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第116話 アメーリアの依頼

転移の為にロンレーンの屋敷に来た。

さっき解析した道具を世界樹の枝で2セット作ってソラにも持たせた。

ソラには浮遊城で樹皮と樹液を貰って来るように言って別れた。


マーメライの町に転移してきた。冒険者ギルドに行ったらメリアーナが受付に座ってた。

よくやるよね、ホントここだけだわ。ギルマスが受付に座るなんて。

「やあ、久し振りだな。」

「ホントご無沙汰ね。最近、鍛冶屋には顔を出したそうじゃない?なんでこっちには来ないのよ。」

「別に用が無いしさ。私が来たら皆の仕事を取ってしまうじゃないか。今この町は景気がいいんだろ?」

「別に仕事じゃなくてもいいじゃない。誘ってくれれば食事だって付き合うわよ。」

「ホントか?今日はダメだけど近いうちに誘いに来るよ。」

「楽しみにしてるわ。」

「今日は城にも用事があるから、また来るな。」

「ええ、待ってるわよ。」


行きたくないけど名前を出してしまったからな。断りだけでも入れておかないとな。

国同士の面倒事になると大変だからな。


城門で王への面会を求めた。

城にはすぐ入れたが中で少し待たされた後、王との面会になった。


「今日は急な面会に応じてくれて感謝する。」

「いやいや、伯爵の活躍は余の方でも聞き及んでおるぞ。先日の水龍の件も天晴じゃ。」

「今日はその伯爵の件で話に来た。先日、エンダーク王国の王と少し揉めてな、その時にマーメライメント王国の伯爵だと名乗ってしまったんだ。もう揉めてはいないんだが、一応報告に来たんだ。」

「エンダーク王国であるか、それは豪気な。それで勝ったんであろうの?」

「勝ち負けじゃないけど、最後は向こうが折れてくれて晩餐会に誘われたよ。」

「ほぉほぉほぉ、豪気豪気。天晴じゃ。のう大臣。」

「はっ、確かに。」


「して、そろそろ屋敷の方にも住まわぬか?のう大臣。」

「はっ、タロウ殿どうであろう、そろそろ屋敷に住んでは貰えぬか。貴方が住まなくてもずっと開けておるだけだ。月に一度でも住んでは頂けぬか。」

「家はもうあるからな、でも今回の件もあるし何か月かに一度ぐらいなら家の手入れに行ってみるよ。」

「かたじけない。」

「いい仕事をしたのう大臣。」

「はっ。」


「そちはエンダーク王国の王にどうやって勝ったのじゃ?余も中々あ奴には勝ちきれぬでのう。のう大臣。」

「はっ。」

「言ってもいいか。これだ、この短剣を見せたら向こうが折れてくれたよ。」

と言って短剣を出した。キラリーンと短剣が光る。更に光が増していた。


「お?」

「お?」

「おお?」

「おお?」

「おおお!これは失礼仕った。これ大臣、あんな屋敷では狭すぎるもっと大きな屋敷を用意せよ。」

「ははっ、この命に代えましてもタロウ様のご希望に添える屋敷をご用意いたします。」

「爵位も伯爵ではダメじゃ。もっと上の爵位を。」

「はっ、では公爵になっていただくよう手続きいたします。」


やっぱ面白れーなこの短剣。王様が早口になってるもん。


「いや屋敷は今のままでいいよ。それより聞きたい事があるんだ。」

「なんであろうか。」

「うちの連中が商売を始めるんだ。Aランクになるためには何をしたらいいんだ?」


「大臣。」

「はっ、商人ギルドのAランクになるためには、まずBランクを取得していただきます。その上で国のためになる事をしていただく。」

「水龍討伐はどうなんだ?」

「確かに国の為になりました。水龍がいなくなったお陰で町は今活気に溢れております。条件には合いますな、タロウ殿であればすぐにでもAランクを認めますぞ。」


「それじゃ私はAランクにしてくれ。仲間はどうすればいい?」

「そうですな、水龍討伐の時のお仲間であれば結構です。」

「その後の奴なんだ。」

ララとロロとイロハはいたんだけどな、エースとピアとユウトはいなかったからな。

先に全員Bランクカードにしておかないとな。


「何をすればいいという事は無いんです。国に大いに役立てば何でもいいのです。水龍討伐でも本来は冒険者ギルドの管轄で商人ギルドは関係ありません。それでも承認は致しますぞ。」


