第138話 封印した刀
2人を脇にやり結界封印されている冥王の前に立つ。
永久封印だと思っていたが、出してやるよ。攻撃力5000の異世界金属の刀。
効果に結界無効が付いてるんだ、これなら切れると思う。
スラリと刀を抜いた。刀身がキラリと光る。その刀を見る仲間の目もキラリと光る。
だから出したくなかったんだよ。あとで絶対質問攻め確定だな。
冥王には当たらないように結界を斬った。
シュッ! パッリーーン。
結界が切れて壊れた。
すぐに刀を収納するが、もう後ろでは仲間がざわついている。何か作戦会議をしてるようだ。
「あれって何?」「作って欲しいよね」「どうやってお願いする?」「わはは、あたいに任せるのだ。」「ココアさん頼んでくださいよ」「絶対!」「リクは作れないかな」「うちもほしー」・・・・・
お前達、まだここの件は解決してないんだが。
ま、殲滅って感じもどこかに行ったみたいだけどね。
「ミノス、どうする?」
「申し訳ありません。私達はどうなってもいいのです、冥王様だけは何卒お助け下さい。」
「私達は敵対するために来た訳じゃ無いんだ。それを精神攻撃なんてしてくるから頭に来ただけだ。話さえ聞いてくれればいいんだ。」
え? そうなの? って顔に全員なってる。
「あなた達は勇者の先触れだと思っておりましたが、まさか主戦力が来るとは思いませんでした。前回も従者を先触れとして寄越しましたから。」
なに情報だよ。どこの勇者と戦争してるんだ? だから丁重にお通しせよって命令だったのか? 確かに勇者もいるけどさ。
「誰がそんな事を言ったんだ、全然違うぞ。」
全員が冥王に注目する。
「冥王様が・・・・。」
こいつがすべての元凶か、やっぱり斬ってもいいんじゃないか?
「私達の強さはもうわかったはずだ。話がしたい、今後の事はそれからだ。それとも本当に殲滅されたいのか?」
「わかりました、すぐに準備します。」
と城に目をやる。
「・・・・・城が無くなってたな、ここでもいいぞ。」
「いえ、冥王様なら城も創って頂けます。冥王様が目を覚ますまで待っていただければすぐにでも。」
【冥界創造】ってそんなこともできるの? 冥界創る事を思えば城なんて簡単なもんか。欲しいな、盗ってやろうか。
イヤイヤ、ダメだダメだ。私が冥王になってしまう、諦めよう。
「もう一度精神攻撃を受けたら斬る」と言って冥王に状態異常全快の薬を口に含ませてやる。
冥王がすぐに目を覚ますと取り巻きの者から口々に説得されている。
冥王も落ち着き、立ち上がると城の跡地に向かって集中している。
見る見るうちに城が出来上がった。
「せっかく城を建ててくれたようだが、私の話しはすぐに済むんだ。冥王と2人きりにしてくれないか?」
渋々だが冥王の取り巻きは、私と冥王の2人きりにしてくれた。
私達が戦い目的で来た訳では無いが、怒らせると今度は冥王の命が危ないと思ったからだろう。
「お前、ハデスって言うのか。子供にしか見えないが冥王なんだろ?」
「そうだ。この姿は封印が解けてから間が無いからである。」
「今日は相談があって来たんだ、お前が精神攻撃なんてしなければ私も怒ったりはしないぞ。」
「わかった、逆らうことはできんようだ。何なりと申せ。」
普段はこういう話し方なんだ、さっきのごめんなさい攻撃はなんだったんだ。
「お前ってダンジョン核は作れないのか?」
「作れるが、余の作ったダンジョン核は弱いものしかできぬ。」
確かに5階層だったもんな。
「わかった、作れることがわかればいい。そのダンジョン核を私にくれた事にしてくれるか? 実際は私が用意するから。」
「そんなことをして何の意味がある。」
「お前には無くても私には大アリなんだ。そういう事にしてくれれば私の仲間もお前を倒そうとする者はいなくなるぞ。」
「そうか、ではそういたそう。」
「私からの話しはこれだけだ。お前が精神攻撃なんてして来なければ城も壊れることも無かったんだよ。」
「むむ、今後の反省としよう。」
「話しは決まりだな、じゃあ私達は帰るよ。」
「其の方は勇者の血縁では無いのか、最近短剣に選ばれし者が現れたと報告を受けておったので、てっきり其の方達の事かと思っておったぞ。」
「これの事か?」
短剣を出してやる。ピッカーン!
