G*00-初恋理論①-
茶山小羽。
その黒い髪は、細波のように優しく漂う。
その白い肌は、永久に溶けることのない雪のように穢れを知らない。
その栗色の瞳は、豊穣の神を宿したかのように大らかに揺れる。
そして、その笑顔は、太陽が降りてきたかのように人に温もりをくれる。
誰もが彼女を好いていたし、なんならクラスは彼女を中心に回っていた。
人を惑星に例えるなら、彼女は爛々と輝く太陽だ。
彼らを物質に例えるなら、彼女は引力で全てを支える地球そのものだ。
……なんてそれは僕の主観だからこそ考えられる持論でしかないのかもしれない。
それでも、彼女は人気者だったし、僕はそんなクラスが大好きだった。
……いや、それは少し違うか。
言い訳せずに言おう。自分に正直に答えよう。率直な意見を述べよう。
偽らざる僕の本音は、いつだって一つだった。出しうる回答は一つしかない。
単純な数式だ。A=Bだ。そんなシンプルな回答だ。
悩むまでもない。考え込むまでもない。
僕が好きなものは、クラスではない。その空間そのものではなく、その中央にある存在。
核心を好きだからこそ、好きだと確信できる。
まぁ、なんというか、ええと、つまりアレだ。
声を大にしては言えないけれど、詰まるところ僕は。
小羽ちゃんのことが好きなのだ。
◆コンセプトとか
どうでもいいけど、コンセプトとインセクトってどこか似てるよね。
とまぁ、それはともかく。
擬人化ものというのはラブコメの中でも、結構定番なのではないかと思うのですが。
じゃあ擬人化の中で最悪なシチュエーションってなんだろう。
そんな問い掛けから生まれたのがG*Girlです。
ゴキだからGという安直なネーミングでしたが、害虫などとも掛けていたりします。
それはともかく。
ラブコメの定番というのはいくつか方向性がありまして。
相思相愛だけど種族や年齢に違いがあるとか。相思相愛だけど素直じゃないとか。
んで。今回は種族を選択し、その中で一番インセクト……じゃないインパクトがありそうな題材をチョイス。
虫なんて大嫌いだぜ! という方にもお楽しみいただける(ような気がする)作品を目指しました。