粥があつい
「アツッ!!・・・・・・チッ」
なんだろう、今、舌打ちが聞こえた気がする。
恐る恐る台所を覗くとそこには・・・・・・・・
兄が立っていた。台所に居る姿なんて1度も見たことのない
私は、自分の目すら疑ってしまった。
兄ちゃんが・・・・か・・・粥を作っている。
ろくに料理ができない兄ちゃんが・・・・粥を!!!
あまりにも見ていられなくなり、台所に入り手伝おうとしたが・・・。
阻止された。
「おいアキ。お前いつからここにいた。いいから寝てろ。」
「え・・・でも。」このまま兄に任せておくと毒物ができそうだ。
「いいから。ね!て!ろ!」
兄に睨みつけられた私はしぶしぶとその場を立ち去った。
「はーい。」
そして、少し時間がたった後、兄が粥を持ってきてくれた。
「できたぞ。」
恐る恐る鍋の蓋を開け、中を覗き込んでみた。
見た目は、少し焦げていたが兄にすれば上出来だった。
味は・・・・・
「あちっ」
「どした!」
「いや、ちょっと熱くて。」
「かせ。」
と、言われ。スプーンを取られた。すると兄は粥を冷ましてくれた。
フーフー
「ほれ食え。」
「え、でも」兄ちゃん。スプーン返して。
「チッ」
「わ、わかったよ」パクッ
「おいしい。」すごい。あの兄ちゃんが作った粥が美味しい。
こんな奇跡があるのだろうか。熱のせいで味の感覚が
おかしくなってしまったのだろうか。
と、思いながら私はなんとおかわりまでしてしまった。
・・・・すごいな、私。
「なんだ、結構食うじゃねーか。」
「美味しかったから。」
言った途端、兄が赤くなった顔を隠したのか何か。俯いていた。
布団の中に入ると、私はすぐに寝てしまった。