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牽制

今回も引き続き暗い?です。

ギャグをお待ちの方、もう少々お待ちを‥‥!!


活動報告でも書きましたが思ったよりもバレンタインの投票数が多く、上位3カップルとします。

それ以外のカップルはまたの機会に短編で出します。

申し訳ありません。

 「これはこれは皆様方。ご機嫌麗しくて何より。」


「ミ、ミスシアート伯爵‥‥!!」


ざわめく男達。

ここは鏡の間、議会などの重要な会議の時に重鎮のみで話し合う場所。


「おかしいですね‥‥。ここに居るのは重鎮ばかり。私はこの国にそれなりの地位を築いていたと自負していたのですが‥‥。なぜ、今回は呼ばれなかったのでしょうね?」


「それは‥‥。」


「言い訳は無用ですよ。シュトラウス公爵。」


ニコリ、と普段外では使わない顔の筋肉を使い、微笑むと一気にその場は凍りついた。

それもそのはず、ある意味この国の未来を左右するこの会議にヒューズを呼ばなかったのだから。


そして、それはバレてしまった。

必死に隠していた。だってーー


「ふっ‥‥。この期に及んでまだ我が娘をあの愚王子の婚約者にしようとしていただなんて‥‥。ーーテメェら、なめてんのか?」


逆鱗に触れてしまうだなんて、わかりきっていたから。


「‥‥黙っていて、済まなかった。伯爵。しか‥‥。」


「シュトラウス公爵、てめにいってねぇ。王様よお、俺は心底あんたに失望したよ。確かにあんたは頑張っている。それは認めよう。身内の不幸やら不祥事やらで、帝王学だなんて学んでいない末王子のお前がなんの前触れも無く、王にされて、今まで本当に頑張っていると思っていた。

ーーけど、駄目だ。」


先々代の王は、子沢山だった。

しかし、皆体が弱かったり、頭が弱かったり、性格に難有りだったり‥‥数えだしたらきりがないほど、ある種の子宝に恵まれなかった。

そんな中、兄弟同士のつぶし合いや病気等で全員召されたり痴情のもつれだったりの挙げ句一番下の、十四王子(当時22歳)である現国王がいきなり王太子にされたのだ。

それはさすがに記憶の無いヒューズも同情した。

そして、国王になって、頑張った方だとは思う。

友として、家臣として、彼に好感を持っていた。

だから、


「お前はな、俺を裏切ったんだ。1つ目は、娘のことで、2つ目は、今回のことで、3つ目は、ーー自分の子どものことで。」


静まってしまった室内に、ヒューズの声が響く。


「知っての通り、うちのアイリーンはアルフレッド殿下と婚約した。それを、どうするつもりだったんだ? ようやく、日の目を見れそうな自分の子供にすることか? 私は、あの人になら、国を、我が子を託せると思った。だから、婚約させたのに‥‥!!」


彼を守るためには、見捨てるしか無い。


「言い訳はしない。‥‥ここの者達を、止められなかったのは、私の責任だ。」


真っ直ぐにこちらを見据えるアレクサンドルを睨みつけながら、ヒューズは唇を噛みしめる。

なぜ、何も言わない。どうして、何も教えてくれない。

本当は、分かっている。今回のことで、国王は何一つ悪くは無い。けれど、

ーーもう、どうしようもないのだ。

ゆっくりと後ろを向く。


「今回のことで、貴方方は一切手出し無用ですからね? “ミスシアート家”は、怒り狂っていると何をするか分かりませんよ?」


凍りついたその場から、ヒューズは立ち去る。

そんなヒューズを国王は、悲しげに、苦しそうに見つめていた。






「‥‥この国は、大きくなりすぎた。‥‥この国は、終わらなくてはならない。‥‥何も言えない私を、許してくれヒューズ。」


そう呟いた王の声は、彼には届かない。


†††††††††††††††††††



「フハッハハハ!! 遂に、遂に来た!! あの男に復讐する時が!!」


暗闇で嗤う一人の男。

その男は、水晶玉を覗き込みながら狂ったように嗤い続ける。


「あいつが、あいつさえいなければ!! 俺はあの時も‥‥!!」


ひとしきり騒ぐと気が済んだのか、男は囁く。


「計画は順調だ‥‥。あと一息、あと一息だ‥‥。駒も順調に動いてくれてる。」


不気味に呟くと、男は水晶玉を叩き壊した。


欠片に映るのは、紫色の瞳。


「俺のかわいいユリア。俺のために、あいつを滅ぼすために、邪魔者の国王を消すために、あいつを見返すために、死んでくれ。」


そういって男はうっそりと微笑んだ。

その目は、冷たく濁り、何も映っていなかった。






変な人でてきましたねー。

王様がなんか不穏なこと言っていますねー。

次回からはアイリーン達に戻ります。

そしてギャグが始まります。多分。



ちなみにママンはセドリックのお父様に八つ当たりしていて今回はおやすみです。

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