第167話 食堂に来た。
冒険者ギルドにも寄りたかったが、まずはアメーリア屋敷に行ってエルの所に行ってみようか。
今度は騎士団長のベルギール・バンダムに言ってアメーリアの宮殿に送ってもらった。
宮殿に入ると執事が迎えてくれた。
「皆様お揃いで、ようこそいらっしゃいませ。」
「やあ執事さん。アメーリアはいるかい?」
「はい、間もなく来られます。それでエル様は如何なんですか?」
「どうだろう、それを今から見に行って来るんだ。」
「タロウ様、こんにちわ。皆さまもこんにちわ。」
一通り挨拶を終え、アメーリアを連れて浮遊城の城ダンジョンに向かった。
城ダンジョンに入るとイチコが来るより先にエルが出て来た。
「お父様、遅い! 待ちくたびれました。早く行きましょう。」
後ろからイチコも追いついて来る。
「おー、元気そうだな。もう大丈夫なのか?」
「私は別に疲れていません。でも久し振りに世界樹の中で眠ったら気持ちが良かったです。」
「良かったじゃないか、もう少し落ち着いたらもう1本世界樹を創りに行くぞ。」
「はい、今からでもいいですよ。」
「エル様いけません、もう少し時間を置いてからにしてください。」
「イチコ、やっぱりエルは疲れてたのか?」
「はい、今はもう大丈夫ですが、もう2~3日は休ませてください。」
「わかったよ、それなら夜はここに帰って寝るようにして、朝になったらアメーリアの宮殿に行くようにした方がいいんじゃないか?」
「左様でございますね、その方がいいと思います。」
「わかった、じゃあここに魔法陣を作っておくよ。こことアメーリアの宮殿を繋ぐ転送魔法陣を創ればいいんだろ?」
「はい、そうしていただければ安心です。」
「えー、お母様と寝たいのにー。」
「今はそうしておきましょうね、エルちゃん。私は逃げませんから、いつでも一緒に寝れますよ。」
「ふぁーい。」
シルビアの説得に渋々ながらエルも納得したようだ。
「お父様、今日はどこに行くんですか?」
「今日は勉強だろ?」
「そうですね、今日は勉強にしておきましょう。」
「えー、勉強かぁ。仕方ないな。」
エルを連れてアメーリアの宮殿に来て世界樹の城ダンジョンに創った魔法陣と繋がる魔法陣を庭に創った。
アメーリアとエルと別れて、今度は待っていた騎士団長のベルギール・バンダムに頼んで冒険者ギルドに行ってもらった。
冒険者ギルドに入ると受付で来たことを告げ、依頼ボードを確認する。
特にいつもと変わらない様なんだが、何かいつもと違う。何だろうこの違和感は。
少し待ってもお呼びが掛からなかったので、冒険者ギルドを出た。
【念話】でイツミ、ムツミ、サジに連絡を取り、野盗団のアジトをいくつか発見したことを聞いた。トオルはこちらで見つけたから、その件は帰ったら聞くからと捜索終了の指示を出した。
チビにも【念話】で連絡したが、まだゴブリンと戦ってると言っていたので「先に帰るぞ」と言っておいた。トオルはと聞いたらトオルもまだ一緒に戦ってると言われた。
やっぱりおかしい。
米の木に行き、昨日はバタバタして貰えなかった収穫物を貰い、研究所ダンジョンに行ってコーリンベルに飲み物を冷やしてもらいロンレーンの屋敷で番をしてもらってるトウベイ・スズーキに少し飲み物を分けてやりジャンの背中の屋敷に戻った。
結構立ち寄ったが短刀での転移なので移動には時間は掛かって無い。
今日、1番時間が掛かったのが研究所ダンジョンで妖精たちの武器制作時間だった。その間、リクは武器作りを手伝ってくれて、ソラとココアはエルミアの研究を見学に行った。
エルミアとソラは気が合ったようで、それからソラは少しエルミアの所に通うようになったみたいだ。
そろそろ食事だなと思って食堂の建物に行った。
このジャンの背中には4つ建物を建てている。
3つの屋敷はロンレーンの屋敷をコピーしたもので、真ん中には初期からの18人が住んでいる。まだ部屋はあるがまだ屋敷はあるし残りの者は別で住んでいる。左の屋敷は服を着れる者、今はユートピア商団として参加しているララとロロもこっちに引っ越した。右の屋敷はルーキーズを中心に新しい者で服がいらない者が住んでいる。
食事も初めは真ん中の屋敷の食堂でしていたが、手狭になったのでもう1軒食堂用に建ててイチジロウが管理している。ほとんどの者は毎日帰って来て、朝と夜は食べるようにしているが、イチジロウは用事が無く家にいることが多いので昼も全員分の食事を作っている。余ったらジャンが食べている。
イチジロウの料理は調味料もあるし魔物のレベルも高い肉を使っているし料理の熟練度はMAXだし、本当に美味い。最近はいい酒も手に入るようになったし砂糖もあるからデザートも毎日出て来る。料理だけはこの世界の中でもトップクラスの食事を毎日いただいている。
ルーキーズ達の日課は、このイチジロウの作った朝食を食べて、午前中に担当の国の冒険者ギルドを回り、昼も戻って来て昼食を食べてからダンジョンに行く。そして夕食は大体全員揃って食べるようにしている。
食堂に入ると変なのが混ざってる。えーと、なんで?