何でもいいというが逆に難しいな。何をしたらいいんだろうな。

「わかった、何か考えるよ。私の分は商人ギルドに行けばいいのか?」

「いいえ、商人ギルドのAランクカードだけは城で発行致します。帰る時までには用意しておきます。」

「そうか、ありがとう。王様は東の国や勇者に付いて何か知らないか?」

「そういう話しであれば、晩餐会か舞踏会にでもお越しください。その時にでもゆっくりお話いたしましょう。大臣。」


マジか、嫌だけど情報の為には必要なのかなぁ。


「はっ、招待状はどちらに届けましょう。」

「この町の冒険者ギルドに頼むよ。ギルマスのメリアーナと一緒に来ることにするよ。」

「かしこまりました。では同伴者ということでギルマスにも招待状を送っておきましょう。」

道連れだ。食事には付き合うって言ってたしな。


城を出る時に商人ギルドのAランクカードを受け取った。

持っていたBランクカードと引き換えだった。


その足で鍛冶屋に向かった。もう刀もできているだろう、楽しみだ。


「おい(あん)ちゃん!」

鍛冶屋に入るなり鍛冶屋の師匠が怒鳴って来た。


(あん)ちゃんはアスピドケロンの爪と牙だって言ってたよな。」

「ああ。」

「間違いないって言ってやがったよな。」

「ああ。」

なんか違ったか?


「この爪と牙はアスピドケロンじゃなかったぜ。」

「え?」

だってジャンの爪と牙に間違いないぞ?


