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第142話 執事の喜び

私達3人はアメーリアの宮殿に転移して来た。

アメーリアもレベル上げに参加したいと言ったので執事には説明しないといけないないだろう。


「お帰りなさいませアメーリア様、タロウ様。」

「さっきは急にアメーリアを連れ出して悪かったね。」

「いいえ、問題ございません。それでそちらのお子様はどなたのお子様ですか? 凄く高い品格を感じますが。もし宜しければご紹介頂けますでしょうか。」

「やっぱりわかるか、執事さんも流石だな。この子は世界樹の神子なんだ。」

「せ、せ、世界樹の神子ですか? 確かにこのお子様からは聖なる気を多く感じます。せ、世界樹の神子様とは・・・。お嬢様も格が上がられた気配が致しますし・・・。」


どういう事か信じられないが聖なる気を感じられることもあり、本当なのか嘘なのか驚きと疑いで私とアメーリアとエルを順番に何度も見回している。


アメーリアが私を見てウフフと笑いった後、執事に説明した。

「じい、私ね、この子のママになったの。」

いきなりですか? もう少し順序立てて言ってあげれば? 私もあまり変わらないかもしれませんがね。


「せ、世界樹の神子様のママ? でございますか!? と、という事は、せ、せ、聖・・母・・さ・・・ま・・・。」


パタン。

ダウーン! 普段は冷静沈着な執事も耐えきれなかったようです。

世界樹の神子までは耐えられたのにね。でも、執事も聖母って言ってたよな。さっきイチコも言ってたようだし。


「アメーリアって聖母になったの?」

「はい、そのようです。エルちゃんのママですから。」


そうなんだ、私は・・・・うん、変わって無いね、東の国の冒険者だ。

それもどうなんだろうね。


まずは、今日からの予定も話さないといけないので、執事をソファーに寝かせ状態全快薬を口に含ませる。


「執事さん、気が付いたか?」

「これはタロウ様、私は夢を見ていたようです。」

気絶から回復するとこんな感じなんだろうな、私も経験があるよ。高校柔道で締め落とされた後はこんな感じだったな。

授業の柔道で教師が締め落とすって今なら大問題なんだろうな。古き良き時代です。


「どんな夢だ?」

「お嬢様が聖母様になられたのです。私はもう嬉しくて嬉しくて。夢なら覚めないでほしいというところで目覚めました。」

そう語る執事は涙を流していた。本当に嬉しかったんだな。


その涙を見てアメーリアも涙を流して執事に近づく。

執事の手を持ち

「じい、ありがとう。一緒に喜んでくれるのね。聖母になったのは本当よ、さっきエルのママになって聖母になったの。」

ぐぐぐぐ。執事は大声で泣き叫びたいのを押さえ咽び泣く。

感動だ、私も少しホロっときたよ。


「ねぇお父様? いつまでここにいるの?」

私達の感動なんて何の事か分からないエルが聞いて来る。


「そうだな、先にこれからの事を執事さんに説明しないとな。」

「おお! やはり世界樹の神子様で間違いございませんでしたか。お顔をよーく拝見させてください。」

「執事さん、そんなに慌てなくてもこの子はこれからずっとここに居るんだ。先に話しをさせてくれないか?」

「そうなのですか! ずっとこの宮殿に。ありがとうございます。」


まだ興奮している執事のために、飲み物を飲んで小休止を挟むことにした。

執事が落ち着いた様なので話を始める。


「この子はエルだ、世界樹の神子なんだ。アメーリアもクラスアップして聖母になった。ここまではいいよな?」

「エル様ですね。アメーリア様も・・・。はい、結構です。」

また涙ぐんでいる。


「まずはこの事はしばらく内緒にしてほしい。もちろん王にもだ。」

「わかりました。」

「昼は私が連れて行くが、夜はこの宮殿でアメーリアと寝かせてやってほしい。」

「わかりました。」


「わたしここで寝るのー?」

「そうね、お母様と寝ましょうね。」

「やったー!」


「準備も色々あるだろうが、それは夜に私達がするから部屋だけ準備しておいてくれるか?」

「わかりました。」

「アメーリアも私達と一緒に来たい時があるだろうから、その時は許してやってくれ。」

「わかりました。」

「後の事は夜に戻って来るから、その時に話そうか。」

「わかりました。」

「今日から夕食は用意してやってくれ。」

「わかりました。」


執事にも説明が終わったし、3人で湖底ダンジョンに転移した。

エルのレベルを今日のうちに上げれるだけレベルを上げてやろう。


湖底ダンジョンの1階層目に着いたら、ちょうど1周目が終わって2週目に入ろうとしていた仲間がいた。こっちは10人で残りはアイスダンジョンが改造されたのでそっちに行ってる。

私達もパーティに入れてもらいダンジョンに入った。と言っても私達は何もすることが無い。戦闘は仲間がやってくれる。こっちに来ているのは白装備の勇者の3人とノア、ミルキー、ショーン、アゲハ、カイン、ジョーカー、クィンだった。ルーキーズは全員アイスダンジョンらしい。


