第108話 2人の勇者
「ちょっとすまん。ベリアルの名付けだけ先にするぞ、あとはゆっくり考えるから。」
勇者の2人にもそう言って待ってもらいベリアルに話し掛ける。
「うちは料理と解体は必須だから人型に変身できるようにと一緒に強く願えよ。」
「わかりました。」
名前ねー。名前名前。こいつも子供達の続きでいいんじゃないの?いや、私の気持ちとして別の括りにしたいな。ショーン、アゲハ、イロハ、ジャックが悪魔の名前だよな。
頭のアルファベットを取ってアナグラムでSAJIでサジでいいか。これ以上考えるのも疲れるからこれで行こう。時間も無いし。
「お前の名前はサジだ。」
サジは淡く光って覚醒した。
名前: サジ
年齢: 3621
種族: 悪魔族(悪魔侯爵)
加護: 佐藤太郎の加護
状態: 普通
性別: 男
レベル:41
HP 2955/2955 MP:3585/3585
攻撃力:2966 防御力:2877 素早さ:2655
魔法: 火(6)・水(5)・闇Max・召喚(2)・精神Max
技能: 剣(8)・槍(4)・弓(3)・回避(8)・遮断(9)・料理(3)・解体(4)・保育(0)
耐性: 熱・雷・身体異常
スキル:【再生】8【収納】5【魔眼】7【変身】5
ユニークスキル:【魅惑】
称号: なし
従者: なし
「よし、人型に変身してくれ。」
サジは淡く光って人型になる。
お?ガタイがいい系?初めてじゃないか?ベッキーにも負けないぐらいがっちりしてるぞ。
ただ、いるよな。モテるボディビルダー甘いマスク系。そのまんまじゃねーか。
「色々疲れたよ。そっちのハルナと山本一郎も一緒に行くか?」
「「はい!是非!」」
お前達もやっと【魅惑】から解放されたのに、今度は私の従者か。なんか不憫だ。
イソッチが目覚める前に、私達は短刀でアジトの屋敷に転移した。
屋敷に着いた私達は今後について話し合った。
サジは従者決定でいい。問題はハルナと山本一郎だ。
サジには、うちの必須アイテムを渡しておく。初めの内は2枚ずつ配っていた小判も今は1枚しか配ってないしまだある。
収納のバングル、メタルフロッグの指輪、透明の指輪、偽装+隠蔽の指輪×2、飛行の指輪、分身の指輪、小判、短刀、メタル系の長剣、伸縮するメタル系の槍。
指輪が多いが、常時付けておくのは偽装+隠蔽の指輪と収納に指輪を選んでる奴ぐらいだから指輪だらけになることはあまりない。今回の忍者体験では指輪だらけになったけど、それでも4つだ。
1つ出して説明するごとに雄たけびを上げまくるサジ。見た目通り暑苦しいぞ。
夜には皆が帰って来るから、それまでは部屋を選んでゆっくりしていいと指示を出しておいた。もう今回の子供達からは隣の屋敷だ。食事の時だけこっちに来ればいい。
「さて、ハルナに山本一郎か。どうする?」
「「従者にしてください!」」
え??
「お前達勇者だろ?魔王退治はどうするんだ?帰れるかどうかは知らんが、魔王を倒して元の世界に帰るんじゃないのか?」
「そんなの嘘に決まってます。今見たアイテムが頂けるんですよね。」
「僕も同じ意見です。お願いします、ここに居させてください。」
アイテムに釣られたの? いいけど、魔王退治は誰がすんの?勇者が従者って面倒事が増えそうでマジいらないんですけど。名付けをしてないだけで従者にはなってしまってますけどね。
「じゃあ、先に言っておかなければならないことがある。ベッキーは知り合いだ。本名は浦辺清だったかな。」
2人は真剣に聞いている。
「それとケンジは私が殺した。一緒にいたシューラッドもだ。」
少しの静寂の後、ハルナが口を開いた。
「確かにケンジは一緒に召喚されました。でも3か月ぐらいしか一緒に居なかったし、元の世界も違うし、タロウさんを見てると殺したくて殺したわけじゃないと思うんです。仕方が無い理由もあったんじゃないかと思うんです。べリアルのことも殺さなかったし。まだ会ったばかりだし何もわかってないのに、こんなこと言ってごめんなさい。でも私はエンダーク王国に居たくないんじゃなくて、ここに居たいんです。」
「僕も同じ意見です。僕なんかすぐに操られたから1か月も覚えてないんです。でも僕もここがいいんです。ここに置いてください。お願いします。」
「「お願いします!」」
「・・・わかった。ここに居ればいい。後悔するなよ?うちは厳しいぞ?」
「「はい!よろしくお願いします!」」
