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第171話 村作り

そうと決まればここですることは何も無い。

この村に来たメンバーのユートピア商団のイロハ、エース、ララ、ロロ、ピア、ユウトの6人とココアとリクとイチジロウを合わせて私も入れて10人でまずはアーリーの所に転移した。


「アーリー、ちょっと相談がある。」

「なんでございますか?」

「この森に弱い獣人たちが暮らせる村を作りたいんだ、どこか良い所は無いか?」

「村ですか・・・。何人ぐらい居るのでしょうか。」

「今は100人程度だが、もしかしたらもっと増えるかもしれない。」

「そうですねぇ、場所としてはございますが、村を作るとは何をすればいいのですか?」

「そうか、人間の家を見た事が無いよな、お前達は巣だもんな。わかった、まずは魔物が入れないような囲いを作ってくれ。そこに見本となる家を創るからそれを真似て家を作って欲しい。」

「わかりました。」

「その場所とはどこなんだ?」

「いくつか候補はございますが、何か条件はありますか?」

「そうだなぁ、人が住むためには水が必要だな。でも水害があっても困る。食料はなんとかなるから大きな畑を作る必要も無いか。そう考えると水場が近くにある高台ってあるか?」

「そういう場所なら1つございます。ここから30分ほど行った所にコーネライ湖へ流れ込む川が通っている高台があります。そこで如何でしょうか。」

「それはいいかもな。そこに連れて行ってくれるか。」

「かしこまりました。」


アーリーの案内で村建設予定地に来た。少し上下の段差はあるが、水場も近いし木も多いから土砂崩れの恐れも少ないだろう。いいんじゃないか?

「ここでいいな。ここを魔物が入って来れないように塀で囲えるか?」

「容易い事でございます。」

「じゃあ、まず見本の家を建てるから参考にしてくれ。」

私達が使っている屋敷と同じぐらいの屋敷を平屋でデザインも少し変えて1軒創った。

一緒に来ている連中は待ってるのも退屈なんで、塀を作る作業に入った。

屋敷は1時間ほどでできたが、中の調度品についてはピアとユウトに買いに行かせた。

もう転移の為の短刀も収納のネックレスも渡してあるから問題無い。村の為にと取っておいたお金を使えるとあって2人は張り切って買い物に出掛けた。


「タロウ様、これは素晴らしい家を創られましたが、私達にはできそうもありません。複雑すぎます。」

「そうか。」

アーリー達には難しいか。私が創ってもいいんだけど、100人程と言ってたし、家族で住んでる者もいるとしても50軒以上創らないといけないんだろ? それも早急に。

ちょっと厳しいな。マンションみたいに共同住宅にするか? いや、アーリー達が作れるものならいいのか。

「じゃあ、この下の少し開けた所にもう1軒創るから、それならどうだろう。一緒に来てくれ、イチジロウも来てくれ。」

イチジロウは魔法が使えないから皆と塀を作る作業には参加せず、ずっと私の横にいた。

「わかったよい。」


さっき創った屋敷から大分離れたが、ダンジョン用に創るつもりだから丁度いい。

簡易家と同様の四角い家を創った。但し、魔物の出口の為に入り口を大きくしないといけないので、高さ5メートル幅20メートル奥行10メートルの四角い家を創り、入り口には扉を付けずに高さも幅も3メートルの大きな入り口を3つ創った。

「アーリー、こういう家ならどうだ? 形はこういう感じでもっと小さくていい。ただ生活をするので、キッチンやトイレや風呂はさっきの屋敷の物を真似て欲しい。多分ピアとユウトがキッチンと風呂は買って来るだろうから、間仕切りだけでいいと思うが。」

「これなら大丈夫です。小さくてと言いますとどれぐらいですか?」

「そうだなぁ、高さは3メートル、幅10メートル奥行10メートルでいいと思うんだが、場所も広いしもう少し大きくてもいいかな。入り口は高さが2メートルで幅は1メートル弱ぐらいでいいだろう。ドアは付けてやってくれ、あと窓もな。さっき創った屋敷も参考にするといい。」

