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第150話 【番外編】 ルーキーズ編①

149話と150話の内容を入れ替えました。

ルーキーズに昨夜、新しい仕事を言い渡した。


「今行っている国の事は朝に冒険者ギルドに顔を出して、何も無かったらそのままアーバンライド共和国に行ってみよう。2人組で行くわけだが、全員集まるとサジも入れて9人になるだろ? でも知らない冒険者同士を装うことにしようか。」


アーバンライド共和国の状況調査をルーキーズに頼んだ。

内乱が起きそうだという噂もあったので後回しにしていたが、全員Sカードにもなったので行かせてみることにした。


―シロウ・ナナ組編―


「シロウ、さっさと行くよ。早くしないとダンジョンに行けなくなっちゃうよー。」

「そんなに慌てなくても、まずはアクアリア国の冒険者ギルドを覗いてからだってタロウ様も言ってただろ。どうせ冒険者ギルドでいつもギルマスのベンゼンさんに呼ばれるんだから。」

「今日は無視して行っちゃおう。あんな爺さんの話しなんて聞いてられないーって。」

「そんなぁ、ダメだよー。」

「いいからいいから、さっさと行くよー。」


シロウとナナはアクアリア国の首都アクアリアの冒険者ギルド担当で、ギルマスのベンゼンに気に入られて毎日住む家の物件を持って来られて困っていた。

2人は言い付けを守って町の外へ転移してきて門から入る。そして門から出てアジトの屋敷に戻って来る。首都アクアリアで泊まったことは一度も無い。毎日この繰り返し。

しかも依頼は難易度がどれだけ高くてもその日のうちに終わらせる。

2人は若いしギルマスとしてはどうあっても子飼いの冒険者にしたくて色んな策を巡らせて来る。


豪華な食事、高価な武器・防具、初めだけ効果があったダンジョン優先権、そして今は豪邸で2人を釣ろうとしている。


どれも私達の持っている物よりランクが落ちる。

そりゃメタル系の武器より強い武器って無いし防具はいらないしダンジョンは弱いし。

食事もイチジロウの作る料理は素晴らしいし、なにより帰れば仲間がいる。

豪邸を貰うと転送ポイントを町の中に作れるのは魅力なので、少し考えたのが失敗だった。毎日違う物件を見せれては連れて行かれて屋敷を見せられる。

もううんざりしていたのだ。


2人は冒険者ギルドに着くと依頼ボードを確認し、近寄って来るギルマスの手に家の物件の紙を確認すると「特別な依頼は無さそうだねー」と言って冒険者ギルドから逃げて来た。

ルーキーズの現状は皆同じようで、どこのギルマスも懐柔策に走っているようだ。


2人は首都アクアリアから出るとすぐにアーバンライド共和国に転移して来た。

門の方へ行くとキュータ・パーチ組が見えた。

「遅かったみたい、キュータとパーチが先に来てるよ。別の門に行くよ。」

「本当だ。あ、待ってよ、早いよー。」


このアーバンライド共和国には北門の他に南西にある西門、南東にある東門の3つの門があり、それぞれ別の領主が管理していた。


北門は内政を充実させる政策を第一とするザルバドル。独自路線派で、他の国とは交流をあまり持たずにやろうとしている貴族だ。


東門を管理しているハーベンダルは、マーメライメント王国と交流が深く、まだこの共和国に無い冒険者ギルドなど、ギルドをたくさん作り発展をして行こうとするマーメライメント王国派。


