移動図書館。疑問
僕はライオット・エル。
移動図書館の主。
僕にとって友人と呼べるのは幼い頃共に遊んだ友人達。同じ半精霊の彼ら。
そして時折り訪ねてくる『さかな』
彼は『ヒト』の手により人工的に作り出された魔法種。
大きな魔力を持ちながらそれを発揮する管理機関をあえて外された『さかな』
『さかな』には二つの姿がある。
通常のんびりと寛いでいる時の華やかな姿。
その巨体と思われる姿。
それは広がる鰭と触手。
その自由に動く先端には猛毒の毒腺を持つ。
鰭と触手で標的を捕らえ、絞め殺し、毒殺し、数日保管してから食べる。
『さかな』は死後二日以内の肉は食さない。
ただし例外はある。
細かく調理された肉は死後数時間であれ食べることができる。
正しくは血抜きされた肉ならば、らしい。
彼は孤独を嫌う性格で、僕が『寂しがっている』と決め付けては突撃してくる。
面倒らしいが彼は『ヒト』の姿をとることもできる。
その理由は『ヒト』がより効率的に『さかな』に指示を与えるためで。
そんな理由をすでに忘れ果てている『さかな』は『ヒト』の姿をとって外壁を破壊してでも訪ねてくる。
「エリオット。久しぶりだ」
彼がそう朗らかに言うたびに頭が痛くなる。それと同時に嬉しいのだ。
心の動きは実に不可思議だ。
後始末の不愉快さと『さかな』が訪ねてくれた喜びと。
華やかに波打つ金の髪。鰭と同じような輝くオレンジの衣装。
しゃらしゃらと揺れる白い珊瑚飾り。
時に『子供を拾った』と笑い、『ヒト』の子を慈しみ、同時に意味もなく人里を水に沈め食い荒らす。
彼はその行動指針に迷いを挟まない。
その行動は彼にとってどこまでも自然。そして彼をそのような生き物として作り上げたのは『ヒト』なのだ。
『さかな』は『さかな』を『恐れる』『ヒト』によって作られた。
それは何より恐ろしいのは『ヒト』だということにならないのだろうか?
きっと『ヒト』はそれを否定する。
『ヒト』という生き物は面白い。
僕はいつしかそう思うようになっていた。
僕の友達の多くは半精霊。
精霊たちは罪人である僕に近づくことはない。
『ヒト』は『恐れ』ながらも僕に近づこうとする。
『ヒト』にとっていつしか僕は『知識』の番人だった。
『ヒト』は『怯え』『求める』
僕は時々考える。
『ヒト』とは『盗人』なのか『友人』になり得ないのか。と。
『ヒト』は知りたがり、同時に知らずに済ませたがる。
見えるまま、感じるままに『愛した』幼友達は『恐れ』られ、『殺された』
僕は力ある者よりもよっぽど『ヒト』が恐ろしい。
そして『恐ろしい』と忌避するこの心は『ヒト』なのだと思う。
僕はライオット・エル。
悩める半端な『ヒト』でも精霊でもない半精霊。