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第120話 食堂の依頼

最後の1体も収納し厩に向かった。

地下への通路もすぐに見つかり地下牢から捕らわれていた人達を解放した。

サンゼルマン子爵も人質の娘もその中にいた。全員少々衰弱気味だったが、HP全回復薬を半分ずつ飲ませたら体力的には全員回復していた。


後で誰かに来てもらうと伝えてサンゼルマン子爵にはエンダーク王国で懇意にしている者の名前だけ聞いて、トウベイ・スズーキの娘を連れて馬車に戻った。

予想通りエンダーク王国で懇意にしているのは、グッサン伯爵だった。


馬車に戻ると騎士団長に屋敷で起こっていたことを説明した。

一度詰め所に戻り体制を整えて騎士団がサンゼルマン子爵の屋敷に出発した。

残された私はトウベイ・スズーキ親娘(おやこ)に少し事情を聞いて別れた。

勇者トオルとのつなぎ役の為に見張っていたら丁度野盗を取り巻きにしたので紛れ込んだのだそうだ。


父親の方は騎士団全員が出払ってしまって留守を預かってる者では釈放をする権限が無いため騎士団長が戻るまで保留で、最悪もう1晩泊まる事になりそうだ。多分釈放はされるとは言ってたけどね。私も釈放してあげてくれとは言っておいた。


娘の方はまだ時間は早いが宿まで送ってあげて、1晩分の宿代2人分として金貨を1枚出してやった。何も持って無いんだから可哀相だろ?どこかで落ち着きたいだろうし。着替えはハルの物が合いそうだったので渡したし、食事は宿で摂れるから大丈夫だろ。遅くても明日には父親も釈放されるだろ。



さあて、ここまで関わったら仕方が無い、エンダーク王国に行きますか。


エンダーク王国の店に転移して来た。

メインキーはピアに渡してあるが、私も複製(コピー)でスペアキーを作って持っている。


屋敷の場所が分からないから、領館に行ってイズミン侯爵に聞いてみようか。

中央に向かって歩いていると、この前の食堂で店の中にいた女将さんと目が合った。


「あたな前に来てくれたタロウさんでしたよね?探してたんですよ。冒険者ギルドにも行って依頼してきたんです。」

「そうだったのか、それは悪かった。まだこの町の冒険者ギルドには顔を出して無かったよ。でも、他所の冒険者ギルドにも連絡はまだ来てないようだったけどな。」

最近ダンジョンばっかりで誰も行ってないかも。今日ココア達が聞いてるかもな。


「じゃあ丁度良かったですね、話だけでも聞いてもらえませんか?」

話ぐらいならまだ時間もあるしいいか。悪魔よりご飯の方が大事だし。


「わかりました、聞きましょう。」

店の中で話しを聞くことにした。店の中に入ると主人も出て来た。


「この冒険者さんかい?お前の言ってた人って。」

「そうですよ、ご飯が大好きで力になれるって言ってた人ですよ。」

店の主人はジロジロと私を見定めていた。


「今は藁にもすがりたい所だからあんたでもいいか。話を聞いてくれるかい?」

「ええ、聞きましょう。」


この店は先々代の時に当時の勇者のお陰で米を持つことができた。

そのお陰でこの店が繁盛したわけだがその米が最近になって穫れなくなったそうだ。

原因は分からないが、また米が穫れるよういできないかという相談だった。


「その米ってどこで獲れてたか教えてもらえるのか?勇者との約束で言えないって前に聞いたけど。」

「言えないのは確かなんだがよ、その時の約束ってのは言うのは米が穫れなくなるとか皆が作り出すとかっていう話しだったらしい。今は米が穫れなくなってしまってるし、独占するつもりもないから米が穫れるようになればいいんだよ。」


先々代の話しだから結構あいまいになってるんだな。

「じゃあ、穫れてた所に案内してもらえるか?見てないのにできるともできないとも言えないからな。」

「わかった、こっちに来てくれ。」


裏庭に案内された。裏庭には蔵があり蔵に入ると地下への長い階段を降りて行った。

下に降りると大きな部屋がありそこに大きな木が5本あった。どことなく元気が無いような木だった。

地下の部屋は天井も高く5階分ぐらいはあった。

広さも一辺30メートルはあるだろう。光源が何かわからないが凄く明るい部屋だった。


これってダンジョンじゃないのか?ダンジョンで木を育てるって私が世界樹を育てるみたいなことをしてるんじゃないのか?