「おお、やはり。」
「違うぞ、短剣は勇者の物らしいが私は血縁の者では無い。異世界人だ。」
「勇者も異世界人であったぞ、その時は部下たちが今日の様に結界で守ってくれたのだが今日は結界も効かなかったようだ。」
「そうだな、私の仲間でも破れなかったな。今日は偶々だ。」
「其の方は余を倒しに来たのでは無いと申すか。」
「違うよ、何で倒さないといけないんだ? 冥界って言ったら死者を導く所だろ? そんなところの王を倒して何の得があるんだ? 死んだ後に地獄に落とされそうで関わりたくねーよ。」
「冥王になれるかもしれぬのだぞ?」
「嫌だよなりたくないし、なって何の得があるんだよ。毎日死者とか魂なんて見たくねーし。」
「では余の誤解であったようだな、許せ。」
「いや、こっちも城を壊してしまったし、何人かやっつけてしまってるようだし。悪かったな。」
冥王との話も終わり、また改めて話をしようということになり今日の所は帰ることになった。別に改めて話すことなんてないから来ないけどね。
封印から覚めてまだ800年程度だからステータスも上がって無いと言い訳された。
レベルが上がる方が効果的だがレベルが上がらなくても時間と共にステータスは上がって来るらしい。
800年あれば十分だろ。でも5万歳のうちの800年って大したことは無いのか。
帰り際に土産を渡され帰って来た。
冥王からの土産って。水晶のようだが、なんだろうな。解析にも時間が掛かる気がするし後でやろう。台座付きだし飾るのかな?
帰って来た途端、さっきの刀の質問攻めにあった。ホント煩い。
なんと言われようと攻撃力5000はお前達には絶対渡せないぞ。
あ、そうだ。
「最後、冥王と話してた件だが冥王がダンジョン核をくれることになった。」
「「「ダンジョン核――!!!」」」
「何個貰えんの?」「何個何個?」「いつー」「絶対!」「あるの?」「いっぱい?」「今日から?」「10個?」・・・・・・
はいー、お前達もチョロイね。
実際は貰ってないけどね。こうやって小出しにしないと本当にダンジョンだらけか誰も制覇できないダンジョンとか作りそうで怖いよ。
「今日は1個貰って来た。今は湖底ダンジョンとアイスダンジョンがあるだろ? 湖底ダンジョンは強力すぎるからこれ以上は改造しないとして、アイスダンジョンをダブル核にすればもういいんじゃないか?」
「まだいるー」「もっともっと」「いるのー」「絶対!」「ほしい!」・・・・・
「じゃあ、次に貰った時にどこかにもう1つだけ作ってやるよ。」
やっと納得してくれた。
「もう1個ダンジョンがあっただろ?」
シーン。
「飯屋のダンジョンは最近誰か行ったか?」
「「「「あ!」」」」
おいおい、弱いダンジョンには興味ねーってか。あそこももう少し強くしないとダメかな。ダンジョンが弱くても誰も行かなければやっぱり魔物は溢れて来るしな。
今はカインの【結界】で魔物が出て来れなくしてあるので、魔物も弱いし100年は余裕で大丈夫だろうということである。
でも、魔物を排除しないと米に栄養が行かなくなるからね。
私達の米の方はどうなったんだろうか、アーリーの所にも行ってみないとな。
イチジロウを連れてアイスダンジョンに行ってダンジョン核を出してやった。
メタル系で作った中位のやつだ。あとは好きにしてくれ。




