、メタル系素材で創られた船だから、まったく傷つかない。スピードも50キロぐらい出てるんじゃないだろうか。

島も浅瀬も無いから、舵も握らず甲板に出てみたりした。

残念ながら夜になってもアジトには辿り着かなかったから、飛行の指輪を填めて、船を収納して短剣で転移してアジトの屋敷まで戻って来た。


色々と用事があったはずなんだけど、船創りで終わってしまったな。

日焼けした肌が痛いなぁ。


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