「分かりました。それでは早速作って行きましょう。」

アーリーは土魔法で土を盛り上げ、外形を作っていく。それを呼び寄せた部下のアーミーアントが中を掘って行く。崩れないのか? と心配していたが、崩れないみたいだ。巣も崩れないみたいだし何か蟻の特性であるんだろう。後で手直し程度には手を加える事も出来るし、補強もできるだろう。今は数を多く作ってくれる方がありがたい。


家の事はアーリー達に任せて、私とイチジロウは今建てた四角い家に入った。

「イチジロウ、この家をダンジョンに出来るか? ダンジョン核はこれだ。」

村の中に創るダンジョンだし、弱い魔物から創り出した感じる力が弱めのダンジョン核を出した。

「うっほほーい! もちろんできるよい!」

「じゃあ条件を言うぞ。創るフロアは2階層だ。魔物は1階層目にしてダンジョン核を2階層目にする。ダンジョンマスターはよく魔物を生み出してくれる奴が好ましい。フロアは1階層だが、このフロアを3つに分けて欲しい。だから入り口を3つ用意したんだ。このダンジョンで出る魔物を3つの部屋で分けて欲しいんだ。」

イチジロウは黙って聞いている、イメージしているようだ。

「出る魔物はジャイアントブル、オーク、ロックバードにしてほしい。できるか?」

「できるよい。でも、1階層目にそんな魔物を出して入り口をそれぞれに創ると魔物が溢れて逃げてしまうよい。」

「それでいいんだ。逃げ出した魔物はダンジョンに吸収されないだろ? それを狩って村の物にするんだ。」

「ふむふむ、なるほどだよい。・・・キラーンだよい。」

いや、今口で言ったよな。目が光る音を口で言ったよな。

「それならダンジョン核が3つ必要・・・」

「却下!」

バレバレ過ぎるぞ。なんでCやDクラスの魔物を3フロア出すだけで3つもダンジョン核が必要なんだ。

なんで唖然としてるんだ、なんでバレたんだー的な。そんなバレバレな事に気づかない訳無いだろ。

「ダンジョン核は1つだ!」

「仕方が無い、わかったよい。」

「あと少し相談があるんだが、まずはダンジョンを創ってもらおうか。」

「わかったよい。」

イチジロウがダンジョン核に手を翳し集中する。周囲の景色が一変する。

広いフロアに3つあった扉も無くなり周りは壁で囲まれた10畳程度の部屋になり、下への階段が3つできた。

「できたよい。」

いつもながら早いねー。本当ダンジョンに関しては天才だよ。

「この3つの階段がそれぞれの部屋に繋がってるよい。」

「じゃあ、どの階段でも1階層目に行けるわけだ。じゃあ降りようか。」

1階層目に降りたが、まだ魔物は出て無かった。そのまま外に出てイチジロウに尋ねた。

「外に逃げた魔物を簡単に捕まえられる方法ってないかな。」

「そんな事ボクにはできないよい。ダンジョンの外のことは知らないよい。」

そうだよなぁ、何かいい案は無いかなぁ。網で捕えて一網打尽ってのが理想だな。

蜘蛛の魔物なんか良さそうだけど、村を襲ったりされてもなぁ。召喚して従者すれば心配は無いと思うんだけど、見た目も蜘蛛はどうもなぁ。


何がいいか考えながらアーミーアント達が作っている家の方に行ってみる。

家はドンドン出来上がっていて、何軒かはもう完成している。仕事が早いな。

出来上がった家を確認すると、形は少し(いびつ)であったがしっかりとしていて少々では崩れそうにない。土魔法で下から作っているから基礎も必要ない頑丈な出来栄えになっていた。