西門を管理しているレーベリックは、バンブレアム帝国派で貿易など対外的な外交で発展を推し進める貴族だ。


それぞれが一長一短あり、戦力も3貴族とも10000の兵を持っており住民たちもそれぞれの住居区画の貴族に信頼を寄せており、代表が決まらない状況だった。

それぞれが業を煮やし実力で決着を付けるんではないかという噂まで出て来た。

そういった状況の中にルーキーズがやって来たのだ。


北門を諦めたシロウ・ナナ組は西門を目指した。

間もなく西門に到着するという所で魔物と戦っている馬車を発見した。


魔物に苦戦している馬車を見つけたナナがすぐに反応して魔物に向かって走り出す。

「あ、ナナ! そういう時は声を掛けてよっていつも言ってるだろ。」

遅れてシロウも馬車に向かう。


馬車はパイアという猪に似た魔物の10頭の群れに襲われていた。Cランクの魔物だった。

ナナは伸びる槍で到着までに2頭を倒すと先に馬車の者と戦っていたパイアを倒し、残りは剣に持ち替えて一撃で倒していく。シロウも少し遅れたが3頭倒した。


戦っていたものは3名で、全員深手を負っていた。それでも必死に馬車を守っていたようだ。

シロウとナナは私が渡したHP全回復薬を3人に飲ませた。


「大丈夫か?」

3人は返事もせず馬車に駆け寄って中を確認する。


「なんか私達に用は無いみたい。行こうかシロウ。」

「う、うん。」

「魔物は回収しておかないとさ、タロウ様に怒られるね。」

「そうだね、魔物の死骸は他の魔物を呼び寄せることになるからね、キチンと回収しておかないとね。」


2人はさっさと倒したパイアを回収し、門へ向かおうとした。

「待ってくれ、お礼も言わずにすまなかった。助かった、ありがとう。」

「遅れてでもお礼ぐらいは言えるんだ。じゃあね。」


そのまま行こうとした2人に別の声が掛かる。

「お待ちください! お助け下さいましてありがとうございました。お礼が遅れた事もお詫びいたします。申し訳ありませんでした。」

14~5歳の少女が大きな声で2人を呼び止めた。


「別にいいよ、私は先を急いでるんだ。」

「ナナ、そこは私達って言おうよ。僕も少しは頑張ったんだから。」

「ナナ様と言うのですね、もしアーバンライド共和国に向かうのでしたらお礼もしたいので我が家にお越しくださいませんか? 申し遅れましたが、私はマリア・ハーベンダルと申します。」

「ナナ様って様はいらないよー。」

「ナナ様? プッ、ナナ様だってー。」

「うるさいーシロウは。マリアのせいだからね。」

「も、申し訳ありません、でも是非とも我が家に寄って頂けませんか?」

「どうする? シロウ。」

「僕は寄ってもいいよ、ナナ様。」

「うるさいー。」

「でも、門ももう少し先だし護衛してあげようよ。」

「わかった、それでいいよ。」



シロウとナナはマリアの家に行く事になった。

門で冒険者ギルドカードを提示して入った。

「君たちはCランクの冒険者だったんだな。まだ17~8ぐらいにしか見えないが強いんだな。どこで剣を習ったんだ?槍も使えるようだったし。」

護衛の隊長が聞いて来た。


「タロウ様の所の仲間に教わったんだ。みんな強いんだよ。」

「タロウ様? 聞いたことは無いが、さぞかし強いんだろうな。」

「うん! タロウ様は強いよー、この前も冥王を泣かせてたもん。」

「メイオウ? そんな魔物いたかな?」

「ナナ!」

「おっとー、そうだったね。タロウ様は目立ちたく無いんだった。」


マリアの屋敷は西門から近く、そんな話をしていたら到着した。

マリアの父、カール・ハーベンダルは西門地域を管理する領主だった。

いつもは城にいるのだが今は屋敷にいてマリアと隊長から事情を聞いてお礼にやって来た。


「まずはお礼を言わせてほしい、娘のマリアを助けてくれた事、感謝する。私はこの南西地区の領主カール・ハーベンダルだ。今日は君たちを持て成したい。ゆっくりして行ってほしい。」

「ゆっくりって言っても私も用事があるんだよ。」

「どんな用事だ? こちらでできる用なら手配させてもらうが。」

「どんな用? シロウ、どんな用だ?」

「別に決まって無いけど、3人の領主様がどんな人なのかを見るぐらいじゃないかなぁ。」

「それは私のことかな? 私の何を見るのかな?」

「あ、そうだった。隠れて見たかったんだけどな。」

「君たちは隠し事が下手なようだな。構わんよ、我が屋敷のどこを見て貰っても構わないからゆっくり見定めて行くといい。」

「それはシロウが下手なだけだよ。おじさんはいい人そうだからもういいよ。私達もう行くね。」

「あ、ナナまた先に行くー。待ってよー。あ、戻って来た、どうしたの?」

「おじさん、なんでマリアはあんなところで魔物に襲われてたの?」

「昨日、マリアにはマーメライメント王国へのお使いを頼んでいたんだよ、昨日はマーメライメント王国で一泊して、今日の朝早くからこちらに帰って来る途中だったんだ。いつもはあんな魔物なんかいないはずなんだ、もしわかっていればもっと護衛を増やすか代わりの者を行かせたよ。」

「ふーん、わかった。じゃあねー。」

「お邪魔しました。」


2人はハーベンダルの屋敷を後にして、今度は北の領主の城に向かった。


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