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第149話 海底神殿

149話と150話の内容を入れ替えました。

私とデルタが転送されると目の前に女性がいた。こちらもやはり舞台の上だった。

「あれ? 海の神子?」

「はぁはぁ、あ、貴方がタロウ様ですね。い、妹から話は聞いております。はぁはぁ、わ、私は神殿の神子です。はぁはぁ」


凄く衰弱した感じの海の神子そっくりな神殿の神子がいた。

周りを見渡しても、他に誰もいなかった。なにか寂れた感じがする空間だった。


「大丈夫か? 何があったか確認に来たんだが、その様子だと何かあったんだな?」

「は、はい。あったと言えばあったのですが・・・。」

「とりあえずこれを飲め。」

HP全回復薬を飲ませた。

ギュルギュル~。大きな音が神殿に響いた。


何の音だ? HP全回復薬を飲ませた者からそんな音が出た事は無いぞ?

「今のはなんだ? 何の音だ?」


神殿の神子は顔を真っ赤にして俯いている。

「そ、そのー、おなかの音です。」


小さな声だったがハッキリと聞こえた。おなかの音?

「腹が減ってんのか!?」

「は、はい。」

「食べる物は無いのか?」

「は、はい。もう何もありません。食べる物が無くなって200年、他の者も衰弱しきっております。」


200年って、空腹でそんなに生きれるもんなの?

「辛そうだな、先にこれでも食べてろ。

世界樹の実を1つ渡してやった。

「ありがとうございます。」

神殿の神子はすぐに世界樹の実を食べ始めた。


「200年もって・・・。先に飯を作ってやろうか。幸い米はたくさんある、粥の方がいいだろう。デルタ、手伝ってくれるか。」

「はい、どこで作りましょうかの。」

「神子さん、他の奴らはどこにいるんだ?」

「隣の広間に全員います。1000名が眠って体力温存をしております。」


冬眠と同じように眠って体力温存か。それでも200年は凄いな。

しかも1000名か、食料はあるが回復薬は微妙だな。


「わかった、1000人分の食料を作ってやる。ただ、さっきの薬は足らないかもしれん。回復魔法でも1000人となるとちょっとキツイな。」

「タロウ様、それはこのデルタにお任せください。」

「デルタなら何かできるのか?」

「はい、私の魔力を溜めた小判で回復魔法を使えば1000人ぐらいは大丈夫でしょう。」

「おー! それはいい考えだ。じゃあ、先に粥を作ろうか。神殿の神子よ、厨房はどっちだ?」

「こちらでございます。」


200年も何も食ってないのなら三分粥ぐらいにしないとダメかな、魔物だから五分粥ぐらいで大丈夫だろ。

厨房には鍋など調理道具や食器はたくさんあったので、一気に大鍋で20個分作ってやった。1つの大鍋でも粥なら100杯は優に取れる。

塩味を薄めに付けてやり卵も入れてやった。

横で神殿の神子の腹の虫が喧しいので先に食わせてやった。


粥の準備ができたので、デルタに回復魔法を使ってもらう。

目覚めた順に神殿の神子に粥を配ってもらった。

私達は初見だから警戒されない者が配る方がいいだろう。

回復は魔法でしているから、腹を満たせた者から配膳係りも増えて行く。


神殿の神子の手が空いたので事情を聞いてみた。


「これはどういう事だったんだ?」

「はい、海の神子と連絡が取れなくなって外部との行き来ができなくなりました。この近辺でも食料となる魔物などは獲れるのですが、この周辺の魔物のレベルは高く、食料調達を担当してくれていた警備部隊の者達が魔物にやられ重傷を負ってからは食料調達ができなくなりました。外にも出られず食料も底を付き、それでも勇敢な者が魔物に立ち向かって行ったのですが、やはり結果は魔物に勝てずこの海底神殿に閉じ込められる結果になってしまったのです。」