形を修正してやろうかと思ったが、同じ形の家が並ぶよりこれの方が味があっていいだろ。中の間仕切りも上手くやっていてくれていて、家族4人でもゆっくり暮らせるぐらいの広さはあった。

あれ? ちょっと多くないか? あ、何軒作るか言って無かったな。100人って言ったから100軒作ってるよな、これって。ま、いいか。多い分には問題無い。


作業も一段落したし、さっき村で出された物は質素な食事だったから、皆も遠慮して食べられなかったみたいなので食事をすることにしよう。

丁度、塀作りを終えて皆が戻って来た。アーリーも部下のアーミーアントに任せてこっちに来た。

家1号を出して、イチジロウに食事を作ってもらった。その間に皆に相談した。

「今、下で『弱い』ダンジョンを創った。魔物の放牧目的だから『放牧ダンジョン』とでも名付けようか。」

ダンジョンだけ言うと食いつき過ぎて面倒くさいから弱いって強目に言った。

「その放牧ダンジョンから魔物が溢れ出るようにしたんだが、その魔物を簡単に捕えたいんだ。ここに住む予定の獣人達は弱いから、たぶん狩れないと思うんだ。何かいい方法はないか?」

「え? 斬ればいいのでは無いですか?」

「そうだね、君なら簡単だよねー。でもここに住む人達はココアの様に強くないんだねー。」

「突くのはダメでしょうか。」

「イロハさん、それはココアと同じ発想だねー。」

「掴む?」

「エースさん、もっと無理ですねー。」

うちには脳筋しかいねーのか。

「投げる?」

「リクくーん、何を投げるのかなー。まさか魔物を投げるとか言わないよねー。」

「罠。」

「おっ! 誰だ今言ったのは。罠、いいじゃないか。」

「ボクだよ。」

「ロロか、それでどんな罠だ?」

「落とし穴!」

「ふーん、落とし穴で魔物って死ぬんだ。」

「だから凄ーく深い穴にするんだよ。」

「それを誰が取りに行くのかなー?」

「落とし穴はいいですね。」

「アーリーか? 何か閃いた?」

「落とし穴にする必要は無いのですが、出て来た魔物が通る道を地中に作ります。スロープでいいと思いますが魔物はその道しか通れないようにして、通路をどんどん狭くしていきます。通路の横にも並行してもう2本両サイドに通路を作り、狭くなって動けなくなった魔物を横から槍など武器で攻撃すればどうでしょう。」

「なるほどな、アーリーならそういう地下通路も作れそうだ。でも、倒した魔物はどうやって回収するんだ?」

「そこなんですが、今思いつく物は【収納】しかありません。」

【収納】か。魔物も大きいし、運ぶのも大変だからな。それしか無いかな。できれば村の者の力で何とかできる様に考えたかったんだけどな。元々ゴーレムの案も考えてたしいいだろ。

「わかった、それで行こう。【収納】のアイテムは村長に渡すようにする。アーリーは魔物を見てどんな大きさの通路がいいか考えて作ってくれ。」

「かしこまりました。」

「もう、少しは魔物も出て来てる頃じゃないかな、エースとイロハで付いて行ってやってくれ。」

「「はい。」」


あとは塀を確認するか。

ココア達が土魔法で作った塀は高さ3メートルで村建設予定地を四角く1周していた。

1辺10キロ。村にしては大きくないか? さっき行った村の何倍あるんだ?

塀は厚みも50センチあり、大型獣が来ても跳ね返せるほど頑丈に作ってあった。

それでも森の中だから木の上からでも入れそうだし、結界は作っておこうか。

高さ20メートルまでの設定で塀の上を塀と同じように村を囲む設定でいいな。

侵入を防ぐのは魔物と人間と獣人にしておくか。

【仙道結界】発動! 塀の上に沿って結界が高く張られていく。

先に転送ポイントと転移の魔法陣を作っておくか。


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