表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/217

第129話 チビ

コーネライ湖に行く途中にアーリーの巣があるので、冒険者の事も気になるし昨日作った転送ポイントに転移して寄ってみた。


今朝方早くに出て行ったそうだ。お礼も無く脱走して出て行ったらしい。見張りも立てて無かったらしいしね。

自分達が保護されていると思って無かったのかもな。

そうだよな、魔物に部屋に閉じ込められたら餌にされると普通は思うよな。

誤解させてた方がもう来なくなるだろうからこのままにしておこう。


米の方はまだ出来て無かったが、餌として撒いていた魔物は全部吸収されていた。

もう4体ずつ木の周りに撒いておいた。


アーリーに後の事は任せ、コーネライ湖に向かった。


私達の馬車に道はいらない。馬車も浮いてるし引く者が飛んでくれるから馬車も飛ぶ。

馬になれて飛べないのはユニコだけだな。


コーネライ湖に到着するとジョーカーがドラゴンに戻る。

念話で妹を呼び出したようだ。


パタパタパタ

羽の羽ばたく音が聞こえて来た。周りが静かだから聞こえるが小さな音だった。


「タロウ様、紹介します。これが妹です。」

ん?どこ?


「んー、どこにいるんだ?」

「わーはっはっはー、流石にあたいの気配遮断を見破るのは難しかったようだな。あたいはここだー!」

え?どこ?

あ!いた。ジョーカーの肩に乗ってるのがそうか?

小さくないか?多分30センチぐらいしかないぞ?

確かに弱そうだな。


「ジョーカー、その小さいのがお前の妹か?」

「はい。」

「小さいって言うんじゃない! 可愛いって言え!」

「こらっ、タロウ様になんて口の聞き方だ。」

「口の聞き方はいいけど、お前弱いよな?そんなんじゃ私の所のダンジョンに入ったら瞬殺されるぞ?」

「わーはっはっはー、何を言っているのだ。あたいは気配遮断で見つかる事は無いのだ。瞬殺などされる訳がないだろう。」


なんか女勇者トオルみたいだ。こいつも勘違いが酷そうだな。


念話で確認だ。

『ジョーカー、お前の妹をうちのダンジョンに連れて行きたいんなら私の従者にするしかないぞ?』

『私もそう思っておりました。』

『じゃあ従者にするぞ?』

『はい、お願いします。』


「おい、そこのちっこいの。」

「だから可愛いって言えってー!」

「私の従者になるか?」

「はいー。」

私の額が光った。


ちっちゃいから名前もチビでいいんじゃないのか?でも、変身したら大きくなるかもしれないんだな。イチジロウも人型ではそうだったもんな。

チビはダメだな。でも元の姿は小さいんだし、いや進化して大きくなる可能性もあるのか。魔物はむずかしいなぁ。今日はココアもいるんだよなぁ。

でも末っ子っていつまでもチビって呼ばれたりするらしいんじゃないか?

よし!決めた。


「今から名前を付けるぞ。うちは料理と解体と人型の変身が必須だ。しっかり念じろよ。」

「わーはっはっはー、誰に言ってるー!そんな事は造作もないぞー!」

・・・心配だ。従者にして良かったのか?


「お前の名前はチビだ。」

チビは淡く光って覚醒した。



名前: チビ

年齢: 754

種族: 竜族 (ショーティドラゴン)

加護: 佐藤 太郎の加護

状態: 普通

性別: 女

レベル:15

HP 303/303 MP:288/288

攻撃力:313 防御力:311 素早さ:300

魔法: 火(3)・水(3)・土(2)・風(4)・雷(1)

技能: 牙(2)・翼(5)・剣(1)・槍(1)・ブレス(3)・料理(1)・遮断(3)・回避(5)・解体(1)

