第184話 異世界ダンジョン
キャラ紹介は思案中です。
翌朝、朝食が終わると皆それぞれ出て行った。
朝食で集まらないメンバーは獣人国に行ってる者と南の元勇者達だけ。
それ以外はイチジロウの作った朝食を摂り出て行った。
残ったのはココアとリクとソラ。イチジロウはいつも通りお留守番。
じゃあ、このメンバーで行こうか。向こうのドリュアス達の村で創った世界樹の事もあるし、エルも連れて行った方がいいか。そうなるとアメーリアも付いて来るよな。6人ぐらいならいいかな。
ココアとリクとソラを連れてアメーリアの宮殿の庭に転移して来た。
宮殿の玄関から入るといつも通り執事さんが迎えてくれた。
いつもこの人どこにいるんだろうね、アメーリア達の世話も焼いてるだろうに。
「おはようございます、タロウ様」
「おはよう執事さん。エルはいる?」
「はい、エル様もアメーリア様も今お食事が終わりましたので、間もなく来られると思います」
「じゃあ、待たせてもらうよ」
「では、こちらに」
いつも普通の家に来る感覚で来てるけど本当はダメなんだろうな、今更だけど。ここの執事さんは初めから同じ態度だったからな。
紅茶が運ばれてくるとすぐにアメーリアとエルがやって来た。
紅茶で思い出すんだけど、いつもコーヒーの事を忘れるよな。私の中ではそんなに重要な事でも無いんだろうな。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます、今日はいつもよりメンバーが多いですね、どこかに行かれるんですか?」
「ああ、前に世界樹を創ったドリュアスの村に行こうかと思ってるんだ」
「「行きます!!」」
はいはい、わかってましたよ。
「そう言うだろうとは思ってた。準備がいいならこのまま行くぞ」
「はい大丈夫です」
「今回はこっちを試したいから全員この指輪を填めてみてくれ」
全員に指輪を配る。コスモキングから解析した【扉】の付加効果を付けた指輪だ。
素材は壊れにくいようにメタル系を使用している。
この『扉の指輪』、異空間への扉で行き先はわからないってなってたけど、行き先がわからないんではなくて、まずはコスモのいた異空間に出るはずだから、そこから選びたい放題になると思う。でもどこがどんな世界かわからないから、やっぱり行き先はわからないという事になるな。
1往復で壊れるっていうのもあるけど、1往復は壊れないっていう事でもあるし、それぞれがそれぞれのタイミングで帰って来れるという利点もあるからな。
指輪の効果【扉】を発動させる。
この付加効果の発動だけど、非常に簡単だ。
ステータス画面に現れる装備品の付加効果を確認しYes/Noと出ればYesと選択するだけ。1度やってしまえば後は言葉で発動する。私の場合は【那由多】のサポートがあるから初めから言葉でできていたけど、他の者はそういう手順を踏んでいた。【鑑定】ができない者でも自分のステータス確認はできるので、誰でも付加効果を発動する事は出来た。
ココア、リク、ソラ、アメーリア、エルと私で扉の指輪を填め、【扉】を発動。コスモのいる異空間に転移した。
私達が異空間に転移するとコスモがすぐに現れた。
「よう、今日は少ないんだな」
「ああ、久し振りだな。今日も頼むよ」
「久し振りってなんだ? あー、前に来たのがお前達の言う1年以上前だからか。前にも言ったろ、俺には時間も場所も関係ないって」
「確かに言ってたな。じゃあ早速だが、前に行った世界に私達を送ってくれないか」
「OK、じゃあ行ってこい」
真っ暗な空間にいる私達の所に、遠くから小さな光点が近づいて来る。光点は近づくごとに大きくなり私達は光に包まれた。
「今回はちょっとおまけしてやったぜ」
おまけ? 良い物ならいいんだけどな。
光が収まって来て周りが見え出すと、この場所は建物の中だと確認できた。
どこに飛ばすかはコスモ次第なんだな。
周りを見渡すが、窓も無く扉も無い。下に降りる階段があるだけ。
前に来た時って建物って無かったよな、人間に会ったのって仙人だけだもんな。仙人が人間ってのも怪しいけどな。
「でもここって・・・」
リクとソラとココアの目が輝き出す。
「そうだよなぁ、ダンジョンだよな。」
「えっ! ダンジョン!?」
「エルは張り切らなくてもいいから、ここはこの3人に任せておこう」
「えー、わかりましたー」
渋々了解をしたエルとアメーリアを真ん中にして、先頭がリク。ソラが続いて最後尾の殿にココアの順で階段を降りて行った。
リクは刀、ソラは珍しく薙刀。ココアも薙刀を持って警戒している。
私も【那由多】のサーチで警戒するが小さな点が確認されるだけで、脅威となる魔物はいないと思えた。
初めに出会った魔物はゴブリンだった。見た目も名前もゴブリンだった。
これがコスモの言ってたおまけ? これなら普通に町の近くに出してくれた方が良かったと思うが・・・。とりあえずは制覇しようか。
「父ちゃん、何このダンジョン。ショボすぎだよ」
「そうみたいだな、少しペースを上げようか。何階層あるかわからんが、まずはダンジョン制覇しようか」
「うんわかったよ」
それからはアメーリアが付いて来れる範囲で急いでダンジョンを制圧して行く。