「理由はわかった。入り口の島が封印されてたから出られなくなったんだな。しかしここはどこなんだ? 一体なんのための神殿なんだ?」

「ここは海の治安を管理するための神殿です。ここで各海域の事を知る事が出来ます。」

「知るだけ?」

「はい、知るだけです。但し、知った事を海王や各海域の主に伝えて対処してもらってます。」

「そんな事ができるんだな、じゃあ偉いんだな。」

「偉くはありませんが、この空間に転送させることが出来る者が私達双子の姉妹しかいないのです。管理はここでしかできませんから。」

「それでここに閉じ込められて食料が無くなったんだな。でもさっきはあるって言わなかったか?」

「はい、この神殿の外にも魔物はおりますが、強いのです。神殿の警備部隊の精鋭達でも敵わないぐらい強かったのです。」

「そいつらは死んだのか?」

「いえ、重傷を負ったので回復魔法は施しましたが、手や足が無くなるほどの重症だったので、もう戦うことはできません。」

「ちょっとそいつらの話が聞きたい、会わせてもらってもいいか?」

「ええ、あちらの片隅の一団が元警備部隊の者達です。」


そちらに目をやると、確かに片手や片足が無い者ばかりであった。

その一団に近づき聞いてみた。


「お前達が元警備部隊の者達か?」

「そうです。」

隣に神殿の神子がいることも確認できたし、粥を提供してくれた者だとわかったので丁寧に答えてくれた。


「お前達が負けた魔物ってそんなに強いのか?」

「はい、強かったです。我々の攻撃は何一つ利いてませんでした。それなのに奴の一撃で全員がこの様です。死んだ者がいなかったのが不思議なくらいです。」

「なんていう魔物なんだ?」

「シーサーペントです。大蛇の様な龍です。それが何体も居て、その背後にはクラーケンがいるのを警備部隊の1人が確認しました。」


「デルタ、そいつらは強いのか?」

「確かに強いですが、進化前の私と同じぐらいですの。今な楽勝ですかな。」

「神殿の神子さん、そいつらは命令は聞いてくれないのか。」

「以前は聞いていた時期もあったのですが、この空間は完全封鎖ですのでこの一帯のボスにクラーケンがなってからは命令に背く様になりました。」

「この空間の広さってどのぐらいあるの?」

「そうですねぇ、貴方達の分かり易いように言いますと、西の大陸の半分ぐらいでしょうか。」


デカいじゃん! それだけ大きくて封鎖空間って呼べるのか?

こっちとは繋がってないんだから封鎖空間とは言えなくはないか。


「この場所でしか神殿を建てられない理由ってあるの?」

「はい、この場所には異空間の入り口がありまして、その力を利用することによって世界中の海域の情報を得ることができるのです。それをこちらの監視者が行なっていたのですが、一番初めに眠りにつきました。」


監視者と呼ばれた者は、130センチぐらいの女の子だったが、やはり変身だった。アノマロカリスという太古からの魔物だそうだ。


異世界の入り口? 私の元の世界へも行けるんだろうか? でも、この子が管理もしてるってちょっと不安だなぁ。


「異世界の入り口ってどの異世界に繋がってるんだ?」

監視者に聞いてみた。

「そんなもんわからんわい、誰も行った者がおらぬのでな。」


その見た目でその話し方? 隣にいるデルタより酷いぞ。どこのばーさんだよ。


「行きたければ行ってもいいのか?」

「それは長老と神子様方が決める事、わしの決める事では無い。」

わしって見た目女の子だから辞めてくれないかな。ギャップがひどすぎる。


最近では【冥界(めいかい)転送門(ゲート)】、今日は【海底空間転送魔法】も覚えられたんだから異世界への移動も覚えられそうな気がするんだよな。

博打ではあるんだ。できなかったことを考えるとどんなデメリットが待っているかと思って踏ん切りがつかないんだよな。

一応許可だけでも貰えないかな?


「神殿の神子さん、どうだろう。行くか行かないかは別にして、行ってもいい許可は貰えないか? その為に、そうだなぁ、その強力な魔物達を排除してやるよ。」

「ええ! 排除してくださるのですか? それなら長老達も許可をくれるかもしれません。本当にできるのですか?」

「大丈夫だと思う、その前にこっちの人達を治してやろう。強力な魔物がいなくなっても警備部隊は必要だろう。」


HP全回復薬を警備部隊の者達に飲ませてやった。

飲んだ者達の欠損していた手や足が生えて来た。


「こっちはこれでいいな、デルタ行こうか。」

「はい、では行きますかな。」


無くした手や足が生えて来て、驚きと嬉しさで興奮状態の者達を置いて、デルタと神殿を出てクラーケンのいる海域に向かった。


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