第18話 ギルド登録
そこは3階建てで周りの建物よりは大きな建物だった。
入ってみると受け付けカウンターがあった。
気にしてなかったが普通に読めた。今更だが言葉も通じている。
受付は空いていたので、そのまま声をかける。
この時間は空いているようだ。
「登録はできる?」
ここでも敬語は使わない。でもこの方が疲れる。慣れだろうね。
「初めての方でしょうか?」
綺麗なお姉さんが答えてくれる。
「ええ。」
「ではこちらの紙にご記入ください。書き込めるところだけで結構ですので。」
と登録用紙を渡される。
「3人なんだけど。」
「かしこまりました、ではこちらを。」と2枚追加で渡された。
記入は設定もあるので、3枚とも私が書き込んだ。職業は3人とも剣士でいいだろう。
侍とか巫女とか無いし。記入した用紙を渡すと
「ではこちらに血を1滴垂らしてください。そこにある針を使っていただいても構いませんので。」
それぞれ言われたとおりにする。
「最後に水晶に手を置いていただけますか?」
一人ずつ手を置いていく。
「はい初期登録が完了いたしました。パーティ登録もされますか?」
「ええ」
「パーティ名は?」
後ろの2人を振り返りながら考える。オオカミと狐だよな。
「ウルフォックスで。」
「かしこまりました、ではパーティ名ウルフォックス3名で登録しました。」
それからギルドの説明を受けた。
「初めの登録費は無料ですが、再発行の場合は有料になります。ランクはGランクからのスタートになり、更新期限も異なります。依頼達成でポイントアップし、ランクごとの設定にポイントが達するとランクを上げていくことができます。」
詳細はこうだった。
入会費無料(但し、更新切れで再発行の場合は銀貨50枚)
【ランク】
G 更新期限 1か月 更新費なし申請だけ 30ポイントで達成
F 更新期限 3か月 更新費 銀貨10枚 50ポイントで達成
E 更新期限 6か月 更新費 銀貨50枚 80ポイントで達成
D 更新期限 1年 更新費 銀貨50枚 100ポイントで達成
C 更新期限無し 更新費無し
B 更新期限無し 更新費無し
A 更新期限無し 更新費無し
但し、Aランク冒険者か若しくはAランクパーティにはギルドマスターの依頼要請に従う義務がある。
非常時にはCランク以上の冒険者に強制的な要請をする場合がある。
以上の要項が守れなかった場合、ランクダウン若しくはギルドからの脱退になることもある。
Cランクから上に上がりたい場合は、ギルドマスターから直接説明を受けてもらう。
あと、冒険者同士のトラブルにはギルドは関わらないとかトラブルにならないような最低限のマナーの説明があった。
受けられる依頼は1つ上のランクから1つ下のランクのものまで。
Gランクは最低ランクなので、GかFランクの依頼だけ可能です。
「以上でございますが、何か質問はありますか?」
「私たちはGランクなわけなんだけど、たまたまCランクの依頼を達成してしまった場合はどうなる?」
調子よく説明をしてくれてたお姉さんだが、いるのよねーこういう奴って目線をしながら
「たまたま ですね。その時は依頼内容とギルドマスターの判断ではございますが、最低でも1つ上のランクにはなれると思います。」
確かに3人とも軽装で武器も持って無いしね。実は持ってるんだけど。
すぐに答えてくれたってことは、こういう質問をするやつは 他にもいるんだね。
「ありがとう、質問はそれで終わりでいいよ。」
「それではカードをお渡しします。このカードは依頼完了時や魔物や薬草類の買取の時に持ってきていただきます。入出国の際にも身分証明として使っていただけます。」
受け取ったカードを見ると大きくGと書いてあるのが分かる。
銅貨と同じ色だった。
「買取はどこ?魔物はもう持ってるんで急いで買い取ってほしい。」
「ではあちらの買取カウンターでお願いします。」
早速 買取カウンターに行ってみる。
「魔物の買取はできる?」
受付には恰幅のいい、鋭い目つきのおっさんがいた。
「なんだ?兄さん、魔物の買取って何も持ってきてね―じゃねえか。」
しまった、収納はアイテムボックスだった。着替えてきたのでさっきの手は使えない。
ズボンの後ろポケットから出すふりをして、金の粒が入っていた木箱を出す。
「ほぉ~、珍しいな、木製のアイテムボックスかい。どのぐらい入るのか知らねえが、何を出してくれるんだい。」
この町に長居する気はないんで全部出してしまってもいいんだが、あんまり悪目立ちもしたくないんで、どの程度出せばいいかわからない。
でも、上着とパンツ数枚分は確保したいので、まぁまぁ強かった奴を出せばいいか。
「クロコダイロンは・・・・」
「なに!クロコダイロンだって!」
え?ダメだ、もうちょっと下かな?
「いやいや、ツインヘッ・・・・」
「はぁー!ツインヘッドだとー!」
「違う違う、オーガ」
「なんだとー!オーガだとぉ!お前たちGランクだよなぁ。」
ダメだ、どれを出してもダメそうだ。
でもお金も無いんだ!どれか出さないとパンツが買えない。
食べられ無さそうなオーガを出してみる。食べられそうな魔物は自分で解体すればいいし。
「!!!!!!本当に出てきたよ。」
ちょっと待ってろって言いながら、おっさんは受付カウンターのお姉さんのところに行ったようだ。
期待のルーキーが現れたぜーとか聞こえている。声が大きいって。
待ってる間に、依頼が張り付けてある掲示板を見てみると、あったよーオーガ。
依頼度Cってなってる。他にもリカントD クロコダイロンB ツインヘッドB ウェアウルフB サラマンダーC 等々、持ってる魔物でF以下なのはゴブリンなど少数派だった。
受付のお姉さんと話を終えたおっさんが戻ってきた。
「おぉ兄さん、名前は何ってぇんだ?オレはゲンマだ。」
「タロウだ。こっちはソラでもう一人はココアだ。」
「そうかい、よろしくな。」
そう言ってゲンマが握手を求めてきたので握手をする。
「すぐにギルマスが降りてくると思うぜ、それまでに 持ってるんだろ?まだ魔物を。出せよ兄さん。」
観念するしかないな。なんかバレてるっぽいし。
「ここじゃ狭いな。もっと広いところは無いか?」
「そんなにか!よしじゃあ倉庫に来てくれ。」




