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第175話 捕まった

説教に時間も掛かったし、世界樹ダンジョンにいるエルフ達を迎えに行った。

世界樹の前まで来てみると、エルフ達はさっき私達が出て行った時と全く変わらない状態のまま立っていた。

「イチコ、こいつらって」

「はい、微動だにしていません」

凄いなぁ、でもキリが無いから一度連れて帰ろうか。

「行くぞ」と言っても無反応なため、手を引き連れ出した。ずっと放心状態である。

出口の所まではドライアドにも手伝ってもらったが、出口からは4人で2人ずつ手を引き一度エルフの里に転移して、また戻って来て残りを連れ帰った。

戻ったエルフ達15人は、まだ放心状態で何を話し掛けても答えてくれない。

待っていたエルフ達に囲まれて色々質問を受けているのだが、恍惚な表情をして放心状態から抜け出せないようだ。

困ったね、これは。誰を連れて行ってもこうなるんだろうな。やっぱり妖精樹だな。

3長老はさっきと同じく話しができない状態になるので、エルとアメーリアには浮遊城に戻って待っててもらった。私だけの方がまだマシだろう。

「ミスランディ、少しは話せるか?」

「はい、今なら少しは話せます」

エルとアメーリアが居なくなって少しは話せるようになってるみたいだ。やっぱり精霊や妖精はエル、アメーリア、私の順なんだな。

「さっきの奴らなんだが、世界樹の前まで連れて行ってやったんだが、たぶん凄く感動したんだろう、ずっと固まったままだ」

「な、なんと羨ましい。私も是非! 是非連れて行ってください」

「いや、お前には無理だ。本当に死んでしまいそうな気がしてきたよ。だから提案があるんだが」

「なんでしょうか」

「お前達は妖精樹って聞いた事ある?」

「いいえ、妖精樹とは何でしょうか」

「世界樹の枝を接木にして作られた人間界にある樹なんだ。やはり聖なる気を発してるみたいだぞ」

「おぉ、人間界にそのようなものがございましたか。羨ましい限りでございます」

「それでな、その妖精樹ならここに創ってもいいかなぁと考えてるんだ。ただし条件がある」

食い気味で乗り出したミスランディが条件と聞いて元の位置に戻る。

「条件とは何でしょうか」

「条件は2つある。1つ目は今ある妖精樹の見学に1度行ってみよう。今回の奴らの様にずっと放心状態になるのはダメだろう。そのうち戻るだろうがあれじゃ廃人だ。そうなるために世界樹を見せたわけじゃ無い」

「ご尤もです」

「2つ目は1つ目の妖精樹を見てもいつも通りにできるんなら、ここに妖精樹を創ってやろうと思うんだが、ここでは育たないらしいんだ。だから結界を解いて欲しい」

「そ、そ、それは・・・」

「難しいだろうな。でも、ここの結界を解いても私の領地の中だから魔物に襲われたりすることは無いんだぞ? 逆に魔物にお前達を守らせる事もできるんだ。今回見た限りじゃお前達には世界樹はハードルが高すぎる。妖精樹で慣れたら、将来世界樹に連れて行ってやれるかもしれない。妖精樹でもどうなるかわからんしな」

「そ、そんな事までできるのですか。しかし・・・」

「やはり結界を解くのは抵抗があるよな」

「はい、私達が必死で守り抜いた者達です。また危険に晒す事になると思うと・・・」

「危険じゃ無いんだがな、それは後で考えよう。まずは妖精樹を見てからだ。先に向こうに転送魔法陣を創って来るから皆で相談していてくれ」

「わかりました」

ココアと浮遊城に戻りアメーリアとエルと合流し、ツンザンブレーン連邦のザンガード国に転移して来た。町に入ると妖精樹に行ったことのあるココアに先導してもらって妖精樹を目指していた。

入門の時にどのカードを見せるか考えたが、アメーリアとエルはウルフォックスメンバーでSカードの冒険者カードしか持って無いので私達も冒険者カードで入門する事にした。何かあっても短刀で逃げればいいだろうしな。戦えば余裕で勝てるのは分かってるが、人間と戦って相手が死んでも嫌だしな。

