第13話 転送
町から更に半日ほど西へ行き、さらに一時間山の中へ入る。
整備はされてなかったが、道らしきものがあったので分かりやすかった。
そして祠の前に立つ。扉を開けると明らかに空気が違った。
覚悟を決め 二人の手を握りしめ中へと入る。
祠の中央に来た瞬間、バタンと勝手に扉が閉じられ立っていられないほどの目眩が襲う。
3人で輪になり、それぞれに手をつなぎあう。
「絶対に離すんじゃないぞー!」
「わかったよー」
「わかりました!」
周囲は目も開けられない程光っている。
目眩もあるので、どこが光っているのかもわからない。
浮いているのか 落ちているのか 回っているのかもわからない。
これで帰れるんだ!と思いながら意識が無くなっていった。
最悪の目覚めだった。身体中の節々が痛い。
痛覚無効ってなかったか?
周りを見渡すと ソラとココアが見える。
離れ離れになることは避けられたようだ。
「ソラ。ココア。大丈夫か?」
痛む身体をなんとか起こしながら声をかける。
2人の状態を【鑑定】で確認する。
問題無いようだ。状態も普通。レベルなどもそのままだ。
自分の状態も確認する。問題なしだ。
身体の節々が痛いのと、腹が減っているだけだ。
外の様子も気になるが、ここからは一緒に出た方がいいだろう。
何が起こるかわからんしな。
しばらくするとココアが起きた。やはり身体中が痛むようだ。
どのぐらい気を失っていたのかわからないが、硬いところの上で長時間寝た時のように身体の節々が痛む。ココアも同じなんだろう。
2人でソラを起こし、一緒に外に出た。
部屋の結界から出た時と同じ感じがした。少し期待が高まった。
【サーチ】で周囲を確認する。
赤い点がいっぱいだ。
残念ながら元の世界では無かったようだ。元の世界に魔物がいるはずがない。
『【那由多】!ここがどこかわかるか?』
――わかりません。周辺に生息する魔物から推測すると、西の大陸の可能性が80%です。
『転移したってことか?時間移動や次元移動ではなく場所の転移か?』
――はい、転移に関してはその通りです。場所の特定ができませんので80%です。
『周辺の魔物の種類がわかるのか?』
――はい、こちら側の魔物のデータは確認できます。
『こちら側?というと どういうことだ?』
――転送前の場所は【東の国】と呼ばれる場所だったため、データ不足でした。こちらに来て、それが明らかになりました。
『【東の国】へは戻れないか?』
――戻る手段・・・該当なし。
今できることは無いか?と考える。
「ココア、オオカミと交信できるか?」
ココアが集中する。
「残念ながら、交信はできないようです。」
「なぜだ?今回は場所の転送だったようだ。時間や次元はそのままのはずなんだが?」
「交信についてなんですが、返事がないというよりはノイズがいっぱい入ってきて交信を邪魔されてるような感じなんです。」
やっと東の国から出られました。
タイトルが東の国からなのに なかなか出られず。
ここからは少しペースダウンするかもしれません。




