夢の中で
『そろそろ、効果が切れますのでご主人身構えを』
「え、効果が切れるってなんの!?」
『何って、成長魔法のだよ!』
「成長魔法?」
『ええ、そうですご主人をそのカタチにした魔法の効果が消えますの』
「え、それって」
『ええ、赤子に戻られます』
はぁ、じゃあ一安心だねまったくなんなんだ
あれ、なんだか私たちが来た方向が騒がしい気がするんだけど気のせいなのかな?
ん?たしか一昨日お母様が
[ねえフィリップ明日、この村に勇者様御一行が来られるんですって]
[それはまた急だなどうしてだい?]
[なにか、あの西の森にまた魔物が現れたんですって]
[あの森は確かいつも出ていたはずだが?]
[そうではなくてあの例の…]
[ああ、ニコロの…]
ってもしかして!
そう、レンの予想は合っていた夜子供たちの様子を見に来たロジーヌが部屋をのぞいたところいないことに気が付き村に丁度ついた勇者様御一行に相談したところ勇者御一行の魔道士が追跡と痕跡の魔法をかけたところ西の森に続いているとわかり探しに来たのだった。
「や、やばいよ!この姿を見られたら」
『ご主人、来ます!』
「え、ええ!?」
「誰かいるのか!」
「っ、どうしよう」
ガサッと音を立てて勇者様御一行と村人たち、お母様とお父様そして銀髪碧眼の将来が期待できそうなヨハンぐらいの美男子
「誰だ!」
『ご主人、お下がりください』
「ま、魔族だ魔族がいるぞ!!」
『下賤な人間どもめ…』
どうしよう、この状況はだめだよね幸い周りは暗くて私の顔とかはばれてないみたいだし。よし、ここは一芝居うつか
「ここで悪さをしていた魔物の1体は倒した、あとは自分たちでどうにかするんだな」
「何を言って、」
その時、魔法の効力がなくなり煙がたつ。それと同時にオオカミたちは両手サイズの子犬になるそしてそこから2,3m離したところに赤子になったレンを置く。
「い、いないぞ!」
その間、勇者たちは黙っていた
「(おかしい、どういうことだ魔族が人間に従うなんて)」
「どういうことでしょうか、アルフ」
「わからない、だがとにかくけが人を最優先だ!」
レンはぼんやりとその様子を見ていた、さっきから睡魔がこれでもかというほど襲ってくる。そしてそこでレンは寝てしまった。
「こちらの少年は大丈夫ですが、そっちの少年は」
「わかった、ルシアンナ!」
「はい、『精霊に願いを、癒しを、レフィコンス』」
「あ、あの娘がレンが」
「レン?」
「は、いまだ1歳くらいの小さな赤ん坊で」
アルフは焦っていた、この森の狩人たちは無残な姿で死んでいた一人残らず、二人の少年のうち1人がかすり傷、もう1人が重体なのは奇跡といえるようなことだそんな中赤子など生き残れているはずがないと
そのとき、まだ幼い小さな我が子がくいくいと服の裾を引っ張ってくる
「アシル、今お前の相手をしている暇は…」
「犬」
「は?」
「犬がいる、あそこに3匹」
何を言っているのだろうと息子の指さす方を見ると確かにかわいらしい両手サイズの子犬が3匹いる、そしてその横には
「レン!!」
横にいた母親が駆け出す、その声を聴いてあちこちを探し回っていた父親も駆けていく。
まさか、信じられないと思いながらアルフもその場に行く、後ろからアシルもちょこちょことついてきているのがわかる。
「レン、レン…!!」
母親が泣きながら娘を抱きしめる、娘はなんと無傷だ
「そんな、まさか」
「アルフ、何かおかしいですね」
「ああ、一体ここで何があったというんだ」
私は夢を見た
私の夢を見た
『ねえ、起きて』
『簡単には起きないだろうよ』
「起きてるよ」
『起きてたの?』
『ち、めんどくせえ』
「貴方たちは誰?」
『私は前の貴方』
『俺は前の前のお前』
「どういうこと?前の私と、前の前の私?」
『う~ん、言っても大丈夫かな』
『さあな、こいつも俺等なんだ、きっと大丈夫だろうよまあユキがなんていうかは知んねえけどな』
「ユキ、ってあのバカユキ?」
『ブハッ、なんだよそのバカユキって』
片方の私が体をくの時にして笑う
『プッ、たしかにバカユキね…』
もう片方の私も口元を抑えながらクスクスと笑う
『あーあ、協力する気なかったのになんだか協力したくなっちまったじゃねえか』
『ほら、最初から素直に協力しておけばよかったのよ』
『うっせえな』
「協力って、どういうこと?」
『だーかーらー、俺たちがお前に協力してやるんだよ!』
『そうそう、だから安心してあなたは一人じゃないし、あの子たちもいる』
『だからよ、今回こそ』
『後悔しないで?』
「今回こそ?後悔?何のこと、私わかんないよそんなこと言われたって私、分かんないよ」
『大丈夫、貴方も私なんだから』
『俺等はもう行くが、最後に名前だけは教えといてやる』
『私はウミ』
『俺はソラ』
『お前は、貴方は “リク”なんだから』
陸海空?だよね、どういうことなのお願い教えてよ!
『お休み、今回の私』
そこでぷつりと私は意識を手放した、ウミとソラがなにか言っていたような気がしたけど、聞こえなかった
『がんばって、今回の魔王様』