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第179話 根回し

アジトの屋敷に戻るとココアが聞いて来た。

「どうされるのですか?」

「そうだな、あんな王のいる国なんて滅びてしまえばいいと思ったよ。でも悪いのは上の方の奴らだけかもしれないしな、王を変えるというか国を変えてやろうかと考えている」

「なにか面白そうですが、何をされるのですか?」

「獣人の国なんてどうだ? この大陸中から集めても相当な数が集まると思うが」

「確かにそうかもしれませんが、獣人は奴隷になってる者が多いと聞いています。他の国がそれを許すものでしょうか」

「難しいかもしれないな。でも、バンブレアム帝国、マーメライメント王国、エンダーク王国を押さえれば後の国は言う事を聞くんじゃないか? その為にも根回しは必要だとは思うが、ダメでもあの王はそのままにはしておけないな」

「左様でございますね」

「お前は楽しそうだったじゃないか」

「いえ、まだまだでございます」

何がまだまだかわからないが、あれ以上は見てられないよ。

「明日から城巡りだな。頼みに行くと代わりに何か言われそうでイヤなんだが今回はそうも言ってられないよなぁ。」

「確かにそうかと思います」

「根回しが終わったらゴーレーン国に行くから、皆に声を掛けておいてくれるか。あと北の勇者の事も誰かに調べさせておいてくれ」

「かしこまりました」

ゴーレーン国の調査には今回関わった者がココアに頼まれたようだ。

ムツミ、サジ、リク、ショーン、ノア。ムツミとサジはツンザンブレーン連邦の各冒険者ギルドのギルマスとは顔馴染みだし、リクとショーンは潜入が得意だ。どうせノアは酒場回りだろうけど、酒場での情報収取って結構いい情報があったりするから他では聞けない情報があるかもしれない。


私は次の日から根回しのためココアと2人で城に来ている。まずはバンブレアム帝国。

門で王との謁見を頼んだ。夜に城の中に転移して話をするのが手っ取り早いんだが、公式の話しとして残してほしいし正式な手順を踏むことにした。

それなら普通は事前に王への謁見願いを連絡しないといけないとは思うんだけ、私は普通じゃないし、そんな暇も無かった。ただ面倒なだけだったんだけどね。

やっぱり30分ほど待つと謁見が叶った。どの城でも王への謁見が叶うから私の場合、事前連絡はいらないよね。

「タロウ殿、久し振りだな。もっと城に顔を出してくれてもいいのだぞ。其方(そなた)の部屋ももう用意してあるのだぞ」

「え? 何してんの? いらないって」

「其方は公爵だから城に部屋を用意せぬ訳には行かぬしの」

「ま、使わないけどね。それより相談があって来たんだ。王様の力を借りることになるかもしれない」

「どんな相談だ」

「まず報告からだな。ツンザンブレーン連邦のゴーレーン国がこのバンブレアム帝国に対して戦争の準備をしている。これは私が何とかするから、その後の事で協力してほしい」

「なんだと! ゴーレーン国が我が国に対して戦争を準備しているだと! 身の程を知らぬ奴らめ思い知らせてくれるわ。ツンザンブレーン連邦など滅ぼしてくれるわ」

王様って結構武闘派だったのね。ビックリだわ。

「い、いや、ちょっと待ってくれ。戦争なんかしたらこっちも被害はでるだろ? それにツンザンブレーン連邦が悪いんじゃなくてゴーレーン国の王が企んでるだけだ。そっちの制圧は私がやるから、その後の事についての相談がしたいんだ」

「以前からの報告でおかしいとは思っておったのだ。勇者の再召喚をしたという報告はあった、しかも20人もの勇者が召喚されていると。これは何かあると睨んでおったが、我が国に対して戦争を企てておったとは。騎士団長を呼べ!」

「だからちょっと待てって。。昨日も行って来たんだよ、王の方は何とでもなる。軍隊を動かす程じゃない。ちょっと落ち着けよ」

「落ち着いてなどいられるものか、戦争なのだぞ。儂にはこの国を守る役目がある」

「わかった、それは私がやるから後の事で手伝って欲しいんだよ」

「そうはいかん、これは儂の役目だ」

呼ばれた騎士団長がやって来た。

「お呼びでございますか」

「うむ、ツンザンブレーン連邦が攻めて来る。準備に取りかかるのだ」

「御意。準備はとうにできております。」

「ほぅ、それはまた早いではないか」

「御意。第1王子ローゼッテン様から1週間前より準備をしておくよう通達がございましたので準備は万端でございます」

「ローゼッテンがのぅ、あやつも中々やりおるな。ローゼッテンの部下には潜入が得意な者が多かったな、戦争の気配を読んでおったか。よし、先陣の栄誉はローゼッテンに与える。明日、出陣式を執り行いツンザンブレーン連邦に向けて出陣せよ」

「御意!」

騎士団長が急ぎ足で出ていった。

変な方向に話が進んでしまったな。しかし、そんなに簡単に戦争を始めていいのか?

「王様、そんなに簡単に戦争を始めるっていいのか?」

「構わん、我が国は帝国である。偶にこうやって兵を出しておれば他国への牽制にもなるからの」

あまり理由になってない気もするけど、戦争が始まる事になってしまったぞ。そうならない為にも急いでゴーレーン国の件を終わらせてやるか。


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