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正体

 「では、改めて自己紹介を、私の名前はルキンソン・トゥンヤイ。‥‥物凄く嫌ですが、またの名を、ルゥシェン・ユーイェン。ユーイェン公国の元第二王子です。」


「‥‥元?」


寮室についた途端ぶっ込まれた衝撃発言に色々と突っ込みたいことがあるが、取り敢えずゼクスは気になったところを尋ねる。

ちなみにハロルドは部屋の隅に座っており、動かないように命令されていた。

するとルキンソンは苦々しげに顔を歪めてとつとつと話し始めた。


「‥‥元々私は王子なんて柄じゃ無いんですよ。人に世話されるのは嫌いですし、帝王学なんてもの虫酸が走るほど嫌いです。何かやろうにも色々と許可が要りような上学びたいことも満足に学べない。おまけに何かにつけて半ば嫌がらせの謎愛情表現をしてくる片割れ。ハッキリ言ってうっとうしい‥‥。」


「あーストップ。簡潔に言ってくれ。」


何だか途中から愚痴な上長くなりそうだったのでゼクスはバッサリと言い捨てた。それに嫌な顔ひとつせずルキンソンは答える。


「まあ要するに私は王位継承権を捨てたのです。そしてその後自力でルーチア魔導教団に入り幹部になり、敵国であるこの国にやってきたのです。‥‥敵国ならばあのうざ‥‥ゴホン兄上も易々と手を出せませんからね。‥‥今度はこちらからよろしいですか?」


お茶を入れながら尋ねるルキンソンに、ゼクスは顔を強張らせて備える。

ーー手は、暗器に添えたままだ。


「まず、あなたはセドリック・レオーニに何故あんな事をしたのですか?」


「単純に一発御姫さんのかわりにやり返しただけだけど?」


首を傾げながら答えるゼクスにルキンソンは笑みを浮かべる。

その笑みの意味を不審に思いながらもルキンソンに先を促す。


「‥‥どういうことだ?」


「いえ? 少しおかしくて。」


クスクスと笑いながらお茶を飲むルキンソンにゼクスは苛立ちを募らせる。

そんなゼクスの心をまるで読んだかのようにルキンソンは呟く。


「そんな怒らないで欲しいんですがね。まあ、いいでしょう。」


コトリ、とお茶を置き、先程の笑みを消した無表情で、ルキンソンは囁くようにゼクスに話し掛けた。


「‥‥なぜ、あなたがこんな所で、一介の従者風情に身を落としているのですか? あなたは、死んだはずでは?

ーー“本当の”アルフレッド王子?」



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