第15話 町へ向かうぞ
今日の料理登板はココアだったな。オーク肉の塩焼きか。
「まずは食べようか。」
「いただきまーす。」
「いただきます。」
おっ!結構いけるね、オーク肉。豚串の塩みたいだ。
「うまいうまい!いけるなぁ」
「おいし~!」
「本当においしいですね。」
腹が減ってたこともあり、3人で相当食べた。
私も若返って、脂っこいものでもたくさん食べれるようになっていた。
「あー食べた食べた。さぁて、これからどうするかだな。明日は町を目指すとして、今日はこのまま寝るとこを探すか。」
「ご主人様~、うちはもう動きたくなーい。もうここで寝ましょうよー。」
「ここは見晴らしが良すぎないか?魔物が来るかもしれないぞ?」
「大丈夫だよ、結界張るから~」
そう言って、ソラは箸を2本地面に突き立てる。あ、式具だったね。
途端に周りが薄い黄色の膜が張られたようになる。自分の部屋から出た時みたいな景色になる。
「そんなこともできるようになったんだ。」
「前からできたよー、別に必要なかったし。式具があればできるんだよー」
そうなんだ、レベルアップでできるようになったわけでは無いんだね。
あれ?ソラの尻尾が無くなってる。それなりにレベルアップはしてるんだ。
「ソラ、尻尾は?」
「ん?今は5本になったよー。」
「見えないんだが・・・・」
「本当だ、ソラさん尻尾が隠せるようになったんですね。」
「前から隠せてたよー」
いやいやいやいや、隠せてるつもりってやつですから。
ソラもココアも眠そうだし、今日はこのまま寝ようか。
可愛い子供たちだよ、お前たちは。私にだって元嫁に連れていかれた子供がいたんだ。
ちょうどこの子たちぐらいだが、女の子には恵まれなかったな。
もう何年会ってないな、もう会えないのかもな。
3人とも朝までぐっすりだった。
朝、起きると周りを確認する。薄く黄色い膜は昨日通り変化はない。
結界も無事みたいだ。2人ともまだ寝ているようだった。
小声で「サーチ」をして周辺確認もしてみる。
魔物を示す赤い点がかなり減っている。しかも赤い点はすべて非常に遠い。
消えかけていた火をおこし、朝食の下拵えを始める。
ココアが起きてきたので、水魔法で二つの鍋に水を入れてもらう。
一つは米、一つは味噌汁だ。
【東の国】の村では店がないところもあったので、村の人に森兎鬼があるので物々交換を申し入れると仕入れたというか無理やり持たされた。
森兎鬼の肉は欲しがるので、こちらの欲しかった調味料や道具の交換をお願いするのだが、持って無いようで米や味噌との交換を希望された。
もちろん1軒の家では森兎鬼1匹に対する価値があるものはないので、10軒以上の家が持ち寄ったものと交換になる。
そのほとんどが米を持ってくるのだ、たまに味噌。稀に鍋や茶わんやお椀や箸などの道具。それを行く先々の村でやったものだから、大量の米と味噌を持っている。
変わったところでは、醤油樽を持ってきた人がいて、これ1つで森兎鬼1匹でも足らないぐらい価値があると言っていたので、森兎鬼2匹と交換したら「いや、それじゃあ多いから」ともう一樽持ってきたので、森兎鬼をもう1匹出した。喜んでくれたようだ。
そういえば、鰹節の人もいたなぁ。お酒とか。食品関係が9割以上だったね。
こっちは道中に出てきたものを簡単に取って来ただけなので別に惜しくもない。
朝食が出来上がるころ、ソラも起きてきた。ゆっくり眠れたようだ。
「おはよー」
「あぁ、おはよう」
「おはようございます」
朝食を食べながら、これからの予定について考える。
「まずは町を探そう。おそらく、魔物の少ない方にあると思うんだが、全体的に昨日に比べて魔物が少なすぎて、判断が難しいんだ。」
「それー、結界のせいじゃないのー?」
と言って、ソラが地面から式具を抜く。結界が無くなり薄黄色い膜が無くなっていく。
「お?そうなのか?」サーチしてみる。
赤い点が昨日と同じぐらい現れる。結界を破れるぐらい強い魔物だけが表示されていたようだった。魔物の数がどんどん減っていく方角がある。
まずはそっちに向かって行くか。この距離だと2時間以内には着くだろう。
「ソラ、正解だ。結界が邪魔してたようだ。町の方向はだいたいわかったので、そっちへ向かうぞ。」
「はーい」
「かしこまりました。では、片付けますね。」




