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動乱

昨日感想が四つも来ていて、とても驚きました。

小説を書いていて、初めての感想だったので、とても嬉しいです!!

感想・ご意見・ご指摘ありがとうございました(*´∀`*)

 ーーー同時刻、王都リシュアンナ、グラスゴー宮殿にて。


「え‥‥‥‥‥今、なにをおっしゃいましたか!?父上!!」


「お前こそなんてことをしてくれたんだ!!分かっているのか!?お前はこの国の第二王子にして王妃の実子!!そのお前があろうことかミスシアート伯爵家の怒りを買うようなことをするとは、思ってもいなかったぞ!!」


激しい怒りを顕わにしている父に、カシムは尚も食い下がる。


「しかし父上!!あいつは令嬢の風上にも置けぬ振る舞いをユリアに‥‥‥‥」


「ならお前は王族としての責務を理解しているのか!!あの家を失ったらわが国は破滅するのだぞ!!」


「なっ‥‥‥‥!?」


何を言っているんだ、とでも言いたげな息子に、国王アレクサンドルは怒りに体を震わせながらも説明しだす。


「‥‥‥‥あの家は、貴族にしては珍しく全うに生きている。税金を誤魔化して懐に納めもしないし賄賂だって受け取らない、つまり、私達がつけ込むような弱味を一切もっておらず、それどころか貴族派と王家派で分かれているこの国の調節機能として働き、内紛を事前に収め、その時に握った貴族王族の弱味全てを握っている、それがミスシアート当代伯爵、ヒューズ・ミスシアートだ。そして、あの男は何よりも家族を大事にすることで有名だ。‥‥‥‥ここまで言ったら、分かるだろう。彼を怒らせたら、この国は割れる。」


不満げなカシムだったが、父の説明に初めて顔を青ざめさせる。まさか、あの女の父親が。


「しかも、お前は大した証拠も無く、公衆の面前でアイリーン嬢をさらし者にしたようではないか。‥‥‥状況証拠だけではなく、動かぬ、物的な証拠がなくては、疑わしくても罰するな、そう、お前には教え込んでいた筈だが。‥‥やはり、お前は理解していなかったか。」


その言葉に、さすがのカシムも決まり悪そうに顔を下に向ける、しょうがないだろ、どうしても、ユリアと結ばれるためにはあの女を婚約者の座から、引きずり落とさなくてはいけなかったのだから。


「‥‥‥‥‥頭を下げてこい。」


「ち、父上!?」


端的に詫びをしてこいという父王にカシムは呆然とする。


「頭を下げてきて、再び婚約関係をアイリーン嬢と結べ。そうしなければ、お前の王位継承権を認める訳にはいかない。」


「そんな‥‥‥‥!?」


そんなことをしたら、ユリアは、


「ハルドゥーク男爵令嬢だったら側室にでも何でもすれば良い。しかし、アイリーン嬢以外の正妃は認めない。‥‥この国を存続させたいなら、な。」


話は終わったとばかりに目を閉じたアレクサンドルに、カシムはなにも言うことが出来なかった。




その後、母のところにいったカシムは、生まれて初めて母から頬を打たれた。


「あなたは‥‥‥‥!!なんと言うことを!!」


目を涙で一杯にした彼女を見て、カシムは呆然とする。それを見て、王妃は声を荒げた。


「わたくしが、陛下が、先王陛下が!恥を忍んで伯爵に頭を下げて預からせていただいたアイリーンさんに、あなたは!!」


「!?どういうことですか!?母上!?」


頭を下げた。誰が?この国の国王夫妻と先王が、

誰に?ミスシアート伯爵に。


「元々アイリーンさんも、ミスシアートご夫妻も、貴方との婚約を歓迎していませんでした!!それを無理をいって婚約させていただいていたのに!」


その言葉に、心臓が飛びださんばかりに驚いた。あの女が、ユリアに嫌がらせをしていたはずのあいつが、婚約を嫌がっていた?なら、なんで。


「だとしたらなぜ、あの女はユリアに嫌がらせを!?」


そう聞き返すと王妃は間髪を入れずに反論する。


「大した証拠もないのに何故そう断言できるのですか!」


だって、ユリアが泣いていたから、しかし、今それを言うと不味いこと位は分かる。口を噤んで母の怒りが過ぎ去るのを待つしか無い。黙り込んだカシム。しかし、それがいけなかった。


「全くあなたは!!よいですか!例え首尾よくアイリーンさんと婚約関係の修復に成功しても、わたくしはあの売女を側室にすることは認めませんからね!!それぐらいのことをあなたはしたのですから!!」


「!?待って下さい母上!!」


「聞きません!!これ以上あなたとお話することなどなくってよ!!次にわたくしに話しかける時は、アイリーンさんに許されてからにしなさい!!」


気分が悪い。そういわれて、カシムは、実の母の部屋から閉め出された。王位(アイリーン)か、ユリアか、母から言われたことがあまりに衝撃的で頭が上手く回らず、カシムはフラフラと、顔を青ざめさせながら、何処へともなく歩きだした。


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