再会
2話めです。はい、いきなりブックマークが沢山ついて驚いています‥‥‥‥。
本当に嬉しいです!!有難うございます!
「アイリーン、よくもまあ帰ってこれたな。」
「‥‥‥‥此度のことは、本当に申し訳ありません。」
そう言いながら、対面に座っている男女。一人は黒髪に赤い瞳の、少々つり目がちな点を除けば可愛らしい美少女。片方は、少女とおなじ黒髪に少女のものとは違う金色の瞳の、冷たい、彫刻のような美貌をもつ壮年の男。ーーミスシアート伯爵、ヒューズ・ミスシアート。アイリーンとレオンハルトの実父にして、ツォルフェライン国の重鎮。
「‥‥‥‥下がれ。」
「え?その、旦那様?」
突然の命令に困惑し、メイド達は思わず聞き返す。
「下がれと言っているだろう。」
「りょ、了解しました!!」
しかし、その決して大声ではないのにも関わらず、よく響く、感情もまるで無いかのような声に、顔を青ざめて急ぎ足で去って行く。
「あ、あ~~~~!!疲れたぁ‥‥‥‥。」
「ご苦労様。」
パタパタとした足音が消えたのを確認すると、アイリーンは急に姿勢を崩し、テーブルに突っ伏した。それに微笑んで労りの言葉をかけるのは、かの伯爵。
「だぁってーーー。あのクソ男ども勝手にあること無いこと‥‥‥‥‥。あーーーもう!!分かってたけど超ウザイ!!」
「よしよし。」
グズグズと泣き出してしまった娘の頭をヒューズは撫でる。その顔には慈愛の情に満ちていた。
「大丈夫だ。アイリーン。もう王宮には連絡が全部いっているし、もう我慢をしなくてもいい。あのボンボン共がなにかをしようとしても、家族全員で潰すから、な?」
言っていることはかなり物騒であるが。
「グスッ、ヒック‥‥‥‥。ほん、と?」
「うん、本当。ほら、お母さんのとこにいけ。」
「! はーい!!」
元気よく駆けだした娘を手を降って見送る父、ヒューズ・ミスシアート(42)そんな彼からは、年齢に似合わず後ろに花が舞っているかのようなおだやかな空気が漂っていた。
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「よく帰ってきましたね。アイリーン。」
「はい、母上。」
優雅に座ってお茶を飲み、読書をしている濃い緑の髪に赤色の瞳の美女にアイリーンは満面の笑みをたたえた。彼女の名はエリザベス・ミスシアート。アイリーンの母にしてミスシアート伯爵夫人。
「とても大変だったようですね?‥‥無理はせず、ゆっくりと休んでね。」
それだけなら、たおやかな美女が娘のことを心配している美しい光景だ。ーー本の題名が『できるだけ苦しませて殺す方法』と書いてあるのを除けば。
「まあ、前置きはこれぐらいにして‥‥‥‥。」
そういうと、エリザベスはまなじりをギンッとあげ、鮮やかな紅唇をギュッと引き結んだ。
「あぁーーーーーの愚王子がぁぁぁぁぁぁぁ!!!なぁにが『妻に相応しくない』よ!!こっちこそお断りだ!!まず第一陛下達がどうしてもってゆーからうちのアイリーンと婚約させてあげたんだろうがこの《ピーーーーーーーーーーーーー!!!!》」
聞くに絶えない罵詈雑言を並べ立て始めたエリザベスだが、アイリーンはそれを気にしない。というより全力で乗っかった。
「だよね!!ホント巫山戯んな!!《ピーー!》で《ピーー!》で《ピーー!》の癖に!!」
名家の名家。ミスシアート伯爵家の夫人と令嬢とは思えぬほどの悪口雑言大会に終止符を打ったのは、レオンハルトだった。
「姉さん、母さん、ひとまずストップ。」
「あらレオンどうしたの?何かあった?」
そういって微笑む姉にレオンハルトも微笑みを返す。
「あらあら、まるで恋人同士ねーーー。」
「「多分ホントの恋人より大事です。」」
そういってからかう母、エリザベスに子供2人は即答する。うん、これは事実だ。
「‥‥‥‥そう。」
最早何も言うまい。とでも言いたげに、しかし何も言わずにエリザベスは諦めムードを漂わせた。うん、仕方がない。
「‥‥‥‥にしても、本当に姉さんが言ったとおりになりましたね。」
「本当は貴方もあちら側にいたんだよ?」
「ぞっとします。」
彼らは一体何を話しているのか?それを知るためには12年前に遡る必要があるーー
一家全員が揃いました。次回はザッと世界観の説明回になる予定です。