耐性: 熱・風・木・水・雷・身体異常

スキル:【変身】3【痛覚無効】2【高速移動】2【再生】2【龍眼】2

ユニークスキル: 【通過】

称号:ダンジョンマスターキラー



身体がグングン大きくなって行く。

ジョーカーと同じぐらいまで大きくなった。

・・・・やっぱり魔物はわからん。

と思ったらドンドン縮んで行く。さっきと変わらない大きさで止まった。

さっきより少し大きいだろうか、50センチぐらい。イチジロウの聖獣モードぐらいだ。

ただ、小さくなる時に凄く密度が濃くなるような集約されるようなそんな気配があった。


弱いな。でもダンジョンマスターキラーは付いてるよ。


「・・・・。人型になってくれ。」

「人型か!そんな事は簡単だー!」

「黙ってさっさとやれ。」

淡く光って大きくなって行くがすぐに止まった。


1メートルぐらいだろうか、ドレミとあまり変わらないぐらいだ。見た目も金髪にブルーの瞳で可愛いのだが、本当に可愛いのだが。

「完璧だー!流石あたい。」

この話し方。癒されることは無さそうだ。元気があっていいんだけどね。


「私はタロウだ。私の事はタロウ様って呼ぶんだぞ。」

「うむ、タロウ様だな、わかったぞ。ちぃ(にい)も名前があるのか?」

「おぅ、私はジョーカーという名前を授けて貰った。」

「ジョーカーか、格好いいな。あたいもちぃ(にい)のことをジョーカーって呼ぶことにするぞ。」

「・・・おぅ。」


ちぃ(にい)か、あったよな。兄ちゃんが2人いたら長男が大兄(おおにい)ちゃんで次男が小兄(ちいにい)ちゃん。

今もあるのかなぁ。今は名前で呼ぶことが多いみたいだけどな。


「チビ、お前の得意な武器は何だ?」

「チビって言うな!可愛いって言えって言っただろ? あれ? チビでいいのか。」

「そう言うと思って名付けたんだ。得意な武器は何だ?」

「むむむ、困った名前を付けられたものだ。なんでも得意だが一番得意はブレスだな。」

「それは武器じゃねーし。何も無いんだな、それじゃ武器は後回しだ。うちの必須アイテムを渡してやろう。」


1つ出す毎に煩い。予想はしていたが、やはり煩いし偉そうだ。

「これで最後だ。使い方はわかったか?」

「わかったぞ。タロウ様は凄いんだなー、尊敬するぞー。」


本当に尊敬してんだか。

一度ダンジョンを見ておこうか。


「ジョーカー、ダンジョンまで案内してくれるか?」

「はいはいはいはいー、あたいが案内するよー。」

「ココアもメタルフロッグの指輪を付けとけよ。」

「はい。」


湖に潜って行くと途中でチビが苦しそうにもがく。

あれ?指輪をしてないのか?さっき説明しただろ。

『チビ、指輪は?』

『指輪ってなんだ? ぐるじー。』


もう面倒な奴だな。余分に持っているメタルフロッグの指輪を填めてやった。

「おー!なんだこれはー!苦しくないぞー。」

「普通に話もできるだろ?さっき説明しただろ。うちにバカはいらないぞ?」

「当り前のことだな。バカを仲間にする奴などおるまい。ほほぉ其方のことだな。」

ココアに向かいながら話す。


「主様。」ココアが薙刀を出している。

もう斬っちまってもいいかと思うけどエースとジョーカーの妹だからなぁ。

「今回だけ辛抱してやってくれ。」

ココアを宥めてジョーカーに聞いてみる。


「ジョーカー、こんなバカならいらないぞ?一番ダメなのが仲間を馬鹿にすることだ。本人に自覚は無くてもやってることと同じだ。」

「申し訳ありません。もう少しレベルが上がると大丈夫かと思うのですが。」

「わかった。少しは辛抱させることが出来るかもしれないが長くは持たないぞ。」

「わかりました。」


流石にここまでのバカはいらないぞ。何とかしろよ、ジョーカー。


ダンジョンに着き、チビにキチンと説明してやる。

「チビよく聞けよ。まずお前は弱い、そして偉くない、だれもお前を甘やかせてくれない。」

「あたいは弱くないぞ!ダンジョンマスターキラーが弱いはずない!だから偉いんだ!」

「ダンジョンマスターキラーの称号は、うちの連中は皆持ってる。でも偉そうにしてる奴は1人もいないぞ。」

「なぜだ?なぜ威張らないんだ?」

「威張っても楽しくないからだよ。(みんな)楽しんでたらダンジョンマスターキラーになったんだ。お前は楽しくなかったんじゃないか?」

「そうだぞ、この10年あたいは苦労したのだ。」


「この程度のダンジョンに苦労する奴はうちの仲間には1人もいないぞ?見ないとわからないか。じゃあ、一度このダンジョンを制覇しようか。ここは何階層なんだ?」

「10階層だ。」

「10階層!?それを10年?本当に弱いんだなチビは。」

「そんな事はないぞ!」

「ま、一度見ればわかるさ。ココア、つまらない相手のようだが先頭を頼むよ。」

「かしこまりました。」


当然だが1時間も掛からずダンジョン制覇した。

ダンジョンマスターはホブゴブリンだった。Eクラスだ。

ダンジョン核も残っていた。

私達はレベルは上がらないが、チビのレベルは少し上がったようだ。


「わかったかチビ。うちの連中はこれぐらいの事は全員出来る。お前もそうなるようにすることが私にはできると思う。でも、そんなに偉そうにした態度を取るんなら仲間に合わすことができない。という事は仲間にはできない。どうするかはお前が決めろ。」

「強くなれるのか。」

「・・・・・。」

「あたいは強くなれるのか!」

「・・・・・。」

「強くなれるのかと聞いてるんだ!」

「・・・・・。」

「なぜ答えてくれないんだ。」

「お前が私の言葉を何も聞いていないからだ。」

「聞いているぞ。」


「じゃあ、なぜそんな言葉使いになる?なぜ教えを乞おうとしない?なぜそんな態度ができる?」

「・・・・・。」

「これだけ言ってもダメなら仲間にすることはできないな。ジョーカーもすまんが諦めてくれ。渡したアイテムは選別だ、返さなくてもいいぞ。行こうかココア。」

「かしこまりました。」

私が出て行こうと後ろを向いた途端、チビが泣きだした。


「ごめんなさいー、こんな事を言うつもりじゃなかったんだよー。許してくださいー。仲間にしてくださいー。置いて行かないでくださいー。もう1人は嫌なんですー。」


はぁ、やっぱりこんな事だったか。

エースとジョーカーにずっと頼ってたんだろう。

そのエースとジョーカーを私が従者にしたから1人になって淋しかったんだろう。

ずっとダンジョン内ってのも嘘だろうな。偶には出て来てたんじゃないかな。エースやジョーカーが帰って来てないか様子を探ったりもしてたんだろう。ずっと気を張ってたんだろうな。


「わかった、もう泣くな。連れて行ってやるよ。でも偉そうにしたり仲間をバカにしたりしたらすぐに追い出すからな。」

そう言って頭を撫でて抱き上げてやった。

「グズッ、わがりまじた。」ひっく


勇者トオルもこうできたら楽なんだけどな。あいつはちょっと違う感じがするな。

今は監禁されてるから当分会わないだろうけどね。



ダンジョンの最深部と入り口に転送ポイントを作ってアジトの屋敷まで転移した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