普通に入門できたので拍子抜けした。前回来た時に砂糖を盗んだと疑われて勇者10人が1000人の兵士を引き連れて来たぐらいだから、指名手配にはなってるだとうと思ってたからだ。門は国の管轄だと言ってたので、冒険者ギルドのSカードだといってもメリットも無いしな。逆に目立つからすぐにバレるだろうと思っていた。

無事に入門して妖精樹に向かっていると検問があった。ドキドキしながら検問所に入ると、ここから先は魔物が多くなるので一般人の立ち入りは禁止だと言われた。私達は表向きCランク冒険者なので、ギリギリ通行許可がおりた。やっぱり指名手配にはなって無さそうだ。

更に進むと軍隊がいた。緊張感が漂っていた、すぐにでも出撃なのか、もう前線では戦っているのか。兵士たちは非常に緊張した表情をしていて、軍隊全体がただならぬ空気を出していた。

少し進むとまた検問所があり、ここから先はBランク冒険者以上で無いと通れないと言われ理由を聞いたら妖精樹から強烈な魔素が出始めて魔物が集まり出しているので、この先は危険区域に指定されたそうだ。

これってココア達が妖精樹に棲みついてる魔物を排除するまでと同じ状況だろ。でもなんでだ? 勇者の持ってた【魔物召喚】は私が盗んだはずだ。しかもその勇者は魔物に倒されたはずだ。だれがガジュマルを呼び出したんだ?

それで軍隊が出て来てるという事か、私達の事など後回しにされるはずだな。

このまま進んでも魔素を出す妖精樹しか無いんなら見ても仕方が無いし、引き返すことにした。エルには一度見ておいて欲しかったんだが、今の状態の妖精樹を見てもあまり参考にならないだろうしな。

なぜこうなってるのか事情を確認するために町で聞いて回った。冒険者ギルドには行ってない。

わかったことは前回召喚した勇者達は全員亡くなったので、またゴーレーン国で新しい勇者が召喚されたという事だった。

なんかおかしいな、まだ6人残ってたよな。そんなに強くは無かったが、今までの海王や冥王を見る限りいい勝負になりそうな強さだった。6人パーティなら何とかなったんじゃないか? そんな奴らがやられたのか。しかも【魔物召喚】をまた使える勇者がいて同じことをさせてるし、だいたい勇者召喚は各国の持ち回りじゃ無かったか? この短期間にゴーレーン国が2回連続ってツンザンブレーン連邦のシステムから言ってありえないだろ。勇者召喚は順番に各国がするはずだったからな。凄く黒い部分がありそうだな。


さて、どうするか。勇者召還するぐらいなんだから魔王を倒す意志はありと見ていいのか? 北の魔王は会った事が無いんだけどな。北の魔王についての選択肢としては、放置、倒す、利用する、だな。

基本は放置なんだが、場合によっては利用してみようか。


ただ、妖精樹は諦めないといけないかもな、どうせまたガジュマルを召還して妖精樹に寄生させてるんだろうけど、今ガジュマルを倒しに行ける雰囲気じゃないよなぁ。

いや? そうでもないか、どうせこの軍隊は前と同じく魔物に負けるんだろうし、その後でゆっくり行けばいいか。

でも、すぐには攻め込まないだろうし、時間は掛かるか。

ここの担当はサジとムツミとイツミだよな、イツミはトオルに付いて行ってるし、聞いてもどうせ「ん」しか言わないからサジとムツミに聞いてみよう。

『念話』でムツミとサジを呼び出した。町の外で合流し、現状を聞いてみた。

2人共、勇者召還についてはあまり詳しくは知らなかったが、ゴーレーン国の冒険者ギルドのギルマスとは面識があるので聞いて来てもらう事にして、私達もゴーレーン国に一緒に行く事にした。

冒険者ギルドには行かないが、ゴーレーン国には行った事が無いので、ムツミとサジに付いて来たら入門の時に捕まった。

こっちでは指名手配されてたようだ。

城に連れて来られて今取り調べを受けている。

いつでも逃げられるし、現状を確認するにもいいかと思って逃げなかっんだが、エルとアメーリアが一緒なのが少し気掛かりだった。

二人とも強いしココアもいるから部屋を男女で分けられても大丈夫だろう。と思う。


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