フロアマスターは10階層目にゴブリンファイター、20階層目にゴブリンキング、30階層目にオーガ、40回層目にオークジェネラル、50階層目がダンジョンマスターのオークキングだった。
出てくる魔物がそれ以上であるはずも無く、ダンジョン制覇は楽に終わった。
ボーナスステージとして48階層目にコスモ系だらけのモンスターハウスがあったが、コスモ系も大して強く無い。魔物のクラスで言うとCクラスぐらいだ。これだけ数がいると通常の冒険者なら梃子摺るかもしれないが、私達なら楽勝だ。
思ったより宝箱が多かったのが印象的だったが罠も大したことが無く、すべての宝箱も回収した。
宝箱の中身はアイテム系が多かった。付加効果の付いた指輪やネックレスだったので、解析だけは済ませて収納。珍しい付加として【空調】や【保温】や【水】があった。
私達には全く必要ない物だが、普通に暮らす者にしたら快適に暮らせる効果のあるものばかりだった。
【空調】は熱耐性でいらないし、【保温】は亜空間収納、【水】は水魔法があるのでいらないが、特に【水】に関しては攻撃にはならないが、水魔法が苦手な冒険者には欲しいものかもしれない。
レベルが低い冒険者と一緒にパーティを組んだことが無いので、どんな物が欲しいのかがわからないのでね。
途中まではアメーリアのペースに合わせていたが、やはりこのメンバーの中では数段落ちる。途中から面倒なのでアメーリアは私が抱き上げて走っていた。
先頭のリク以外、走るだけしかしてないし、宝箱も伸びる槍で遠くから開けて罠が発動すれば収まってから回収するだけだから誰も戦う必要が無かった。
50階層を制覇するのに途中で休憩を入れたにも関わらず6時間も掛からなかった。
ダンジョンマスターを最終層の50階層で倒すと、奥に続く部屋に行ける通路が現れ、入ってみるとダンジョン核があった。
取る必要は無いんだが解析をしたかったので、回転を続けるダンジョン核を両手で止めて解析に入ったら凄く時間が掛かりそうだった。一旦収納して創って持っていた別のダンジョン核を置いて回りだすのを確認してからダンジョン核の隣にあった転送魔法陣に入った。
ダンジョン入り口に転送されると管理棟が建っていた。
2階建てでアーケードの様になっていて、そこを通らないと外には出られないようだ。
私達の前は鉄格子状の門が開いていて、今は朝のようだった。
どうやらちょうど門が開いた所だったようだ。
入門待ちの冒険者が20組以上並んでいて、1組目は正に今から入って行こうとするところだった。
急に私達が現れた事で全員の注目を集めている。冒険者も門を管理していると思われる兵もキョトンとしていて動かない。
私も状況を確認して止まっていたが仲間は通常運転でアーケードの方に向かい出した。私も後を付いて行く。動き出した私達の前に慌てて兵がやって来た。
「ちょっちょっちょっと待て! そこを動くな!」
先頭を歩いているリクとソラが止められた。
「お前達! 今ダンジョンから出て来なかったか?」
「出て来たよ」
先頭のリクが軽い調子で答えている。
「転送されて出てきたように見えたが、ダンジョン制覇したって事じゃ無いだろうな」
「制覇してきたよ。だから転送で出て来たんじゃん」
「そんな格好でか」
私達はいつも防具は付けて無い。仲間でも防具を装備してるのは元勇者達と獣人達だけだ。
私はいつもユニコが作ってくれる服を着ている。ベッキーがアジトにいた時は、デザインも豊富になって色んなバリエーションの服を作ってくれていた。
最近は黒の春物ジャケットに白のVネックシャツに黒のパンツというラフな格好が多い。今もその格好をしている。アメーリアは白ベースの王族服だけど動きやすいようにフワッとした薄手のロングフレアスカートみたいな感じだし、他は変身で着ている振りをしているとはいえ、ベッキーにキツク言われて格好良いファッションになっている。リクはよく私のマネをしているようだ。
そんなラフな格好の者達が武器も持たずにダンジョンから出て来たら誰もがおかしいと思うのもわかる。
だが、私もそうだが今日のメンバーで人間の管理しているダンジョン経験者はリクとソラだけ。ソラは当てにできないし、リクも生まれたばかりの頃に行ってただけなので、よく覚えて無いんじゃないだろうか。
今日も人間の管理してるダンジョンってこんな感じなんだぁって思ってただけだから、これからどうすればいいかもわからない。聞いてみるか。
「ちょっといいか? ここから出してもらえないか?」
さっき止めに来た兵に向かって尋ねる。
「さっきもこっちの者に聞いたが、お前達はダンジョンを制覇して来たのか」
「ああ、そうだが。制覇しちゃマズかったか」
「お前がリーダーか? とても信じられないが、それならこちらの管理棟で報告をしてもらおう。ダンジョン核は取って無いだろうな」
あ、取った。すり替えてるからいいんじゃないか? セーフだろ?
「ダンジョン核はあったよ」
「それならいい。じゃあ、付いて来てくれ」
少しざわつき始めた冒険者達の横を通って管理所に連れて行かれた。
キャラ紹介は思案中です。
このままストーリーを進めながら、出来上がったら投稿します。
よろしくお願いします。