でも木って。米だよな?木ってどういうことだ?


「ここで米が穫れたのか?田んぼが無いんだが。」

「田んぼってなんだ?米は木に生るものだろ?」

いえ、違いますから。普通木には生りません。でもここは異世界だからそういうこともあるかもな。


「なんとかなるかもしれないな。」

「おっ!ホントかい?なんとかできるのか?」

「私の仲間にこういうのが得意な奴がいてね、そいつならできるかもしれないな。」

「い、いつまでにできるんだ?」

「すぐに呼んでくるよ。ちょっと待っててくれ。でも先に冒険者ギルドに行って来ないといけないか。依頼を出してるんだよな。」

米と悪魔。やっぱり米の勝ちだよな。


「うん出したな。」

「ルールなんでな。先に依頼書を取りに行ってから仲間を連れて来るよ。」

「わかった、じゃあ待ってるぞ。」

このフロアにも転送ポイントを作っておいた。

短刀を地面に刺すだけだから見られても何をやってるかわからないだろ。


この町の冒険者ギルドって行ったことが無いので場所を聞いて冒険者ギルドに向かった。

少し不安にさせてしまったようだ。「本当に冒険者かい?」って言われてしまった。


冒険者ギルドの依頼ボードには貼って無かったから私指名だしギルマスが持ってるんだろ。カードを提示してギルマスを呼びだして貰った。


すぐに前回裁判で見たギルマスのコージーがやって来た。マスタールームへ呼び出さず自らやって来た。

「これはタロウ様、今日は依頼の件で来て頂けたのでしょうか?」

「そうだ、食堂から米の依頼が来てなかったか?」

「えーっと、こちらの件ですね。」


何枚かの依頼書の中から1枚取り出して渡してくれた。

「これだな。ありがとう。」

出て行こうとしたら

「あのー、実はですね、まだ依頼がございましてー。」


「まだあるのか、わかった。明日にでも仲間をよこす。それでいいか?今日は予定があるから。」

「はいー!大丈夫です。明日ですね、お待ちしております。」

「あ、グッサン伯爵の屋敷の場所は知ってるか?」

「はいー。」


グッサン伯爵の屋敷への地図を書いてもらい冒険者ギルドを後にした。

誰にも見つからない場所を探してアジトの屋敷に転移した。


イチジロウかシロウがユニークスキル【ダンジョン】を持ってるからどっちでもいいんだがシロウは浮遊城の洞窟ダンジョンに行って居なかった。

イチジロウに頼んで一緒に食堂下のダンジョンに転移して来た。


「イチジロウ、これってダンジョンだよな。」

「そうですねい、ダンジョンですねい。」

「ここに生えてる木って実が生らなくなったらしいんだが、原因はわかるか?」

「わかりますよい、ダンジョンに栄養が足りてないですよい。餌を与えれば大丈夫ですよい。」

「ここのダンジョンは魔物は出ないのか?」

「出ますよい。」

「でもいないじゃないか。」

「ここは1階層目であの木の魔物だけがいれるように設定してあるんだよい。下の階層の魔物を倒せばいいんだよい。」

「どこに階段があるんだ?ダンジョン核もあるのか?」

「ここのダンジョンは20階層みたいだから最下層の20階層目のダンジョンマスターを倒せば見れるよい。階段はあの奥の木の魔物の下だよい。階段を塞いで魔物が出ないようにしてあるよい。」


魔物がダンジョンから出て来れないようにしてあるんだ、工夫してるな。

しかし流石だなイチジロウは。ダンジョンに関してだけは凄い奴だよ。

「わかった、あとはダンバカ達を呼ぶよ。イチジロウありがとう。」

「あと、魔物をもっと吸収させた方がいいかもよい。」


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