トオルは何となくわかってた。でもなんでベッキーまでいるの?
「わーはっはっはー、お帰りタロウ様。」
「わーはっはっはー、お帰りなのだ。」
「・・・・。」
「ボクはゴブリン244体倒したぞ。」
「あたいは2311体なのだ。」
チビの圧勝か、実力からいってもそうだな。
「チビ殿もやるな、ボクの次に強いぞ。」
「勇者トオルもやるのだ、あたいの次に強い事を認めてやるのだ。」
「ボクの方が強いぞ。」
「あたいの方が強いのだ。」
あーウザい。
「わかったわかった。で、どうなんだ? トオルは。帰れそうか?」
「「あ!」」
いやいや、あ! じゃないし。お前達、主旨変わってただろ。
「賑やかなのはもうお終わり~? お邪魔してるわよー。」
「なんで、お前までいるんだ?」
「それは私から説明します。」
そう言ってハルが前に出た。
「タロウさん。私、この世界に残る事に決めました。」
「そうか、お前が自分で決めたんならそれでいいぞ。」
「それで、私ベッキーの所で修行することに決めました。」
「へ? なんの修行?」
「わかりません。やりたい事が見つかるまでベッキーの所でお手伝いをしながら、やりたい事を探そうかと思っています。」
「そういうのもいいんじゃないか? ここに居るよりベッキーの所は町の中だから人も多いだろうし、何か見つかるかもな。元の世界に帰るより、それがハルのやりたい事でいいんだな?」
「はい!」
「じゃあ、よし。ベッキーも悪いが手助けしてやってほしい。」
私は頭を下げた。
「そんなのあなたが頭を下げること無いわよ。私も元勇者、ハルの仲間だもの。」
「いつから行くんだ? その挨拶の為に来てくれたのか?」
「それで私からお願いがあるのよー。その前に今日の砂糖と味噌と醤油、ありがとね。あんなのがこの世界にあるとは思わなかったわよー。ホントびっくりしたわ。」
「たまたま手に入ったもんでね。それでお願いってなんだ?」
「あたしもここで鍛えて欲しいのよー、なんならあんたの奴隷になってもいいわよ。」
「断る! 断固断る! それに奴隷ってなんだ、うちに奴隷何て1人もいないぞ。」
「なによ、つれないわねー。あたしはいつでも恋のど・れ・い。」バチン
ぞぞぞー。マジ勘弁だ。
「・・・・帰れ。」
「いやよー。あたしもここで鍛えるのー。だってこの子達ってもの凄っごく強くなってるじゃなーい? あたしも負けてられないじゃないのよー。」
「タロウさん、その、ベッキーに交換条件を出されまして。私の面倒を見てくれるから、ベッキーもタロウさんの所で鍛えて欲しいって。」
「・・・・わかった。」
「いいのー?」
「良くない。分かったのは方法だ。ハルの面倒を見なくていいならベッキーをここに置く必要は無い訳だ。ハルの家は買ってやる、城や冒険者ギルドをハルの後ろ盾にしてやる。それなら問題無いだろ。」
「そんなの無しよー。そんなのって横暴だわぁ。ありえなーい。」
「わーはっはっはー、ボクは帰れないみたいだ。」
「わーはっはっはー、そうらしいのだ。」
「ん。」
え? 増えた? イツミ? お前、変身でこいつらと同じ装備にしたの?
「・・・・。」
あっ、他も変身しようとしてる。え? ソラも?
「チョーっと待てー!」
「うちもー、なのだー。」
「待てって言ってるだろー! 全員1回座れー!」
「なのだー。」「わーはっはっはー」「なのだなのだ」「なのなの」「だー」・・・
ルーキーズは全員メタル装備になってるし、ノアとベッキーの所には酒樽が出てるし。
グダグダだー。




