表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/217

第121話 2つの条件


『念話』でダンジョンに来たい者って呼んだら全員来たいってよ。流石ダンバカだ。

ここの転送ポイントは私しか持って無いから一旦イチジロウと屋敷に戻ったら全員集まっていた。

さすがにユートピア商団とバンブレアム帝国の冒険者ギルドに行かせた奴らは来てないけどね。


20階層だからと言ったら10人に絞ってくれた。

すぐに決まった、ダンバカ達で何か私の知らない取り決めがあるのだろう。


知らないダンジョンなので念のためイチジロウにも付いて来てもらって12人で食堂下のダンジョンに転移して来た。

皆を待たせて食堂まで上がり店主に断りを入れに来た。


「ご主人、原因はわかりました。ここはダンジョンだったんです。」

「ええ!?そうだったのか。でも魔物なんて一度も出たことなんて無いのに。」

「米の生る木は魔物だったんだ。その魔物で階段を塞いで魔物が下から出られなくしてあったみたいだ。解決の方法としては2つある、それをご主人に選んでほしい。」

「方法があるんだな、教えてくれ。」


「1つは魔物をたくさん捕まえて来て木の餌にする。これはあんまり現実的では無いかもな、そんなにたくさん捕まえられないだろ?人を雇っても凄くお金がかかると思うぞ?」

「そうだな。」

主人は考え込んだ。魔物をたくさん仕入れる方法でも考えてるんだろうか。


「難しそうだなぁ、採算が取れそうもない。もう1つの方は?」

「1本木を伐らせてほしい。」

「え?伐るのか?それは・・・」

やはり考えてるな。ずっと店を支えて来てくれた木だし、先々代の店主や勇者が関わってる木だもんな。


「さっきも言ったがここはダンジョンなんだ。1本の木が下の階への階段を塞いでいる。だから今まで魔物も出て来なかったんだが、下に降りれば魔物がいる。その魔物を排除してダンジョンの餌にしてやれば米の木にも栄養が行き渡り、米も生るという訳だ。」

「そんな仕組みだったのか、そりゃ内緒にしないといけないわけだ。ダンジョンを見つけたら国に報告をしないといけないからな。誰にも言ってはいけないってそういう事だったんだな。」

主人は1人で納得している。


「もちろん下に行くためには木を伐らなければいけないが、塞ぐ方法も無い。ということは今後、魔物が下から溢れ出て来る可能性はある。」

「それよりも誰が下に行って魔物をやっつけるんだ?あんたがやってくれんのか?」

「私でもいいが、もう仲間を呼んで下に待たせている。」

「へぇ準備がいいんだな。中々やるもんだ。」


主人は下を向いて黙って考え込んだ。私が助け舟を出してやる。

「ここがダンジョンだっていう事は秘密にしてもいい、私もご飯が好きだからな。米の木が無くなるのは困る。」

主人が顔を上げた。


「本当か!本当だな?解決して米が出来ても国に報告したら冒険者で溢れかえるのは予想できる。そしたら米の木も伐られてしまうだろうと考えてたんだ。ダンジョンを見つけたら凄い報奨金が出るって話だが米が無くなるのは耐えられない。犯罪者になってもいい、米の木が守れるようにしてくれ。」

「わかった、私からの条件は2つだ。」


主人がゴクリと唾を飲む。横で奥さんも同じように唾を飲む。


「そんな難しい話しじゃない。1つはダンジョンを私の仲間に解放してほしいんだ、もちろん木は伐らない。うちはダンジョン好きな奴が多くてね。」

「そんなのはこっちからお願いしたいぐらいだ。放って置いたら魔物が溢れて来るんだろ?」


「ああそうだ。たまに誰かが排除してやらないといけないな。」

「それはわかった、条件は飲む。もう1つは?」


「もう1つは、たまに私にご飯を食べさせてくれ。ここのメニューを見てるだけで涎が出て来るんだよ。」

「そーんな事ならお安い御用だ。さっき言ってくれた2つの方法ならもう決まってるじゃないか。木を伐ってくれ。1本だけなら先々代も許してくれるだろう。条件は飲む!」

横で奥さんもホッとして笑っていた。



私だけ裏庭に回り皆の待つダンジョンに降りた。

階段を塞いでいる木を一番下から斬った。斬った木は【鑑定】は済ませていたが召喚なのか種なのか分からなかったので一応解析。なぜか解析できた、種は作れそうだ。魔物って種から生まれたりする魔物もいるのか?本当に魔物はわからん。


1時間ほど待つと斬られた木は徐々にダンジョンに吸収されていく。根元の方を無理やり床から引き剥がすと階段が壊れるかもしれないから待った方がいいとイチジロウに言われたから待っていた。