「この爪と牙はなアイランドドラゴンつって儂が追ってたアスピドケロンより凄いドラゴンの物だったぜ!兄ちゃんいい仕事させてくれたな。感謝するぜ、ありがとよ。」


あー、そうだった。進化してたよ、忘れてた。

でも、納得してくれてるからいいか。


「それでどこなんだ?刀は出来上がったんだろ?」

「ああ、これだ。」

師匠が刀を出して来た。

本当に見惚れてしまう。深い濃い緑の刀だった。凄く輝いている、美しい。


【鑑定】

名称:アイランドドラゴンの刀

種類:刀

攻撃力:1000

守備力:0

付加効果:ジャイアントブレス



ドラゴン系の中では最強だな。でもこの刀は強さより美しさだ。

こんな粗忽な親父から何故こんなに美しい刀が生まれるんだろう。

しかも付加効果に『ジャイアントブレス』って。水龍の刀にも『水中呼吸』が付いていたもんな。凄い腕してるよこの師匠は。


「素晴らしいなぁ。美しいよ。流石だ。」

「それほどでもねぇって。この刀は兄ちゃんが持って行ってくれ。いい仕事をくれた礼だ。」

「いいのか?金は払うぞ?」

「いいってことよ。儂の夢の片棒を担いでくれた礼だ。」

横で弟子が頭を抱えている。「いつもの病気が」って聞こえてくる。


「それじゃ私からも」

倉庫まで行きジャンの爪を1つ出してやった。爪1つで倉庫が満タンになった。

「おおお!兄ちゃん!隠してやがったなこの野郎!なんてぇ奴だこんちくしょう。」

そう言って師匠はもう作業に取り掛かっている。


聞きたい事があったんだがもう無理だな。弟子に聞いてみよう。

「なぁ、この柄巻なんかに使われている物ってなんだ?皮じゃないようだが美しいよなぁ。」

「それは生地です。サハラン国で仕入れて来るんです。」

生地かぁ、持って無いな。機会があったら見てみよう。



次はエンダーク王国か?いや、時間がかかる気がするからバンブレアム帝国が先だな。

バンブレアム帝国に転移した。


仕方が無い、ベッキーからか。こうやって御用聞きをしてみると行きたくないところが多くないか?こういうのはやっぱり皆で当番制にするべきだな。


「あら、いらっしゃい。今日はなーにー。」

「今日は報告があってな。居るとは思ってたけど居てくれてよかったよ。」

「なになになんなの?大事な話~?」


「お前と一緒に召喚された奴、今うちで世話してる。ハルナと山本一郎とケンジだ。」

「えーうそビックリ!もいっちゃんとハルちゃんとケンジがいるの?会ってみたいわねー」

「そうだな、もうお少し落ち着いたら連れて来てやるよ。」

「楽しみね~、みんな元気にしてたのかしら。」

「ああ、元気だぞ。毎日ダンジョン通いだ。もうダンジョンマスターキラーになっててお前より強くなってるぞ。」

「マージ!ありえなーい。」


「エンダーク王国の王様にもお前らには関わるなって言って来たから、もう刺客は来ないと思うぞ。」

「そんなことまでできるのね。あなたってホントに凄いわね。」

「じゃあ、今日は報告だけだから。」

「ありがとねー、もいっちゃんとハルちゃんとケンジによろしく言ってねー」


次は冒険者ギルドだな。特に何もないはずだが顔だけは出さないとな。

私宛の連絡で一番来そうな場所だからな。


冒険者ギルドの受付でカードを見せる。依頼書ボードの依頼をいくつか取って買取窓口へ。

精算中に何かあれば言って来るはずだが。

やっぱりお呼びが掛かったか。今日は簡単な物だったらいいがな。


「ようこそタロウさん。」

「今日はなんだ?」

「いくつかありますが、急ぎから言いますね。アメーリア様からの依頼です。」

「依頼?」

私の問いにオーフェンは黙った。


「なんだ、続きを早く言え。」

「はい、いただきました。これを言って驚かせる事が私への依頼でした。依頼完了です。」

「バカか?お前達は。」

ホント何やってんだか。Sカードへの依頼で請け負ったのか?


「今のがSカードの依頼か?」

「いえ、依頼の時に言い渡された別件ですが、達成報酬はタロウさんから貰ってくださいって言われてますが。」

「なんで私が渡すんだ?おかしいだろ。」

「でも、タロウさんしか持ってないのでって言われました。おいしい果物って聞いてますよ。」

それって世界樹の実の事だろ?これってこいつを驚かす分も入っているのか。考えたなアメーリアも。


「タロウさん?何か私的に非常に怖い顔になってますけど。」

「そうそう、アメーリアから言われてたのを思い出したよ。」

「非常にイヤな予感がしてくるんですが。」

「ホント美味しいんだ、それは間違いない。これがそうなんだがな。」

1個世界樹の実を出してやった。


「はい。この果実がどうしたんでしょう。確かに見た事も無い果実ですが。」

「まぁ、食べてみて感想を聞かせてくれ。」

「はぁ。」

オーフェンは普通に世界樹の実を食べきった。


「確かに凄く美味しいですね。しかも力が漲って来ますね。」

「うん、そうだろうそうだろう。これはね、世界樹の実って言うんだ。」

ブフォッ

「せせせ世界樹ですか?み実ってなんですか?そんなものこの世界のどこにあるんですか?」

「はーい大成功ー。これがさっきのアメーリアから私への隠れ依頼だよ。達成報酬はオーフェンの驚きってとこか。」

「そんなもの毎回です。しかも驚きの大きさが違いすぎますよ。」

「ははは確かに。アメーリアの依頼の本題は何なんだ?」


「総本山から連れ出してほしいというのが依頼です。」

「どういうことだ?総本山から連れ出すって自分で出て行けばいいじゃないか。」

「1週間前にアメーリア様が来られまして、1週間経っても連絡に誰も来ない時はタロウ様に知らせて総本山から連れ出してほしいと伝えてほしいと言われたのです。今日で1週間目なので詳細を調べに行かせようとしていたところでした。」


「私が来てちょうどタイミングが良かったわけだ。」

「はい、そうなんです。」

「一度宮殿に行って聞いてみるか。」


「それは結構なんですが、まだこちらから用事があります。」

「なんだ?アメーリアの件を先に済ませて来たいんだが。」

「わかってます。依頼もありますが招待状の山が更に大きくなってます。この方達だけは私の手に負えませんのでタロウさんが処理して下さい。あとサンゼルマン子爵もまた来てましたよ。」


オーフェンから招待状の束を渡された。全部で10通あった。


エンダーク王国からの招待状。

サンゼルマン子爵などこの国の貴族からが3通。

エンダーク王国の貴族からが1通。

ツンザンブレーン連邦のシルビア―ナ国王からの招待状。

サハラン国王からの招待状

アクアリア国の女王からの招待状

タイスランド国王からの招待状

そしてこの国の国王からの招待状


近隣の国々からの招待状が多かった。


多いって。どうやって断るんだよ。これでも一部かどんだけあんだよ。

今はアメーリアが先か。


「依頼の件は私じゃなくてもいいんだろ?」

「はいウルフォックスの方なら結構ですよ。」

「明日、誰か寄こすよ。」

「はい、お願いします。」


冒険者ギルドを出ると馬車が待っていた。

「お待ちしておりました。」

騎士団のベルギールとワンダールのバンダム親子だった。

今日もフルアーマーに身を包み私のあげた馬車で迎えに来ていた。


ロンレーンの町をノーライザにたくさん間違えてました。

修正しました。申し訳ありませんでした。

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