たぶん、この3年間苦労したんだろうな。違う日本と言っても私が居たところと大差ないだろうし、この世界では生きるのも大変だ。しかも城暮らしに逃亡生活に操られたり牢屋に幽閉。
私だったら守ってやれそうだし、強くもしてやれるだろう。いいだろう、ここに居ればいい。
先に必須アイテムを渡してやった。あとは
「あとな、名付けがあるんだ。私が従者に名付けをすると本人に取っていい事が多いんだ。お前達どうする?もうお前達は名前があるけど、多分できるぞ。」
「じゃあ、僕はあだ名がモイッチャンなのでモイチにします。」
「じゃあ、わたしもハルにする。」
「い、いや、決定なのか?」
「「はい!」」
ここも即決? なんなんだ、この勢いは。ちゃんと考えてるのか?でも、若いのにこの3年は苦労続きだったんだろうし、受け入れてやろう。
「わかった。お前はモイチ。お前はハルと名付ける。」
2人は淡く光って覚醒した。
名前: モイチ(山本一郎)
年齢: 19
種族: 人族
加護: なし
状態: 普通
性別: 男
レベル:11
HP:534/534 MP:522/522
攻撃力:240 防御力:230 素早さ:240
魔法: 火(1)・水(1)・土(1)・風(2)・氷・雷・闇・光・召喚(1)
技能: 剣(2)・槍(1)・弓(1)・錬成(1)・採集(1)・料理(1)・解体(1)・回避(2)・遮断(2)
耐性: 熱・風・木・水・雷・身体異常
スキル:【収納BOX】3【鑑定】2【再生】2【変身】1
ユニークスキル:【模写】
称号: 南の元勇者
従者:
名前: ハル(ハルナ)
年齢: 18
種族: 人族
加護: なし
状態: 普通
性別: 女
レベル:21
HP:733/733 MP:754/754
攻撃力:587 防御力:520 素早さ:620
魔法: 火(2)・水(5)・土(4)・風(6)・氷・雷・闇・光・召喚(1)
技能: 剣(4)・槍(4)・弓(3)・錬成(4)・採集(6)・料理(4)解体(6)・回避(4)・遮断(5)
耐性: 熱・風・木・水・雷・身体異常
スキル:【収納BOX】9【鑑定】7【再生】6
ユニークスキル:【音】
称号: 南の元勇者
従者:
勇者でもやっぱり覚醒するんだね。するとは思ってたけど。
「モイチのユニークスキル【模写】ってどんなことができるんだ?」
「魔物の技を真似ることができます。そして自分の技として覚えて行きます。技を見るか鑑定したらできるようになります。」
「へぇ、実戦あるのみだな。色んな魔物と戦わないとな。」
「ハルの【音】は?」
「音に関して出来ることが多いです。すっごく小さい誰も聞こえない音でも聞こえたり、ソニックブームで攻撃したり、周りの音を完全遮断したり。音を拡声したり、音に関しては大体できます。」
「すごいな。ハルのは実戦以外でも役立つな。」
2人は照れている。
「あと、防具は最強の物を用意してやれる。鎖帷子だけでもいいぐらいだ。ただ武器はドラゴン系にしておこう。強い武器は自分や味方を傷つけてしまうかもしれないから、せめて熟練度が6以上になってからだな。」
「ド、ドラゴン系の武器ですか?」
「ド、ドラゴン系の武器が弱い?」
「ああ、ドラゴン系の武器ぐらいなら私の作った防具で防げそうだからな。致命傷にはならないだろう。」
「すっごーい!タロウさんってホント凄すぎ~」
「僕達の防具を見てください。これでもあの国の最強防具だったんですよ。」
「確かにショボいな。」
「でしょでしょ。ここに来て良かった~」
「良かったかどうかはこれからかもしれんぞ。明日からダンジョンにも付き合って貰うからな。」
「「わかりました!」」
【収納BOX】はドンドン使えと言っておいた。Maxになったら【亜空間収納】になるんじゃないかと思ったから。ベッキーは【亜空間収納】だったし。
モイチとハルにも部屋を選ばせて休ませた。腹が減ったら食べろと魔物肉を渡してやった。
ハルは調理もできるようだったから。
しかし、勇者かぁ。トオルよりは全然いいけど、面倒な事になりそうだなぁ。
しかし、変な国だったよな。いきなり皆操られてるし、イソッチはベラベラしゃべってくれるし、解決は早かったけど勇者が従者になるし、サジは何がしたかったんだか。
聞いてもいいんだけど、終わったものを穿り返したら別件が出てきそうだから辞めとこう。魔王からの隠れ蓑にしたかっただけかもしれないけどな。
確認には行かないといけないんだろうな。イソッチを置いてきたままだし、イズミン侯爵のことも気になるし。
1人で行動するとなんでこうなるのかなぁ。