階段が現れると待機していたダンバカ達が続々と降りて行く。なぜかイチジロウも付いて行った。大丈夫か? お前弱かったよね? 守ってもらえよー。


降りて行くのを見届けると私はグッサン伯爵の屋敷に向かった。

「もうすぐ解決するよ。」と主人と奥さんには言っておいた。



書いてもらった地図は分かりやすく書いてくれていた。中央より西側の貴族の屋敷が多く建ち並ぶ地区にあるグッサン伯爵の屋敷に辿り着いた。


こっちにいる悪魔は2体のはず。屋敷の者の無事も確認したいし、やっぱり潜入の方がいいな。ここからの招待状は持ってるから日にちは違うが見せれば面会ぐらいはしてくれると考えていたが、堂々と入って悪魔が居るとも言えないしサンゼルマン子爵の屋敷の時のようになってるかもしれないしな。



人目が無い事を確認し潜入に必要な指輪を填めた。

門まで行く必要も無いので塀を飛び越える。

サンゼルマン子爵の屋敷では厩まで見なくて人質を見落としたので、今回は範囲を広げてサーチ。

やっぱり厩に人が固まっている反応がある。芸がないね。

屋敷の中には1体の赤い点が確認できる。

あれ?2体じゃないのか?もう1体はいないのかな。


どっちが先か迷ったが監禁されている人たちの救出を優先した。

重症になってる人とかいるかもしれないしね。

行ってみると使い魔がいて地下牢を見張ってた。


使い魔は入り口の近くにいるので牢の中からは死角になっている。

使い魔は私には気付いてないからサクッと斬った。鍵を持ってたみたいなので回収して死体は収納。

牢の中を見ると重症になっている者がいた。悪魔に抵抗してやられたんだろう。それでも閉じ込められているって事は死なせたくない理由があるんだろうな、たぶん召喚の為の生贄だろう。

姿を見せ牢の鍵を開けた。私が消えていたとは誰も思って無いようだった。

使い魔がいなくなってたのも気付いている者はいなかった。


「助けに来てくれたのか!」

しっ!

「声が大きい。まだ悪魔は屋敷の中にいるようだ。今から退治して来るからこれを重症の者に飲ませてくれ。すぐに戻って来るからここから動かないでいてくれると助かる。」

一瞬声を出しそうだった者も口を噤んだ。


「私は冒険者でタロウという。今から屋敷の悪魔を退治して来るが、騒がれると悪魔に気付かれる。黙ってここに居てほしい。」

「おお、貴方がタロウ様でしたか、お噂は兼々承っておりました。私はグッサンと言います。」

「あなたがグッサン伯爵か、屋敷の鍵は持って無いか?屋敷に入るのに悪魔に気づかれたくないからな。」

「鍵ですな。」メイドに指示をして鍵を出させる。

鍵を受け取り牢から出た。

「牢の鍵は開けておくが、私が戻るまでここに居てほしい。今動かれると邪魔なんだ。」

「わかりました。」グッサン伯爵が返事をしてくれた。


牢の死角まで来たらまた指輪を填めた。

階段を上がろうとした時、誰かが降りて来た。悪魔だった。


「誰だ!私の使い魔を殺した奴は!誰かが入り込んだか。」

悪魔が目の前で叫んでいる。しかし私には気付いていないのでやることは同じだった。さっきのサンゼルマン子爵の屋敷にいた悪魔より少し強そうだが問題無い。

悪魔が下まで降りて来るの待って、さっきの悪魔同様に、右手、両足、左手の順番で斬って姿を指輪をはずし姿を現した。


斬られた悪魔は、ぐおおおぉと叫んでいる。その声に牢の中の者達は固まって怯えている。さっきも痛みで話しにならなかったので先に回復魔法を掛けてやった。


「おい悪魔、お前の仲間はどこに行ったんだ。」

「誰だお前は!どこにいた!」

さっきと同じね、はいはい。

悪魔が黙るまで刺してやった。なぜか悪魔には非道になれた。初めがショーン達だったからかな、仲間にしたくなかったのに勝手になりやがって。あの時の事を思い出してもう1回ついでに刺してやった。悪魔って死んでも死んでないって感じが嫌なのかもな。見た目も人間風ってだけで人間とは全然違うしね。こいつが人型に変身してたら、こんなことはできなかったな。

しかも牢で閉じ込めてるって召喚の為の生贄にしようとしてるんだろ?情けを掛ける必要なんて無いな。


「そろそろ答えてくれないか?仲間はどこに行ったんだ?」

「わかった、もう許してくれ。何でも言う。」

また刺してやった。


「それも違う。」

「ぐぅ。言う、言うからもう刺さないでくれ。ぐわぁ。」刺す。

「違う。」


「仲間は、仲間は勇者の所だ。」

「勇者?勇者ってどこの勇者だ。」

「中央の勇者トオルだ。」

嫌な予感が走った。まさか


「おい、その仲間の悪魔って誰に化けてたんだ。」

「トウベイ・スズーキだ。」

やっぱりか。ヤバいぞ、すぐに行かないと。

悪魔に止めを刺し収納した。


「グッサン伯爵、もう悪魔はやっつけたからここは安全になった。私は急いで行かなければならなくなったので、後の事は見てやれない。許してくれ。」

それだけ言うと1階に上がり短刀でバンブレアム帝国の外に転移した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