やはり全員では戦わない。やっぱり戦うのは1人。だが、戦う者は皆から指輪を集めている。何かなーと思って見ていたら分身の指輪だった。

5~8体の分身体を出して戦っている。前回私が分身の指輪で戦ったのを見たのはイチジロウだけだ。ホント口が軽いよね、ダンジョン核の秘密は絶対に言えないな。


分身の指輪は、今ダンバカ達の間でブームだそうだ。


フロアマスター・ダンジョンマスターには分身の指輪は使わず1人で挑んでいた。


念のためアメーリアは杖が使えると言ったので世界樹の杖を渡したら結界を張ってくれていた。世界樹の杖を使うことでいつもの10倍は強い結界が張れていると喜んでいた。

1周目が終わる頃にはエルのレベルも30を超えていた。


エルはやはり「お腹がすいたー」の連発だったので、ずっと世界樹の実を食べさせていた。「もっと他のも食べたーい」って言ってたが、これも訓練です。と言って世界樹の実だけを食べさせた。

レベルアップ前に世界樹の実を与えるのが効果的って言われたけど、ずっとレベルが上がってるし、いつ上がるかもわからないし、世界樹の実以外食べさせなかった。

「夜帰ったらお母様の所にご馳走があるから我慢して食べなさい」って納得させたよ。

世界樹の金色の実もレベル10までに5個食べさせ、あとはレベル10毎に1個ずつ食べさせた。


その甲斐あって聖なるオーラが格段と磨きがかかった。

【精気】も【精王気】に進化してたし【精霊召喚】も【精霊王召喚】に進化した。

【精霊王召喚】って誰を呼ぶ気なんだ? 【精霊門】も【聖界門】ってなってたし、流石は世界樹の神子と思わせるスキルだった。


私達の2周目が終わってエルのレベルは44になった。

身長もアメーリアが150センチちょっとぐらいだから、それより高めの160センチ弱ぐらいまで伸びていた。絶対男なら目が釘付けにされるぐらいの美女になっていた。

うちの連中も美人揃いだがエルには負けるな。薄っすら光ってるし。


今日一緒に居た連中にもいい事があった。

エルと長時間一緒にいたお陰で『聖』耐性が付いた。魔物なのに聖耐性、お前達もどんどん無敵になって行くね。


皆3週目も終わり、一度皆とアジトの屋敷に戻ってそこにいる者にだけエルとアメーリアを紹介し。アメーリアの事は知ってる者も多かったが何人かは初めての者もいたので一緒に紹介した。

紹介が終わるとアメーリアの宮殿に転移した。


「執事さん、帰ったよ。部屋は用意できてる?」

「お帰りなさいませ。お部屋の準備は出来ておりますが、先にお食事になさってはいかがでしょうか。」

「食べたーい! 今日は実以外食べて無いから絶対先に食べるー!」

「そういう事らしい、先に夕食にしてもらおうか。」

「タロウ様? こちらの方は?」

「あ、そうか。エルだよ。レベルが上がって成長したんだ。」

「左様でございましたか。では神子様、こちらに夕食の準備が出来ております。ご案内いたしましょう。」

え? 全然疑わないのね。この世界の常識なんですか?


執事に世界樹の実を10個渡し、ジュースにしてくれと頼んだ。


食事の時に執事に聞いてみた。

「エルには言葉使いとかこの世界での知識とかの教育をしてあげてほしいんだ。エルの事はまだ秘密にしたいし、口が堅くて教育の出来る者はいるか?」

「では、私めが致しましょう。私はお嬢様の教育係もやっておりましたから。」

「それはいいな、そうしてもらおうか。明日からお願いできるか?」

「神子様の教育係とは光栄でございます。明日でも大丈夫でございます。」


「えー! 明日もダンジョン行くのー。明日はわたしも魔物をやっつけるのー。」

お前もダンバカの仲間入りか? 世界樹の神子がダンバカってダメじゃない?


「だ、ダンジョンでレベル上げをなさっているのですか。それは厳しい修行のようでございますね。」

「面白いんだよー、アークドラゴンやウロボロスやキマイラがいてね、タイタンがフロアマスターやっててアジ・ダハーカがダンジョンマスターなんだよー。明日は私もアジ・ダハーカをやっつけるんだー。」

「・・・・・す、凄いダンジョンでございますね。」

執事さん、遠い目になってますよー。


「熟練度上げもあるから明日もう1日ぐらいならいいか。明後日からは勉強だぞ。」

「わかったー、お父様ありがとう。」

「さ、部屋を創ろうか。」


執事に準備してもらった部屋に案内してもらった。

準備と言ってもいつもアメーリアが使っている部屋にエル用のベッドなどを足してくれた部屋だった。


「エル、お前【世界樹創造】を持ってるよな?」

「うん、持ってるよ。」

「世界樹の樹皮を出すから、【世界樹創造】の応用でこの部屋の壁と天井を覆えるか?」

「大丈夫できるよ。」


私が世界樹の樹皮を出してやるとエルが集中して壁と天井に世界樹の樹皮を壁紙の様にした。研究所ダンジョンのレイがやってたのを見て思いついたのだが、レベルが上がったエルならできると思っていたんだ。冥王が【冥界創造】で城が建てられたんだから【世界樹創造】だったら壁ぐらいならな。


レイが作った世界樹の樹皮のままの壁紙と違って、エルが作った壁紙は世界樹の雰囲気は残しつつ立体的にしなかったので壁紙の柄の様に見えて良い雰囲気が出せている。

しかも聖なる気を放出しているので、この2人にとっては良い環境だろう。


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